日産・三菱・ルノー連合が初めて世界販売2位へ躍進したことが話題になった、2017年の各メーカー販売台数ランキング。
では、2018年に国内における各メーカーの販売台数・シェアはどうなっているか? 毎年恒例、国産車の年間販売台数ランキングをお届けする。軽自動車がベストスリーを独占するなど、2018年に売れたクルマの動向を徹底的にチェック・検証する。
トップメーカーを全方位比較! トヨタがトップに立てない技術分野はどれだ!?
※本稿は2019年1月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年2月26日号
■新車販売台数は2年連続で増加、500万台超え
まずは2018年の新車販売台数全体を見てみよう。
自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽協(全国軽自動車協会連合会)が公表しているデータをもとに、全登録車と全軽自動車の年間販売台数を集計した表が、上にある2つの表となる。国内総販売台数、乗用車総販売台数は2017年から微増した。
微増した要因としては、トヨタの販売台数が落ち込んだものの、スズキが5万台ほど販売台数を伸ばしてカバー。三菱もエクリプスクロスをヒットさせるなどして販売台数を伸ばした。
気になるのはスバル。完成検査不正の影響もあり、販売台数が2017年から16%も落ち込んでしまった。
■N-BOXが23万台で年間1位に。プリウスが大苦戦
上に掲載しているのが国産全219車種の2018年年間販売台数ランキングだ(40位まで)。
2017年にフルモデルチェンジしたN-BOXが文句ナシの1位となった。2位にスペーシア、3位にタントと、軽ハイトワゴンが表彰台を独占。日本の軽自動車人気の高さがあらためて浮き彫りとなった。
ベストカーではN-BOXは22万台超えを予想していたが、それをさらに超えての23万台突破! ホンダさんすいませんでした。
まず注目していただきたいのがトヨタ。7位のプリウスが約25%販売台数を落としたが、実はC-HRのほうが厳しく、ハイブリッド(20位)で約37%、ガソリン(72位)も約25%台数を落とした。ハリアーも台数を落としており、トヨタのSUVは厳しい状況なのか? このあたりはカテゴリー別分析の際に詳しくお伝えする。
プリウスは2018年12月17日にマイチェンしたばかりなので、ここから数字が回復するか注目しよう。明るい材料は新型クラウンで、7カ月しか集計期間がないにも関わらず、34位にランクイン。
続いての注目はスズキ。ジムニー、クロスビーのヒットなどもあるが、スペーシアの販売激増が一番大きい。2017年から5万台近く販売台数を増やしており、この数字がスズキの総販売台数の増加数とほぼ一致する。
日産は乗用車が全体的に厳しめながらも、セレナe-POWER、リーフ、デイズルークスが販売台数増に寄与した。また商用車の販売が強いメーカーであることが、今回新たに調査した商用車販売台数ランキングで判明した。気になる方は最下段の商用車販売台数ランキングをご覧いただきたい。
ここからはカテゴリー別に見ていこう。
■コンパクトカー
日産からノートが2018年登録車の販売台数ナンバーワンという発表があったため、「なんでアクアが1位?」と思われる方に説明しておくと、ベストカーではハイブリッド車と内燃機関のみ車で集計を分けている。そのため、今年もアクアが1位となった。
ノートは合算すれば13万6281台となるので「車名」ではトップとなる。
上位6台は去年と同じランキングとなっている。ソリオは僅差でランク外となり、代わりにガソリンエンジンのノートが10位に食い込んだ。
2019年は、ヴィッツからヤリスになること、フィットのフルモデルチェンジをベストカーは予想しており、このあたりが順位に大きく影響を与えるだろう。
■セダン・ハッチバック・ワゴン
去年は集計していないが、SUVやコンパクトと比べて少し地味なジャンルになってしまったセダンとハッチバックとワゴンを一緒に集計した。
プリウスの1位は盤石で、2位以下が混戦になるかと予想されたジャンル。新型クラウンが好調で、6月登場にも関わらず2位。3位にはなんとEVのリーフがランクイン。
マイチェンすらほとんどしていない日産はともかく、2017年9月にシビックを投入するなどしたホンダからのベスト10入りがシャトルハイブリッドのみというのがなんとも寂しい。走り以外に何か一芸がないと、トヨタに太刀打ちできないカテゴリーのようだ。
2019年はカローラスポーツが入ってくるだろう。新型マツダ3がどうランキングを引っかき回すのか注目したい。
