いずれMotoGPの世界も空力マシンの争いに?
MotoGPの世界も、日増しに空力性能への追及がエスカレートしてきました。サーキットを疾走する戦闘的なマシンを見て、僕(筆者:木下隆之)は目を丸くしました。フロントのカウルの先に、左右へウイングが伸び始めたのは数年前からですが、リアのテールエンドにまで空力的付加物が組み付けられるようになりました。前後にウイングを組み付けることで空気抵抗を減らし、同時に強烈なダウンフォースを生み出そうという傾向は、今後も益々増えていくような気がします。
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と言うのも、もはや空力マシンになってしまったF1のエアロ効果は尋常なレベルではありません。前後の巨大なウイングに強い空気の力を発生させ、タイヤを路面に押し付けます。ボディのいたるところに、鱗のような隆起が確認できますし、小さなウイングレットも無数です。もはや素人には、それがどう効果を生むのかを理解することは不可能なほどに、複雑な造形になっているのです。
F1マシンを開発するデザイナーには、その無色透明で見えないはずの空気の流れが「見えている」のでしょう。空力を制する者がレースを制する……そう言っても過言ではないような気がします。
F1マシンのパワーユニットは、電気モーターと内燃機関を合体させたハイブリッドですが、パワーユニットを開発するメーカーは、単純にパワーを出すことに注力するのではなく、ユニットを冷やすことを優先しているそうです。もしくは熱を持たないパワーユニット、あるいは高熱になっても性能低下しないパワーユニットが理想のようなのです。
パワーユニットが熱問題を抱えている場合、例えばラジエターを大きくしなければなりません。ラジエターを冷やすためにより多くの空気をラジエターに導かなければなりません。そのために、本来空気抵抗を減らすため、あるいはダウンフォースを稼ぐための空気を、冷却側に分け与えなければならなくなります。
極端な話ですが、パワーユニットを冷やす必要がなくなれば、ラジエターも不要ですし、ラジエターを設置するためのサイドポンツーンも不要になります。それにより余ったスペースを、ダウンフォースを稼ぐために活用できます。
さらに付け加えるならば、エンジンや電気モーター、あるいはバッテリーが熱を持ち、それを冷却することはつまり、エンジンや電気モーターが発生するエネルギーを大気に捨てていることに等しいのです。発生した熱を回生でかき集めて加速エネルギーに活用するのが理想なのです。
このように、もはやパワーユニットの開発もモアパワーだけではなく、熱に対しての耐性を高めることに力を注いでいるわけです。エンジン開発も、空力的な性能を高めることを考えなければならないそうです。
MotoGPのパワーユニットは内燃機関に依存しています。F1のようなハイブリッドではありませんから、熱に対してそれほど神経質になる必要はないのかもしれません。ですから最近流行り始めている前後のウイングは、シンプルに空気抵抗低減とダウンフォース増加だけを狙いにしていると想像しますが、近い将来、MotoGPのパワーユニットも熱に対する耐性が求められるかもしれませんね。
F1マシンはカウルに覆われていますから、僕らがそのカラクリを目にすることはほとんどできませんが、比較的メカニズムが顕になっているMotoGPマシンでは、僕らでもそれを目視することができるかもしれません。今から楽しみです。
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