■GT-R以外の高性能なスカイライン
2019年は日産が誇る「GT-R」誕生50周年という大きな節目の年で、4月17日にはGT-R 50周年記念モデルが発表されました。
ここまでの道のりを歩んできた「スカイライン」という存在の偉大さが実感できます。そこで、スカイラインシリーズのなかから、GT-R以外の歴史に名を刻んだ高性能モデル3台を紹介します。
●スカイライン 2000ターボインタークーラー RS・X
6代目となる「R30型スカイライン」は1981年にデビュー。名優ポール・ニューマンをCMキャラクターとして起用したため「ニューマン・スカイライン」の愛称で親しまれました。
先代からの「2000GTターボ」シリーズに加え、新たに加わった4気筒4バルブDOHCエンジン「FJ20型」搭載の「2000RS」が高い人気を博します。
なお「RS」は高性能でありながら伝統の「GT」の名が与えられませんでした。その理由は、当時の日産車でGTと名乗るには、6気筒エンジンを搭載していることが条件だったからといわれています(後に「ラングレー」は4気筒でもGTの名が与えられました)。
1983年に追加された「2000ターボRS」は、FJ20E型にターボチャージャーを取り付けた「FJ20ET型」エンジンが搭載され、歴代最強の190馬力という高出力から「史上最強のスカイライン」というキャッチコピーがつけられていました。
さらに1983年8月のマイナーチェンジ後のRSシリーズは、グリルレスのフロントマスクから「鉄仮面」の愛称で呼ばれます。
そして1984年、2000ターボRSにインタークーラーが追加された「2000ターボインタークーラー RS・X/RS」を発売。出力は205馬力まで向上し、6代目スカイラインはこれで一応の完成形となりました。
なかでも「RS・X」は、8つの調整機能を持つ電動マルチバケットシート、パワーステアリング、パワーウインド、カセット付きラジオなど、車内装備を充実させた豪華仕様でした。
●スカイライン GTS-R
1985年にデビューした「R31型スカイライン」は、通算7代目になり「セブンス」の愛称で呼ばれました。
このモデルでは「KPGC110型スカイライン GT-R(ケンメリ GT-R)」以来となる直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、大いに話題となります。
発売当初は、4ドアハードトップ(スカイラインでは初登場)と4ドアセダンのみの設定でしたが、1986年には2ドアクーペのGTSシリーズが追加されました。
そして、1987年のマイナーチェンジを機に、当時のグループAレースの公認用エボリューションモデルとして「GTS-R」が800台限定で発売。
「RB20DET-R型」2リッター直列6気筒DOHCターボエンジンは、タービンを変更するなどのチューニングが施され、210馬力の最高出力を発揮しました。
また、グループAレースでは後からエアロパーツなどの追加ができないため、フロントに固定式スポイラーと、リアに大型の(当時としては)スポイラーが専用に装備されました。
このGTS-Rをベースにしたレースカーで全日本ツーリングカー選手権を戦い、1989年では長谷見昌弘/A.オロフソン組が3勝を挙げ、シリーズタイトルを獲得。
さらにスカイラインでは初となる海外のレース、欧州ツーリングカー選手権にも参戦し、日産ワークスによる後のルマン24時間耐久レース挑戦への体制作りに、多大な貢献をしました。
●スカイライン オーテックバージョン
1989年に発売された「R32型スカイライン」は「GT-R」の復活という重要な役割を果たしたモデルです。
「スカイライン GT-R」はレースに勝つという目標のために、280馬力を発揮する直列6気筒DOHCツインターボの「RB26DETT型」エンジンと、可変トルク型の4WDシステム「アテーサE-TS」が搭載され、全日本ツーリングカー選手権では無敵を誇った最強マシンとして君臨します。
このスカイライン GT-Rのパーツを流用して、1992年にオーテックジャパンが「スカイライン オーテックバージョン」を発売。
ボディは4ドアセダンとし、足回りはチューニングされたサスペンションと、GT-Rと同様のブレーキシステムを採用。外観ではフロントにエアロフォルムバンパーが装着され、控えめに個性を主張します。
エンジンはRB26DETT型からターボを外して2.6リッターの自然吸気エンジンに作り変えられ、インテーク/エギゾーストマニホールド、カムシャフト、ピストン等をオーテックジャパンが開発した専用品に変更。最高出力は220馬力と決して大パワーではありませんでしたが、自然吸気エンジンならではのアクセルレスポンスを実現していました。
スカイライン オーテックバージョンは、スポーツカーを卒業した大人のためのセダンというコンセプトで開発され、そのためトランスミッションは4ATのみでした。これは、イージードライブというよりも、余裕を持ってロングドライブを楽しんでほしいという想いからです。
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