モノの見方や感じ方は人それぞれだろうが、実際問題として「ポルシェ=経済的成功の象徴」というのは確実にある。
要するにポルシェというクルマは、スポーツカーであると同時に「金持ちであることを表す記号」としても広く認知されている。
値下げで割安とは限らない!? 新型登場の型落ち中古車は買い得か
だが、ポルシェ=高額というのはあくまでも新車や正規ディーラーで売っているような高年式中古車についての話でしかない。
中古車販売店を覗いてみると、車両価格80万円ぐらいの初代ボクスターや、同じく車両価格190万円程度の水冷の996型911が数多く展示されている。
これらの激安ポルシェは、買っても大丈夫なのか? それとも手を出してはいけない禁断の泥沼なのか? 中古車事情に詳しい伊達軍曹が解説する。
文/伊達軍曹
写真/ボルシェ
【画像ギャラリー】なぜこんなに安い? 激安986型ボクスター&996型911の新車当時の写真をチェック!
車両価格80万円! 中古の初代ボクスターは買っても維持できる?
1996年にデビューしたミドシップスポーツ、986型初代ボクスター。ボディサイズは全長4315×全幅1780×全高1290mm。デビュー当初は204ps/25.0kgmの2.5Lフラット6を搭載
初代ボクスターの中古車相場はこちら!
80万円といえば先代ホンダN-BOXの中古車ぐらいの価格であり、190万円というのは、トヨタカローラフィールダーの低走行中古車を買うぐらいの予算。
ポルシェというのは、中古であれば「その程度」の予算でも、買おうと思えば買えるものなのだ。
しかし「買える」というのと「無事に維持できる」というのは、まったくの別問題である。
車両価格80万円で初代ポルシェボクスターを買ったはいいが、「その後の修理代で100万円かかりました」というのではまったく意味がない。
ということで以下、「格安予算で狙える中古ポルシェの現実」について、いろいろと検討してみることにしよう。
格安予算で狙えるポルシェといえば、まず最右翼となるのは初代ポルシェボクスター。水冷式の水平対向6気筒エンジンをミッドにマウントして後輪を駆動する、電動開閉式のソフトトップを備えたオープン2シーターだ。
発売は1996年で、当初のパワートレインは最高出力204psの2.5L水平対向6気筒に5速MTまたは5速ATを組み合わせている。
1999年モデルから220ps/26.5kgmの2.7Lに排気量が拡大
1999年10月発売の2000年モデルから標準車のエンジンは最高出力220psの2.7Lとなり、同時に3.2L+6速MTまたは5速ATの「ボクスターS」を追加。その後、さまざまな改良を重ねながら2004年12月まで販売された。
で、そんな初代ボクスターの一部モデルが「車両80万から120万円ぐらい」という、ほとんどホンダN-BOXの中古車を買うのと似たような予算で狙えてしまうのだ。
このあたりの価格帯に入る初代ボクスターに、年式やグレードなどの傾向は特にない。いや、「前期型ベースグレードのティプトロニックS(5速AT)が安い」という基本的な傾向はあるのだが、しかし2.7Lの後期型ベースグレードや3.2LのボクスターSが100万円前後で売られていることも、決して珍しくはないのである。
だが結論として「車両80万から120万円ぐらいのゾーン」にある初代ボクスターは、基本的にはスルー推奨だ。
もちろん物事に「絶対」というのはないため、なかには「車両価格90万円なのに中身はサイコー!」みたいな初代ボクスターが存在する可能性も0%ではないだろう。
だが筆者のこれまでのさまざまな取材によれば、このあたりの激安価格帯の初代ボクスターは、正直かなりボロいという場合が大半なのだ。
1996年発売当時のボクスターのコクピット
外装はあちこちがくすみ、内装のレザーや樹脂部品にはスレやキズが目立つだけでなく、車内全体に謎の臭気がこもっている……的な状態である。
そして内外装がボロいだけならまだいい(?)が、そういったボロい系初代ボクスターのエンジンはこれまた、たいていの場合、「謎のうねり音」を発していたりする。
謎のうねり音の原因は、エンジンをバラしてみないことにはわからない。インターミディエイトシャフトのベアリングか?
