高度成長期に需要があったピックアップ
乗用仕立てのピックアップトラックといえば、アメリカやオーストラリア、東南アジア方面では多く見かけるジャンル。日本市場向けには、ほとんど見かけることはないが、かつては日本でも乗用仕立てのピックアップトラックに需要があった。それはモータリゼーションが進展しはじめた1950~1960年代のことだった。
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初代スカイラインベースのスカイウェイ
いまでは一家に一台というくらいの普及率だが、当時の自動車は高嶺の花。複数所有など夢のまた夢だったといえる。そのため、自営業などでは仕事用のクルマ(商用車)をファミリーカーとしても使えるような乗用車テイストが求められた。
そうした中で生まれたのがプリンス自動車の「スカイウェイ・ピックアップ」。見ての通り、初代スカイラインのピックアップ・バージョンといえるモデルに仕上げられていた。
最初で最後のクラウン・ピックアップ
そうしたトレンドの中で、トヨタもフラッグシップであるクラウンをベースとしたピックアップを用意する。初代から3代目クラウンまでは商用バージョンは「マスターライン」という名前だったが、4代目クラウンをベースとしたピックアップ仕様で初めて「クラウン ピックアップ」の名が与えられた。
残念ながら”最初で最後”となったクラウン ピックアップは、ダブルキャブとシングルキャブを設定。エンジンは4気筒と6気筒が用意されるなど、まさにクラウンの名前にふさわしい上級ピックアップだった。
じつは4人乗りのスバル・ブラット
さて、次のモデルは国内では未発売だった乗用車ベースのピックアップ。北米でのニーズに応えるべく生まれた「スバル・ブラット」だ。こちらも車名からはベースモデルが想像できないが、見てのとおりレオーネをベースとしたピックアップ仕様である。ただし、完全なレジャーモデルであり、荷台には後ろ向きに2座が用意された4人乗りなのもユニークだった。
このブラットは2世代でいったんラインアップから消滅するが、2003年にスバルBAJA(バハ)という当時のレガシィアウトバックをベースとしたダブルキャブのピックアップ・バージョンが復活したことも記憶に残る。もちろん、こちらも北米専用モデルだった。
レジャー風味のbBオープンデッキ
国内向けに乗用車をピックアップ仕様としたユニークな存在がトヨタのbBオープンデッキ。スクエアなbBのフォルムを活かし、キャビンスペースを小さな荷台としたモデルだ。荷台は小さく、そのシルエットはピックアップ的ではなかったが、汚れた道具をラフに積み込んだり、アウトドアレジャーで活用したりといった新しい提案だった。
なお、荷台は非常に小さいこともあって商用車ではなく乗用車登録だったのも異次元な存在だった。
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