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日本メーカーは全ブランドが出展する力の入れよう! 3年ぶりにインドネシアのモーターショー「GIIAS 2022」を観た(2) 日本メーカー編

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日本メーカーは全ブランドが出展する力の入れよう! 3年ぶりにインドネシアのモーターショー「GIIAS 2022」を観た(2) 日本メーカー編

2022年8月11日から21日の11日間、ジャカルタ近郊のBSDシティにある国際展示場でGIIAS 2022(ガイキンド・インドネシア・インターナショナル・オートショー2022)が開催されました。テーマは「The Future Is Bright」(未来は明るい)です。
新型コロナウイルスの影響で2020年は二度の延期を経て中止、2021年は事前にアプリにのみのチケット販売、時間帯別入場規制などの対策を行った上で開催、今年もワクチン接種及び入退場の記録確認アプリのインストールを義務づける対策を行ない開催されました。2019年までの状況に戻るにはまだまだ時間がかかりそうです。
会場入り口までの手続きや雰囲気はコロナ禍を強く意識させるものでしたが、会場に入ってみれば皆マスクをしている以外は3年前と変わらない盛況ぶりでした。

【画像121枚】「GIIAS 2022」の日本メーカーのギャラリーはコチラ
四輪車25、カロセリ(コーチビルダー)3、二輪車15ブランドの出展があり、会期中の来場者数は38万5487人だったと発表されています。39の新型車(内16のEV)が発表され、のべ1万人以上がEVを体験試乗したとのこと。本編では日本のメーカー別に少々詳しめに紹介します。

会期中の来場者数は38万人超え! 3年ぶりにインドネシアのモーターショー「GIIAS 2022」を観た(1) 概況編

ダイハツは日本でお馴染みの「ロッキー」を展示

“アイラEV”のプロトタイプを出展しました。“アイラ”とは現地で生産販売されているLCGC(ローコストグリーンカー。排気量、燃費、車両価格など一定の条件を満たせば奢侈税が免税になる。代わりに補助金を受けているレギュラーガソリンは給油してはならない)車。現地のR&D拠点が中心になって開発しているとのこと。R&D拠点は250人のエンジニアを擁し、日本(人)との技術交流も盛んに行われているそうです。
日本大使館の代表である田村政美次席公使(在インドネシア日本国大使館のナンバー2)も招いて説明するという力の入れようでした。スクリーンにウェルカムメッセージまで掲示してあった!
この他、昨年フルモデルチェンジしてラダーフレームFRからモノコックFFにと誕生以来の大変革を遂げた3列7人乗りMPVの“セニア”のスポーツコンセプトモデル、市販車の“アイラ”、“シグラ”、“シリオン”、“テリオス”、“ロッキー”、日本からそのまま持ち込んだ“ロッキーeスマート”をシステムと共に展示していました。
ちなみにダイハツは、1978年のインドネシア進出以来2021年までの累計生産台数が700万台。現地生産車の現地調達率は80%、ジャカルタ地域に5つの工場を持ち、75カ国に12万3000台を輸出、LCGC車は2013年の登場以来2021年までの累計生産台数が51万9000台に上るなど、今では最重要海外拠点になっています。