あるいは点火系が腐っているのか? はたまたシリンダー内部にキズが入っているのか? あるいはそのほかか?
だがいずれにせよ、そういった個体には近寄らないのが君子の心得である。もしも無理やり買ったとしても早晩、購入価格と同程度の修理代が必要となるか、もしくは二束三文で手放すハメになる可能性が大だからだ。
満足できるボクスターの中古は150万円以上
2003年にマイナーチェンジ。新デザインの前後バンパーや17インチアルミホイール、ウインカーのクリアレンズ化、マフラー形状変更、リアウィンドウが熱線入り安全ガラス製に。エンジンは無段階調整式の新型バリオカムプラスを採用し、ボクスター、ボクスターSともに8psアップ
1999年に追加されたボクスターS。252ps/31.1kgmの3.2Lフラット6を搭載。写真は大幅なマイナーチェンジを受けた2003年モデル
初代ボクスターの中古車情報はこちら!
まずまず満足できるはずの初代ボクスターの価格目安は、2020年11月現在でズバリ「車両価格150万円以上」といったところである。
もちろんこれは厳密かつ画一的に線が引けるものではなく、なかには車両価格140万円ぐらいの「程度良好な初代ボクスター」もあるだろう。
逆に150万円以上出してもダメだった、というケースもなくはないはず。
だがイメージとして車両150万円ぐらいを目安に、販売店の店柄・人柄と整備履歴を重視しながらあせらず探せば、トヨタルーミーの中古車を買うのと似たような予算感で、まあまあ整備履歴が良好で、変なニオイや謎のうねり音が発生していないポルシェボクスターが見つかるはずだ。
以上は、ポルシェのなかでは「やや傍流」ともいえるボクスターの中古車に関する考察だが、ポルシェの保守本流ど真ん中である「911」であっても、格安予算で狙える中古車は存在している。
1997年に誕生した水冷の996型は?
1997年にデビューしたタイプ996。300ps/35.7kgmを発生する水冷3.4Lフラット6を搭載。いわゆる涙目型のヘッドライトが特徴
ボディサイズは全長4430×全幅1765×全高1305mm
996型911の中古車情報はこちら!
ポルシェ911としては初めて水冷エンジンを搭載した、「タイプ996」と呼ばれる世代だ。
それまで頑なに空冷方式のエンジンが搭載されてきたポルシェ911だったが、1990年代に入るとさすがに厳しくなる一方の排ガス規制を空冷エンジンでクリアするのは困難になってきた。
そのため1997年、前述のとおりポルシェ911史上初めて水冷方式の水平対向6気筒エンジンが搭載されたのが、996型のポルシェ911だった。
前期型カレラのエンジンは最高出力300psの3.4Lフラット6で、トランスミッションは6速MTまたはティプトロニックS(5速AT)が組み合わされていた。
2001年9月発売の2002年モデルでマイナーチェンジが実施され、カレラのエンジン排気量が3.6Lに拡大されるとともに、可変バルブ機構が「バリオカムプラス」となって最高出力が320psに。同時にヘッドライトのデザインが911ターボと同形状のものに変更された。
で、そんな996型ポルシェ911の中古車は、探そうと思えば車両価格190万円前後から見つかる。
まぁ190万円前後というのはさすがに一部の底値物件だが、おおむね200万~240万円という「2014年式トヨタヴォクシーぐらい」の価格帯でも、そこそこの数が流通しているのだ。
このぐらいの価格帯に属する物件の特徴は、初代ボクスターの場合とほぼ同様。すなわち「傾向としては前期型の素のモデル(ティプトロニックSのカレラ)が多いが、決してそれだけでなく、マイナーチェンジ後の後期型が含まれる場合も多い」ということである。
そしてこれらの格安996も、初代ボクスターの格安系と同様に「基本的にはスルー推奨」となる。
