■元祖ピッコロフェラーリ!
まだV型12気筒エンジンがフェラーリの象徴であった時代、ピニンファリーナに入社したばかりのレオナルド・フィオラバンティの勧めで、コンパクトなV型6気筒エンジンをリアミッドに搭載するモデルを開発しようとしたのはエンツォ・フェラーリであり、それが後の「ディノ」シリーズの始まりだった。
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●1974 フェラーリ「ディノ246GTS」
1967年のトリノ・ショーに出品されたディノのプロトタイプは、それ以前に発表されていたプロトタイプとは構造的に大きな変更がなされていた。
この時すでにフェラーリは、ディノのプロダクション化を宣言していたのだが、それまでプロトタイプで使用してきたV型6気筒エンジンをリアミッドに縦置きで搭載するには、さまざまな問題があることを感じていたためだ。
量産化のためには、同時に開発されていた高回転型V型6気筒エンジンをより扱いやすく、さらに小型化することが求められていたのである。
こうした問題に対して、フェラーリはエンジン自体の小型化ではなく、パワーユニットのレイアウトを見直して横置きにすることで、問題を解決するにいたった。
1968年後半にはさらに4台のプロトタイプが完成し、続いて生産型の「206GT」がマラネロの本社工場からラインオフされる。車名のディノが、エンツォの子息であるアルフレード・ディノ・フェラーリに由来することは良く知られている。若くして他界した彼は、それ以前にヴィットリオ・ヤーノなどとともに、V型6気筒エンジンの設計に携わってもいた。
■エンツォの息子の名がついた「ディノ」の価値は?
206GTは、生産を開始した1968年から翌1969年までの間に、トータルで105台がラインオフされたに過ぎない。ボディをアルミニウム製としたことなど、206GTは想像以上に高コストなモデルだったのだ。
この時すでにフェラーリのロードカーに関して親会社となっていたフィアットからは、低コストで大量生産することをフェラーリは求められていたのだ。
●1974 フェラーリ「ディノ246GTS」
その結果206GTは、1969年に「246GT」にマイナーチェンジされる。走行中の扱いやすさを増すために、エンジンは2.4リッターに拡大されるとともに、ホイールベースを60mm、全高も20mm伸ばして居住性も向上されている。
180psから195psにパワーアップされたエンジンは、確かにフレキシビリティに富み、ボディのスチール化によるハンデを解消する大きな効果もあったに違いない。
ひとくちにディノ246GTといっても、実はこのなかにもいくつかの仕様が存在する。
1969年から1974年までの「タイプL」、1971年に生産された「タイプM」、そして最終モデルとして1974年まで生産を続けた「タイプE」の3モデルだ。
今回のRMサザビーズ、パリ・オークションに出品されるのはタイプEだ。このタイプEの途中から追加されたタルガトップを持つ「246GTS」のアメリカ仕様となる。
アルジェントとブルーレザーインテリアの内外装色の組み合わせは、1972年にマラネロの本社工場で施されたものである。この個体には、オプションのエアコンとパワーウインドウも装着されている。
参考までに新車当時の価格は、前後してデビューした「365GT/4(デイトナ)」が800万弱リラだったのに対して、ディノ206GTは500万弱リラと大きな差があった。
RMサザビーズのパリ・オークションでのディノ246GTSのエスティメートは、40万から42万ユーロ(邦貨換算約5080-5330万円)。はたしてカスタマーはこの数字をどう判断するだろうか。
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みんなのコメント
だからディノさ。
地元でおばちゃんが乗ってるのをたまに見る。