現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > BMW M3 x アウディRS3 最新の四輪駆動サルーン比較 新世代な高性能 後編

ここから本文です

BMW M3 x アウディRS3 最新の四輪駆動サルーン比較 新世代な高性能 後編

掲載 7
BMW M3 x アウディRS3 最新の四輪駆動サルーン比較 新世代な高性能 後編

動的能力の個性を自分に合わせられる

BMW M3 コンペティションより手頃なアウディRS3 サルーンだが、搭載する技術の複雑さでは負けていない。基本的なドライブ・モードのほかにも、RSトルクリア・モードなど、一度試すべき機能が複数備わっている。

【画像】新型の四輪駆動 BMW M3とアウディRS3 サルーン M4とRS3 スポーツバックも 全111枚

だが基本のモード・メニューではなく、RSインディビジュアル・モードを選び、各コンポーネントを独自に設定した方が筆者好みになるようだ。インターフェイスは、BMWの同等機能ほど扱いやすくはないけれど。

M3の場合は、M1とM2という独自モードに詳細な設定を保存することが可能。ステアリングホイールの重み付けや、コーナーでのスロットル操作によるハンドリング・バランスも調整できる。

ダッシュボード中央のタッチモニターで項目を選び、スライダーをいじるだけ。お気に入りの設定が見つかったら、ステアリングホイールのオレンジ色のトグル・スイッチを長押しすると、設定が記録される。とても簡単で、走行中も一発で選べる。

四輪駆動システムのトルク分配も、安定性重視の前後50:50から、0:100の完全な後輪駆動状態まで変更できる。スタビリティやトラクションの制御の具合も、ドライバーが任意に選べる。

長く乗るほど、M3の動的能力の個性を、自分に合わせて磨き込めるといえる。FR状態のパワースライド・マシンから、季節を問わない落ち着いた高速グランドツアラーまで、その振り幅は相当に広い。

その設定に、四輪駆動のM xドライブも合わせてくれる。複雑だが興味深いクルマだ。

ドラマチックに感じさせる5気筒ターボ

アウディRS3にも、RS1とRS2という独自モードが用意されている。電子的なアシストをオフにする場合は、別のボタンを長押しする必要がある。後輪駆動状態を楽しむには、RSトルクリア・モードのみで許される。BMWと比べると手間だし、自由度も狭い。

直列5気筒ターボのブースト圧を高めに保てば、RS3 サルーンは真剣に走るM3を追い回すことも可能。圧力の上昇と同時に、太いトルクが湧き出る。聴き応えのあるサウンドと相まって、ドラマチックに感じさせてくれる。思わず、ドライバーは笑顔になる。

とはいえ、やや吹け上がりの悪いエンジンは、常に高いブースト圧にあるとも限らない。回転数を問わず、ターボラグは短いながら存在する。3200rpmを超えるまで、RS3は明確にはパワー感が高まらない。

M3の直列6気筒ツインターボは、その間により高回転域へ到達し、先を急いでいる。BMW自慢の6気筒エンジンのレスポンスは白眉。現実世界では、圧倒するほどに速い。

乗り心地は、路面からの入力を上手にサスペンションが吸収してくれ、RS3 サルーンはとても快適。だが、高速域では路面の凹凸に少々敏感。ドライバーの気持ちを、刺激してくれる乗り味ともいえる。

一方のM3は、姿勢制御に秀でている。垂直方向の強めの入力が加わっても、たじろぐことは殆どない。

80km/hほどでも病みつきになるM3

コーナリングを何度も繰り返し、シャシーバランスと操縦性を味わっていくと、2台の違いがより大きいことが見えてくる。アウディとBMWらしい差ともいえる。

後輪駆動が生まれつきのM3は、シャシー特性を活かしつつ、ドライバーの意志へ応えるようにフロントノーズを調整してくれる。コーナリングラインが定まると、控えめにトラクションが掛かり、脱出を助けてくれる。

M3は、見通しの良いコーナーが連続する登りで、深い充足感を与えてくれる。80km/hほどでも、病みつきになるほど。

RS3 サルーンは、アンダーステアをなだめながら、コーナーを縫っていくような印象がある。リアアスクルとトルクベクタリング機能が、必要な出番を待ちつつ、働くように。

