動的能力の個性を自分に合わせられる
BMW M3 コンペティションより手頃なアウディRS3 サルーンだが、搭載する技術の複雑さでは負けていない。基本的なドライブ・モードのほかにも、RSトルクリア・モードなど、一度試すべき機能が複数備わっている。
【画像】新型の四輪駆動 BMW M3とアウディRS3 サルーン M4とRS3 スポーツバックも 全111枚
だが基本のモード・メニューではなく、RSインディビジュアル・モードを選び、各コンポーネントを独自に設定した方が筆者好みになるようだ。インターフェイスは、BMWの同等機能ほど扱いやすくはないけれど。
M3の場合は、M1とM2という独自モードに詳細な設定を保存することが可能。ステアリングホイールの重み付けや、コーナーでのスロットル操作によるハンドリング・バランスも調整できる。
ダッシュボード中央のタッチモニターで項目を選び、スライダーをいじるだけ。お気に入りの設定が見つかったら、ステアリングホイールのオレンジ色のトグル・スイッチを長押しすると、設定が記録される。とても簡単で、走行中も一発で選べる。
四輪駆動システムのトルク分配も、安定性重視の前後50:50から、0:100の完全な後輪駆動状態まで変更できる。スタビリティやトラクションの制御の具合も、ドライバーが任意に選べる。
長く乗るほど、M3の動的能力の個性を、自分に合わせて磨き込めるといえる。FR状態のパワースライド・マシンから、季節を問わない落ち着いた高速グランドツアラーまで、その振り幅は相当に広い。
その設定に、四輪駆動のM xドライブも合わせてくれる。複雑だが興味深いクルマだ。
ドラマチックに感じさせる5気筒ターボ
アウディRS3にも、RS1とRS2という独自モードが用意されている。電子的なアシストをオフにする場合は、別のボタンを長押しする必要がある。後輪駆動状態を楽しむには、RSトルクリア・モードのみで許される。BMWと比べると手間だし、自由度も狭い。
直列5気筒ターボのブースト圧を高めに保てば、RS3 サルーンは真剣に走るM3を追い回すことも可能。圧力の上昇と同時に、太いトルクが湧き出る。聴き応えのあるサウンドと相まって、ドラマチックに感じさせてくれる。思わず、ドライバーは笑顔になる。
とはいえ、やや吹け上がりの悪いエンジンは、常に高いブースト圧にあるとも限らない。回転数を問わず、ターボラグは短いながら存在する。3200rpmを超えるまで、RS3は明確にはパワー感が高まらない。
M3の直列6気筒ツインターボは、その間により高回転域へ到達し、先を急いでいる。BMW自慢の6気筒エンジンのレスポンスは白眉。現実世界では、圧倒するほどに速い。
乗り心地は、路面からの入力を上手にサスペンションが吸収してくれ、RS3 サルーンはとても快適。だが、高速域では路面の凹凸に少々敏感。ドライバーの気持ちを、刺激してくれる乗り味ともいえる。
一方のM3は、姿勢制御に秀でている。垂直方向の強めの入力が加わっても、たじろぐことは殆どない。
80km/hほどでも病みつきになるM3
コーナリングを何度も繰り返し、シャシーバランスと操縦性を味わっていくと、2台の違いがより大きいことが見えてくる。アウディとBMWらしい差ともいえる。
後輪駆動が生まれつきのM3は、シャシー特性を活かしつつ、ドライバーの意志へ応えるようにフロントノーズを調整してくれる。コーナリングラインが定まると、控えめにトラクションが掛かり、脱出を助けてくれる。
M3は、見通しの良いコーナーが連続する登りで、深い充足感を与えてくれる。80km/hほどでも、病みつきになるほど。
RS3 サルーンは、アンダーステアをなだめながら、コーナーを縫っていくような印象がある。リアアスクルとトルクベクタリング機能が、必要な出番を待ちつつ、働くように。
アウディが実装したドリフトモードは、公道の速度域では充足感を得にくい。滑りやすい路面でも。そのかわり、アクセル操作に対しバランスを取るべく正確に処理し、高いグリップ力を生成してくれる。
狙ったタイミングで積極的にアクセルオンすれば、僅かにラインを乱すことも可能だが、M3ほどの自由度はない。真面目な大人が手のひらを返したように、やんちゃな子供っぽさを披露するような、二面性までは備わらないようだ。
活気に溢れ爽快に速い、独自の楽しませ方
アウディRS3 サルーンにも、他にはない個性がある。活気に溢れ、爽快に速く、独自の楽しませ方を備えている。筆者も好感を持つし、若い世代ならもっと響くと思う。
ただし世代に関係なく、若々しい気持ちを持つドライバーのための高性能コンパクトモデルとするなら、合理的な価格設定であって欲しい。エントリーグレードのRS3 スポーツバックの英国価格でも、5万2000ポンド(約806万円)を超えてしまう。
他方、BMW M3 コンペティションにM xドライブを搭載すると、8万ポンド(約1240万円)に迫る。だが、9万ポンド(約1395万円)を払っても良いと思わせるほど能力に長け、実用性にも優れている。
父は、より良い意見を口にすることがある。だが息子が、その意見へ耳を傾けるとは限らない。新世代に向けたRS3 サルーンを、否定するつもりはない。
BMW M3とアウディRS3 サルーン 2台のスペック
BMW M3 コンペティション M xドライブ(英国仕様)のスペック
英国価格:7万8425ポンド(1215万円)
全長:4805mm
全幅:1905mm
全高:1435mm
最高速度:249km/h(リミッター)/289km/h(Mドライバーズ・パッケージ)
0-100km/h加速:3.5秒
燃費:9.9-10.0km/L
CO2排出量:228-230g/km
車両重量:1780kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:510ps/6250rpm
最大トルク:66.1kg-m/2750-5500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
アウディRS3 サルーン・ローンチエディション(英国仕様)のスペック
英国価格:6万885ポンド(約943万円)
全長:4542mm
全幅:1851mm
全高:1412mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:3.8秒
燃費:11.2km/L
CO2排出量:203g/km
車両重量:1575kg
パワートレイン:直列5気筒2480ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:400ps/5600-7000rpm
最大トルク:50.9kg-m/2250-5600rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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