■ミニバン市場は縮小傾向なのか?
ミニバンは昔から根強い人気を誇っていますが、ここ数年では徐々にミニバン市場が減少傾向にあるのではないかといわれています。
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一方で、SUVの人気が高まり、自動車メーカーは多種多様なSUVを市場に投入。まさに、SUVブームといえる状況です。ミニバン市場とSUV市場には、どのような関係性があるのでしょうか。
約30年ほど前に、「RVブーム(クロカンブーム)」が起こり、そして「ミニバンブーム」がやってきます。その後、「軽自動車」や「コンパクトカー」といったジャンルも定番化され、いまに至っています。
ミニバンは、家族や友人とでクルマに乗って旅行やレジャーにいく需要が高まったことから、人気が高まりブーム化したといわれます。
なかでも、トヨタ「エスティマ」やホンダ「オデッセイ」などの登場をきっかけに人気に火が付き、2000年代に入ってからは、トヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、日産「セレナ」、ホンダ「ステップワゴン」といったミドルサイズミニバンを売れ筋のモデルになります。
その後は、フルサイズミニバンでいわゆる高級ミニバンのトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」、日産「エルグランド」もミニバン人気に拍車を掛けたのです。
しかし、最近ではコンパクトサイズのトヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」が3列シートの多人数乗車ではなく、レジャー道具の積載性や車中泊などの使い勝手に特化した2列シート車の設定などによって人気を博しています。
一見、ミニバンジャンルというなかで、サイズ感やニーズの変化により移り変わりがあるように思えていました。
しかし、ミニバン市場のユーザー動向における「リピート/流入/流出」をマツダが調査したところ、2010年のミニバン市場はリピートやリピートが多かったのに対して、2014年ではリピートに変化はありませんが、流入が減少し、SUVからほかのジャンルに乗りかえる流出が増加していました。
さらに、2018年では新型モデルの登場などもあってリピートこそ増加していますが、流入に対して流出が多い傾向は変わっていなかったようです。
一方で、SUV市場は年々増加傾向にあるとマツダはいいます。国内SUVの登録車/軽自動車の販売台数の推移は、20万台強でしたが、2018年には約65万台を記録して、2019年には70万台に近い台数になると予測されます。
国内のSUV市場について、マツダの国内営業本部の担当者は次のように説明しています。
「国内のSUV市場は伸び続けているといえ、直近でも新型SUVの投入は続いており、2020年もさらに伸びると想定しています。
一方で、セダンやミニバン市場の縮小傾向が続くなか、SUVの構成比は2010年からの9年間で2.5倍増となり、2018年にはセレナやアルファードなどのミドル・フルサイズミニバンと同等の構成比です。
そのため、SUVは登録車全体で高い構成比を占める小型ハッチバック(アクアやマツダ2など)に次ぐ、2位規模の市場に成長しているといえます」
※ ※ ※
では、なぜミニバン市場が減少傾向にあるのに対して、SUV市場は伸びているのでしょうか。さまざまな理由が考えられるなかで、多くのSUVラインナップを持つトヨタの販売店スタッフは次のように話します。
「ミニバンからSUVにユーザーが移っている理由はいくつかあると思います。まずは、ミニバンが流行った頃はいまよりも祖父母や複数のお子さまがいる家庭が多くありました。しかし、最近では多くても4名家族という風に家族のスタイルが変化しているのではないのでしょうか。
その結果、多人数乗車が必須だったミニバンから使い勝手やライフスタイルに合う多様性をもったSUVが流行ったのだと思います。実際に、当店でも『子どもが成人した』、『老後はアウトドアや釣りに冒頭したい』といった理由などで、ミニバンからSUVに変えたお客さまはおります」
また、前出のシエンタやフリードに2列シート車やSUV風のグレードが追加された理由でも、「年配のお客さまなどから車中泊をしたいという要望があった(シエンタ・開発主査)」や、「SUVのテイストを持ったスライドドアのクルマが無かったため、ミニバンの機能を持ったSUVテイストのグレードを追加した(フリード・開発主査)」と、アウトドアや車中泊といった、ニーズが全体的に高まっていることがわかります。
■SUVは増えすぎた? 今後のSUV市場はどうなる?
増加傾向にあるSUV市場ですが、供給過多にはならないのでしょうか。
最近では、前出のマツダが同社のミニバンラインナップを廃止した代わりに、3列シートSUVとなる新型モデルの「CX-8」を2017年12月に投入。さらに、2019年10月には「CX-3」と「CX-5」の中間サイズとなる「CX-30」を発売しています。
さらに新型モデルとしては、三菱「エクリプスクロス」やダイハツが開発を主導したダイハツ「ロッキー」とトヨタ「ライズ」というなども登場しているほか、20年ぶりにフルモデルチェンジを遂げたスズキ「ジムニー/ジムニーシエラ」、5代目となるスバル「フォレスター」も新しくなっているのです。
また、販売低迷などによって一時期は国内市場から撤退していた、トヨタ「RAV4」とホンダ「CR-V」も復活を果たすなど、まさにSUV時代ともいえます。
トヨタのSUVラインナップでも、前出のライズ、RAV4をはじめ、「C-HR」、「ハリアー」、「ランドクルーザープラド」、「ランドクルーザー」と、細かなニーズやターゲット層を狙うような販売戦略を進めています。
実際の販売面では、「従来のコンパクトSUVのCX-3とミドルサイズSUVのCX-5では、囲えないユーザーに対して、おすすめできるサイズのモデルが出てくることは嬉しい限りです」(マツダ販売店スタッフ)という声があるようです。
前出のマツダが調査したユーザー動向におけるSUV市場の「リピート/流入/流出」では、2010年時点ではリピートや流入に対して流出が大きかったですが、2014年から2018年にかけて逆転し、流入が大きく増加しているようです。
このような背景を踏まえた結果、マツダは同ブランドへの入り口となるエントリーモデルとして、「CX-30」を導入したのだと説明しています。
ダイハツやトヨタのロッキー/ライズも、同様にエントリーモデルやさらに細分化するニーズを埋めるモデルとして導入されたようです。
2020年には、新型モデルとしてハリアーやランドクルーザーの登場が噂されているほか、マツダは電気自動車のSUV「MX-30」を欧州で発売するなど、SUVはこれからも増えていくのかもしれません。
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