アウディが実装したドリフトモードは、公道の速度域では充足感を得にくい。滑りやすい路面でも。そのかわり、アクセル操作に対しバランスを取るべく正確に処理し、高いグリップ力を生成してくれる。

狙ったタイミングで積極的にアクセルオンすれば、僅かにラインを乱すことも可能だが、M3ほどの自由度はない。真面目な大人が手のひらを返したように、やんちゃな子供っぽさを披露するような、二面性までは備わらないようだ。

活気に溢れ爽快に速い、独自の楽しませ方

アウディRS3 サルーンにも、他にはない個性がある。活気に溢れ、爽快に速く、独自の楽しませ方を備えている。筆者も好感を持つし、若い世代ならもっと響くと思う。

ただし世代に関係なく、若々しい気持ちを持つドライバーのための高性能コンパクトモデルとするなら、合理的な価格設定であって欲しい。エントリーグレードのRS3 スポーツバックの英国価格でも、5万2000ポンド(約806万円)を超えてしまう。

他方、BMW M3 コンペティションにM xドライブを搭載すると、8万ポンド(約1240万円)に迫る。だが、9万ポンド(約1395万円)を払っても良いと思わせるほど能力に長け、実用性にも優れている。

父は、より良い意見を口にすることがある。だが息子が、その意見へ耳を傾けるとは限らない。新世代に向けたRS3 サルーンを、否定するつもりはない。

BMW M3とアウディRS3 サルーン 2台のスペック

BMW M3 コンペティション M xドライブ(英国仕様)のスペック

英国価格:7万8425ポンド(1215万円)
全長:4805mm
全幅:1905mm
全高:1435mm
最高速度:249km/h(リミッター)/289km/h(Mドライバーズ・パッケージ)
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:9.9-10.0km/L
CO2排出量:228-230g/km
車両重量:1780kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/6250rpm
最大トルク:66.1kg-m/2750-5500rpm
ギアボックス:8速オートマティック

アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)のスペック

英国価格:6万885ポンド(約943万円)
全長:4542mm
全幅:1851mm
全高:1412mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:11.2km/L
CO2排出量:203g/km
車両重量:1575kg
パワートレイン:直列5気筒2480ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:400ps/5600-7000rpm
最大トルク:50.9kg-m/2250-5600rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

