O/Sピストンに合わせたヘッドガスケットの製作
メーカー純正のヘッドガスケットは、オーバーサイズピストンのボア径に合わせてノーマル(STD)のものよりも大きい穴径で作られているため、0.5mmや1.0mmといったO/Sピストンに合わせたボーリングを行っても、ヘッドガスケットはSTDの物がそのまま使えるようになっています。
不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア!? まずはベンリイC92のエンジン特性から時代背景を徹底解説【vol.1】
しかしレース用などの、さらに大きなピストン径へのボアアップをするには、純正ヘッドガスケットの穴径を超えてしまう為、専用のガスケットが必須。
車種別のボアアップキットなど、ヘッドガスケットまでセットになって販売されている物もありますが、今回の様に他車種のピストンを流用する場合は、ヘッドガスケットを別で用意しなければなりません。 そんな時に役立つのが、弊社でおこなっている「銅ガスケット製作」というメニュー。純正ヘッドガスケットから、スキャナーで取り込んだ形状データをCADCAMで編集し、任意のボア径に変更した上でマシニングを使って、銅板から切り出して必要なサイズのヘッドガスケットを作成します。
古い外車等の希少車でヘッドガスケットが入手できない場合でも、実車から外したヘッドガスケットがあれば同様に加工をすることが可能で、厚みを変えて製作する事もできます。
なお、スキャナーで取り込んだデータを基にしている都合上、どうしても若干の誤差が出てしまう為、切り出してそのまま組める訳ではなく、ノック穴などシリンダーに合わせられるよう、若干の修正は必須。
同様にボア径も誤差を見越して若干大きくする必要がありますが、今回は敢えて小さく作成し、シリンダーボーリング時にノックピンを入れた状態でガスケットを載せ、同時に加工する事でシリンダー内径とピッタリ同径に仕上げました。
実はノーマルエンジンの圧縮は低い?
冒頭で純正ヘッドガスケットは、O/Sピストンに対応する分ボア径が大きいと説明しましたが、自分がこの事について強く意識する様になったキッカケはスズキ「GS750」のオーバーホールを行った時でした。
弊社の主力商品であるICBMの耐久テストをする為に、純正STDピストンに合わせたアルミメッキスリーブを4本準備しましたが、全て同じスリーブでは鋳鉄シリンダーとの比較にならないと思い、メッキは2本で1本は鋳鉄材のターカロイ、もう1本は純正スリーブで走行し、減り具合を比較する事に急遽変更。
純正スリーブはオーバーサイズピストンにしなければならず、仕方なく鋳鉄シリンダー2本は0.5mmO/S、メッキシリンダー2本はSTDで仕上げる事になったのです。
しかし、エンジンが組みあがって実圧縮を測定すると、メッキシリンダー2本はサービスマニュアル通りの8.7kg/cm2から8.8kg/cm2ですが、鋳鉄シリンダー2本は何故か、9.3kg/cm2から9.4kg/cm2もあったのです。
多少の変動はあって当然ですが、ここまでの違いがある事は予想外でした。
さらに上の1mmオーバーサイズだったら、何処までハイコンプになってしまうのか?そこまで変わってしまうと、キャブセッティングも同じとはいきません。
その要因の一端がヘッドガスケットだったのです。
一般的にオーバーサイズピストンに合わせてボーリングしたエンジンが以前より力強く感じるのは僅かな排気量の違いよりも、むしろ圧縮が上がった事に依ると考えられます。
この考えが間違っていない事を確信したのは、ベンリイC92のレストアを始める直前に、通勤用のホンダ「CB250RS」をレストアした時のことでした。
CB250RSはピストンクリアランスが良好な状態であった為、シリンダーに関してはそのままで組む事にしましたが、ヘッドガスケットはSTDピストンΦ74mmに対して2mmO/Sピストンまで対応しています。
厚さ1mmのヘッドガスケットで片肉1mmものスキマがあったなら、当然圧縮は下がるので、厚みは同じ1mmのまま銅ガスケットを使用して、Φ74.3mmにしました。
そうすることで他の要因は変わらずに圧縮が上がった場合、キャブレーションがそのままでは濃すぎる状況になりますが、純正で#112だったメインジェットが#72まで下がったことで、アクセルレスポンスとトルク感が別物の様に良くなり、カタログ値25馬力とは思えない位には速いと感じられるバイクに仕上がったのです。
話が逸れましたが、これでベンリイC92の部品単位でのオーバーホール作業や必要部品の準備は全て終わり、組立ができる状況が整いました。
次回は、エンジンの組み立てをしていきます。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
トヨタ本気の「小さな高級車」に驚きの声! めちゃ豪華な「本革×本木目」内装を採用! 小型車に「クラウン品質」取り入れた“直列6気筒エンジン”搭載モデルに反響あり!
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
トヨタ『ランドクルーザー』リコール…ドライブシャフト不良、走行不可能になる恐れ
トヨタ「“2階建て”車中泊仕様」がスゴイ! 大人5人が寝られる「豪華ホテル」風内装! 広さ2倍になる“マル秘機能”も搭載する「謎のハイラックス」とは?
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
日産『エルグランド』、15年目の大変身へ! 燃費倍増も、BEV化はおあずけ?
「なんで“鳴らした”!?」 後続車の「クラクション」に“イラ”っと! 一度は感じる「ブレーキ問題」! 見直すべき“ブレーキ技術”とは
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?