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「背の低いSUV」なぜ増える? “らしさ”薄れていくSUV 狙いは何なのか

掲載 更新 40
「背の低いSUV」なぜ増える? “らしさ”薄れていくSUV 狙いは何なのか

全高1700mm台→1600mm台→「それ以下」が増加中

 SUVの人気は留まるところを知らないようです。あのトヨタ「クラウン」ですら、新型はSUVを中心とした4つの車型で発表されました。
 
 最近のSUVは、昔とちょっと変わってきたような気がします。どこが変わったかと言えば「高さ」です。それは新型クラウンのスタイリングにも如実に表れています。

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 もともとSUVは、舗装路ではなく、土の道、つまりオフロードを走るクルマをルーツとしています。デコボコの道を走破するためには、クルマの床面を高くする必要があり、その結果、全高も高くなっていました。そのためSUV=「背が高い」、というのが常識でしたが、最近になって「背の低いSUV」が増えてきているのです。

 たとえば、土の似合うSUVの代表格である「ランドクルーザー」は全高が1925mmもあります。「ランドクルーザー」は、車格自体が大きいので、全高の高さはとびきりです。また、三菱自動車の「アウトランダーPHEV」は1740 1745mm、スバルの「フォレスター」は1715 1730mm。これら“オフローダー”のイメージのあるSUVは、すべてが1700mmを超えています。

 一方、売れ筋SUVのひとつ、トヨタ「RAV4」の全高は1685mm。ホンダの「CR-V」で1680mm、マツダの「CX-5」で1690mm、コンパクトなトヨタの「ライズ」でも1620mm。こちらはオフローダーよりも低めですが、それでも1600mmはオーバーします。セダンの全高は多くが1400mm台であることを考えれば、1600mmを超えるSUVは十分に「背の高い」クルマと呼べます。

 ところが、近年になって1600mmを下回るSUVが数多く登場するようになりました。

再熱? 背を低くする合戦

 その「背の低いSUV」のパターンのひとつが、小さなSUVです。トヨタの「ヤリスクロス」が1590mm、マツダの「CX-3」が1550mm、ホンダの「ヴェゼル」は1580 1590mm。これらはすべて全高が1600mmを下回ります。特に「ヴェゼル」は先代が1605mmであったところ、現行モデルになって車高を下げてきました。これらのモデルは全て、コンパクトハッチバック車と同じプラットフォームを使っている点も特徴です。

 パターン2となるのが、コンパクトSUVと同じように、乗用車のプラットフォームを使い、より背を低めたSUVたちです。プリウスと同じプラットフォームを使う「C-HR」は1550mm、レクサス「UX」は1540mm、「インプレッサ」の兄弟車となる「XV」は1550mm、「マツダ3」の派生となる「CX-30」は1540mm。これらのSUVは、他のモデルよりも明らかに背が低くなっています。輸入車に目をやれば、1580mmのルノー「アルカナ」も、同様に背の低いSUVとなります。

 これらの「背の低いSUV」は、どのモデルもオフロードではなく、街中を主なフィールドとしていることが特徴です。オフロード車とオンロード車、両方の要素を持つことを意味する「クロスオーバー」と呼んだ方が、ふさわしいかもしれません。

流行から生まれた「街乗りSUV」

 冒頭で述べたようにSUVはオフローダーから普及し、「=背の高いクルマ」というイメージが定着しました。しかし、SUVが流行ってくると、オフロードを走らない人もSUVを買い求めるようになります。「荷物が積める」「流行っているから」「格好良いから」が主目的になるのです。その先駆となったのが、1990年代に登場したトヨタの初代「RAV4」や、「ハリアー」でしょう。

 そうした街乗りSUVが増えるほどに、オフローダーSUVの伝統から乖離したモデルが生まれてきます。ライバルが多くなれば、差別化が必要になるからです。さらに、古式ゆかしく(車台とボディが分離した)ラダーフレームを使うのではなく、乗用車と同じモノコックのプラットフォームを使ってSUVを作れば、背を低くするのも非常に簡単です。

偏りすぎじゃないの? 消えていった車種たち

 このように、SUVの流行で多用化が進んだ結果、その裾野が拡大して、背の低いSUVが生まれたわけです。そのぶん、他のスタイルのクルマが減っていきます。

SUV拡大のとばっちりを受けたのが、セダン、そしてステーションワゴンではないでしょうか。セダンとステーションワゴンは、販売数が減っただけでなく、モデル数も激減しています。

 個人的な思いを述べれば、街中で使うのであれば、SUVよりもセダンやステーションワゴンの方が実用的ではないでしょうか。街乗りには走破性が求められないので、床下を高める必要もありませんし、セダンやステーションワゴンの方が軽くなり、走る/曲がる/止まる、その全ての性能が向上します。もちろん燃費もよくなりますし、タイヤの消耗も減って経済的です。そういう意味で、今こそ、セダンやステーションワゴンを再評価すべきではないでしょうか。

 もちろん、流行が消費を促進して、その結果、経済が活性化するという側面があります。SUVがブームになることで、クルマの文化が熟成されたとも言えます。効率と流行、どちらも重要ですが、今はSUVに偏りすぎのように見えて仕方ありません。新型クラウンもSUVとして発表されたいま、ここいらでSUV人気を最高潮として、そろそろセダンに戻ってきてほしいと思うばかりです。

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みんなのコメント

40件
  • クルマの背の高さではなく最低地上高が悪路には必要かと思うのは私だけだろうか。
  • 別の会社の記事で、1550ミリのタワーパーキングに入るSUV一覧って記事があった。ただそれだけのことでしょう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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