スルーすべき理由も、初代ボクスターの場合とほとんど同じ。有名な弱点である「インターミディエイトのベアリング破損問題」については、後期型正規輸入車にはポルシェ ジャパンのサービスキャンペーンが適用されており、前期型はそもそも問題が発生しにくいタイプのベアリングが使用されている。
しかしインターミディエイト云々の問題以前に、底値系の996型911の中古車は決して「絶対に」ではないのだが、まぁ多くの場合で、外装はあちこちがくすみ、内装のレザーや樹脂部品にはスレやキズが目立つだけでなく、車内全体に謎の臭気がこもっている。
そしてエンジンからは謎のうねり音が発生し、足回りのフィーリングも「完調な911」からはほど遠い……というニュアンスなのだ。
仮にそういった個体を買っても「ポルシェ911らしさ」などというものはとうてい味わえず、味わおうとするならば、ざっくり見積もって100万円ぐらいの整備コストを投入しないことには難しいだろう。
コクピットはごく一部のデザインが違うのみで基本的には初代ボクスターと同じ形状のものを採用
水冷996型の満足できる中古車は290万円以上
2002年マイナーチェンジした996後期型。ヘッドライトデザインが911ターボと同形状に変更。エンジンはバリオカムプラスを採用し、3.6Lに拡大、320ps/37.6kgmを発生する
前後バンパーも空力特性を改善すべくデザイン変更を受け、フロントフェンダーも15mm拡大された
2002年のマイナーチェンジでメーターのデザイン変更をはじめ、ステアリングは3本スポークに変更。さらにダッシュボードにグローブボックス、ダッシュボード中央に引き出し式のドリンクホルダーを配置
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まずまず満足できるはずの996型ポルシェ911の価格目安は、2020年11月現在でズバリ「車両価格290万円以上」といったところだ。
もちろんこれは厳密かつ画一的に線が引けるものではなく、なかには車両価格280万円ぐらいの「程度良好な996型911」もあるだろう。
だがイメージとして290万円ぐらいを目安に、販売店の店柄・人柄と整備履歴を重視しながらあせらず探せば、先代トヨタハリアーの中古車を買うのと似たような予算感で、まあまあ整備履歴が良好で、変なニオイや謎のうねり音などが発生していない996型のポルシェ911が見つかるはずだ。
ちょっと目を引く底値の相場でも、買おうと思えばポルシェは買える。しかしそういった値段の個体は――絶対ではないが、多くの場合で……イマイチな状態だからこそ安いのだ。
ある程度ちゃんとしたモノの値段は、どうしたってある程度以上にはなるというのが、ポルシェに限らず中古車の必然であり、市場経済の宿命でもある。
とはいえ初代ボクスターの場合で車両150万円以上、996型911の場合で車両290万円以上というのは、購入後の維持においてかかる整備費用を勘定に入れたとしても、ポルシェに乗ることで得られる満足感から考えれば「けっこう安い!」と言えると思うのだが、いかがだろうか?
まぁ筆者としてもご興味のない人にお薦めするつもりは一切ないが、ご興味があるのであれば、一度真剣にご検討されてみることをお薦めしたい。
ちなみに996型911の後継モデルである997型(2004~2011年)も、底値系であれば車両280万円ぐらいから探すことはできる。
しかしこれもまた「車両価格400万円以上」をひとつの目安とすることをお薦めしたい。
2005年モデルのタイプ997で丸型ヘッドライトが復活。前期型は325ps/37.7kgmの3.6Lと355ps/40.8kgmの3.8Lを用意。2008年6月に発表された後期型は直噴エンジンやPDK(デュアルクラッチ式MT)を搭載
997型911(初期型)の中古車情報はこちら!
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