トヨタ車体が提案! 斬新ドア採用の「クロスバンギア」は市販化する? ノアヴォク派生ぽい「“SUVミニバン”コンセプト」はどうなるの?
トヨタ車体が提案! 斬新ドア採用の「クロスバンギア」は市販化する? ノアヴォク派生ぽい「“SUVミニバン”コンセプト」はどうなるの?
くるまのニュース
「えっ!?」スクーターメーカー「ベスパ」製の4輪車なんてあったの?  65年前に登場した4人乗りの“マイクロカー”を発見 どんなクルマ?
「えっ!?」スクーターメーカー「ベスパ」製の4輪車なんてあったの? 65年前に登場した4人乗りの“マイクロカー”を発見 どんなクルマ?
VAGUE
タクシー・ライドシェアに「チップ文化」は根付くか? 配車アプリ普及で、月収アップに追い風? その効果と課題を考える
タクシー・ライドシェアに「チップ文化」は根付くか? 配車アプリ普及で、月収アップに追い風? その効果と課題を考える
Merkmal
買うなら今よ! 3代目[トヨタ・ヴィッツRS]走りが楽しすぎる件
買うなら今よ! 3代目[トヨタ・ヴィッツRS]走りが楽しすぎる件
ベストカーWeb
金属の塊から削り出したよう! 新型BMW X3のシンプルかつ迫力ボディをデザインのプロが分析
金属の塊から削り出したよう! 新型BMW X3のシンプルかつ迫力ボディをデザインのプロが分析
WEB CARTOP
“釣り業界最大級のイベント”過去最大!227社が出展する“釣りの祭典”『釣りフェス2025 in Yokohama』開催
“釣り業界最大級のイベント”過去最大!227社が出展する“釣りの祭典”『釣りフェス2025 in Yokohama』開催
AutoBild Japan
日産とビームスのコラボレーションモデル、ついに登場!──GQ新着カー
日産とビームスのコラボレーションモデル、ついに登場!──GQ新着カー
GQ JAPAN
【欧州】トヨタ“2代目”「C-HR」なぜ日本で売らない!? 最新版は“プリウス顔”の超カッコイイ「クーペSUV」に! 初代「大ヒット」でも未導入な理由とは
【欧州】トヨタ“2代目”「C-HR」なぜ日本で売らない!? 最新版は“プリウス顔”の超カッコイイ「クーペSUV」に! 初代「大ヒット」でも未導入な理由とは
くるまのニュース
三菱ケミカルの植物由来プラ、ホンダ『X-ADV』に初採用
三菱ケミカルの植物由来プラ、ホンダ『X-ADV』に初採用
レスポンス
これが新型プレリュードの市販型!?マジカルシフト「Honda S+ Shift」をひっさげて、北米には2025年後半、欧州市場には2026年初頭から投入
これが新型プレリュードの市販型!?マジカルシフト「Honda S+ Shift」をひっさげて、北米には2025年後半、欧州市場には2026年初頭から投入
Webモーターマガジン
日産の軽&コンパクトカー!! [ルークス]と[ノート]買うならどっちだ!?
日産の軽&コンパクトカー!! [ルークス]と[ノート]買うならどっちだ!?
ベストカーWeb
1/22申込締切【Season3】中西孝樹の自動車・モビリティ産業インサイトvol.2「水素社会実現に向けたトヨタの取組み」
1/22申込締切【Season3】中西孝樹の自動車・モビリティ産業インサイトvol.2「水素社会実現に向けたトヨタの取組み」
レスポンス
“ランクル顔”のトヨタ「ルーミー」が完成!? まるで本格四駆な「ランドクルーミー」ESBのカスタム仕様! 東京オートサロン2025で公開へ!
“ランクル顔”のトヨタ「ルーミー」が完成!? まるで本格四駆な「ランドクルーミー」ESBのカスタム仕様! 東京オートサロン2025で公開へ!
くるまのニュース
「ミニバンなんて一生乗るかよ」なライターが一瞬で虜に! 15年落ち16万kmのヴォクシーを買ったらあまりの快適さに感動不可避だった!!
「ミニバンなんて一生乗るかよ」なライターが一瞬で虜に! 15年落ち16万kmのヴォクシーを買ったらあまりの快適さに感動不可避だった!!
WEB CARTOP
ブガッティの新境地! スーパーカーを飾る超ラグジュアリーなガレージ「ブガッティ・エディションFG-01ガレージ」が発売
ブガッティの新境地! スーパーカーを飾る超ラグジュアリーなガレージ「ブガッティ・エディションFG-01ガレージ」が発売
VAGUE
スズキ スイフトスポーツの最終モデルを2025年に発売
スズキ スイフトスポーツの最終モデルを2025年に発売
Auto Prove
「ネオクラシック」バイクの傑作! カワサキ「Z900RS」“フルカスタム”車両登場! 漆黒ブラック×鮮烈イエローボディが”渋い”! ストライカーワークスから発売
「ネオクラシック」バイクの傑作! カワサキ「Z900RS」“フルカスタム”車両登場! 漆黒ブラック×鮮烈イエローボディが”渋い”! ストライカーワークスから発売
くるまのニュース
日本でのMotoGP人気を上げるために「これまでできなかったこと」をやりたい。中上貴晶が考える”開発ライダー”以外の新たな役割
日本でのMotoGP人気を上げるために「これまでできなかったこと」をやりたい。中上貴晶が考える”開発ライダー”以外の新たな役割
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

7件
  • M3と比較するならRS4だろ? RS3と比較するならM2じゃん。
  • 比較対象車が違うような気がする。M3とRS3はゼグメントが違う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

828.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

300.0928.0万円

中古車を検索
RS3 スポーツバックの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

828.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

300.0928.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村