■ミニバン
2017年はセレナが1位だったが、2018年は僅差でヴォクシーが首位に立った。
セレナはずばり、e-POWERの追加によりガソリン車の販売台数が減った形だ。e-POWERとガソリン車を合算すれば9万9865台となる。アルファードは2017年から30%以上数字を伸ばして躍進。ヴェルファイアは少し数字を落としたが、アルヴェル全体で見ると数字を伸ばしている。
ステップワゴンはハイブリッドモデルが追加され、そちらが数字を伸ばしたこともあって販売台数が減ったのか、今回はランクダウン。シリーズ全体では5万6872台となる。
2019年は大きな動きもなく、営業力勝負となりそうだ。
■SUV
C-HRハイブリッドが大きく数字を落とし、ハスラーが首位に立った。
ハリアーも数字が落ち、ヴェゼルハイブリッド、CX-5、エクストレイルが繰り上がった形になる。CX-8、クロスビー、ランドクルーザープラドは去年ランク外だったが今年はランクインした。
3列シートのCX-8にデカハスラーのクロスビー、悪路に強いランドクルーザープラドが新型になったことなど、個性的なSUVが増えたことがC-HRやハリアーの数字が落ち着いた要因かもしれない。
2019年はジュークがフルモデルチェンジされe-POWERが追加されたら面白い。また、RAV4登場がCX-8の販売台数にどう影響を与えるか注目だ。
■スポーツ>
2017年10月登場のシビックタイプRが1年フルで販売された結果6位へと躍進。86、ロードスターはともに数字を落としたが、86の下がり幅が大きくロードスターがトップに立った。レクサスLC500hが発売から時間がたち台数を落とした結果、GT-RとフェアレディZがランクイン。
2019年の注目はスープラ。かなり戦略的な価格設定がされると予想しており、登場していきなりこのカテゴリーの首位に立つ可能性もある。
■軽自動車
2017年9月にフルモデルチェンジしたことで、2017年の販売台数ランキングではダイハツ タントに1位の座を譲ったホンダN-BOXが雪辱を果たした。
2017年も新旧モデルを合算して20万7999台を販売していたN-BOXだが、2018年はさらに台数を伸ばし23万5890台という驚きの記録を残した。ホンダの販売力もあるが、クルマに相当な魅力がないと、ここまで伸びることはないだろう。
2位には、こちらも2017年12月にフルモデルチェンジを行ったスズキスペーシアがランクイン。15万2103台という数字は総合でも2位、登録車トップのアクアに対して2万5542台という差をつける好成績といえる。しかし、そのスペーシアをもってしても、N-BOXには刃が立たなかった。
そして3位には、前述のライバルたちがフルモデルチェンジを行ったこともあり2017年の王座を獲得したタントが入った。しかしすでにモデル末期とあって、2018年は厳しい戦いを強いられることとなった。前年比でマイナスとなり、2車に大きく差をつけられてしまった。
ダイハツの販売サイドとしては、N-BOXの圧倒的な強さにどこまで迫れるかは未知数だが、新型登場(2019年7月を予想)を首を長くして待っていることだろう。
メーカー別シェアを見てみると、N-BOX、そしてN-ONEの好調のおかげで、ホンダが 2017年と比べて0.6%のアップ。モデル数に勝るダイハツ、スズキには及ばないが、着実にシェアを伸ばしている。
対して、ホンダにシェアを喰われることになったのはダイハツだ。ミライース、ムーヴキャンバスといった人気モデルはあるが、やはりタントの失速が大きく響いているのか、前年比0.9%とライバル、スズキとの差が詰まってきた。2019年に投入が予想されるタント、ムーヴでどこまで挽回できるか注目だ。
【番外コラム】 商用車でイチバン売れているクルマは?
商用車部門で強さを見せたのは、ダイハツのハイゼットトラックで、3位には同じくハイゼットシリーズのカーゴが入った。
2017年まで8年連続で販売台数ナンバー1を獲得しているハイゼットトラックは、2018年5月に一部改良を実施。フルモデルチェンジ時に搭載しなかった衝突被害軽減ブレーキ「スマートアシスト3t」を新たに採用したことが、トップを守るための武器となった。
ハイゼットトラック以外の注目といえば、9位にランクインしたN-VANだ。2018年7月に発売し、日本カー・オブ・ザ・イヤーの審査員特別賞も授賞。来年はさらに上位にくるだろう。
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