人気のスズキは多数の量産ハイブリッドモデルを発表

先に発売した、インドネシアで初めての量産ハイブリッド車である“エルティガ・ハイブリッド”、“S-PRESSO”(エスプレッソ)と新型“バレノ”を発表しました。こちらにも田村政美次席公使を招き念入りに説明していました。
この他、市販車の“XL7”(エルティガ・クロスオーバー的な)、“SX4 S-Cross”、“ジムニー”を展示。“ジムニー”人気は相変わらず。現地生産によるコストダウン(税金の差による。四駆の輸入車は税金が高いため邦貨換算約400万円になる)を願う好事家は多い。
「売れてるんだから現地で生産してくれれば安くなるから早くして!」と、言いたくなりますし、実際そういう声は多いそうですが、事はそう単純ではないのが工業製品の難しいところ。実際に試算してみると……という現実がありますので。
“エスプレッソ”(旧型アルトベースのクルマ)、と“バレノ”はインドから、“ジムニー”は日本からの輸入車です。輸入車が増えているので政府からの輸出増圧力がすごいそうです。
「旧型“アルト”をベースにこんなクルマを作るなんてすごいでしょ」と、関係者は胸を張りますが、現地の記者やクルマ好きは、「“エスプレッソ”はインドローカルのクルマでしょ。ちょっとねぇ。“バレノ”はインド製だけどワールドカーだから別格」と、言っていました。インドネシア人は昔からインドとインド人が好きじゃないのでなかなか難しそうです。
ただこれは私や現地のジャーナリストの見解であり、一般のユーザーはちょっと違う考え方をしていたようで、初期導入分は早期完売したとのこと。そう言えば……、いつだったかハスラーを参考出品したことがあり、一般ユーザーの反響がすごく大きくインドネシアでも売ればいいのにと思ったことを思い出しました。あの時は現地法人の社長に、「これは売れますぜ社長!」なんて調子のいいことを言いました。S-PRESSOは雰囲気が似ているんですよね。反省。
新型バレノに関しては別にジャーナリストを集めてのラウンドテーブルディスカッションも行われたのですが、そこではこんな質問が出ました。
「“エルティガ”と“バレノ”は同じK15Bエンジンなのに“バレノ”にはなぜハイブリッドがないの?なぜパーキングブレーキがEPBじゃなくてこれ(手でレバーを引き上げる動きをしながら)なの?」“エルティガ・ハイブリッド”が市街地で20%強燃費が良くなると評判なこと、日本車は目を惹く装備で中韓メーカーに負けているともっぱらの評判なので、どちらもありそうな質問でした。

三菱の注目モデルはエクスパンダークロス

この国の人々の意識から消えかけたところに“エクスパンダー”を出し見事復活した三菱。2017年のこのショーで発表された時に日本から大勢出張していた開発担当者から、「どれほど真剣にこの国のユーザーのことを考えて開発したか」並々ならぬ思いを聞きながら、「やればできるやん。なんで“ミラージュ”でやらんかったん?」と、思ったものです。
累計25万台以上を販売、20カ国以上に輸出もしている“エクスパンダー”・同“クロス”がマイナーチェンジを受けました。大きなアップデートは液晶メータークラスター、ワイヤレス充電、マルチアラウンドモニター、ソフトパッドなどですが、興味を惹いたのはAYC(アクティブヨーコントロール)の新搭載とリアショックアブソーバーのシリンダーにCセグメント用の部品を採用したこと。
「これによって乗り心地が相当上級化しました」と、ミツビシ・モータース・クラマ・ユダ・セールス・インドネシアR&Dダイレクターの三井光氏は自信満々。
「最初にこのクルマを開発した時には、日本の開発陣とこちらの販売メンバーが喧喧諤諤の議論をしたのですが、マイナーチェンジの企画でも現地からは要望を相当強く出しましたし、日本側もそれを全て受け入れてくれました。実は社内には『このクルマは俺がやったんだ』と言い続けてる人が多いんです(笑)」とも。
かなりの思いが込められたクルマであることが窺え、込めた魂は製品を通してユーザーに必ず伝わるんだなと改めて思いました。
実際“エクスパンダー”がデビューした直後のスタートダッシュはすごく、その勢いは今も衰えていないのですが、売れて売れて生産もじゃんじゃんできるのに納車がちっとも進まず敷地内に在庫が積み上がるという皮肉な事態が発売当初に起こりました。理由はデリバリー用のトランスポーターの手当ができなかったから。それ以前は売れるクルマが“パジェロ・スポーツ”しかなかったため持ってなかったんですね。急に言われてもトランスポーターないよって。
EV系では、“ミニキャブMiEV”をポス・インドネシア(郵便)、ハレヨラ・パワー(送配電サービス)、ゴジェック(モビリティーサービス)、DHL(ドイツ資本の物流企業)の4社に1台ずつ無償貸与しての実証実験中です。年内に終了予定ですが、もっと使いたいと申し出があればそのまま使ってもらうつもりだとのこと。
物流バンなら走行ルート(圏)も固定できるので充電ポイントも設定しやすいでしょう。商用車から社会に貢献してロイヤルティを高めていく地道な手法は、何十年も前から日本車が得意としてきたことで中韓メーカーにはぜったいにマネできないこと。いいアプローチだと思います。“アウトランダーPHEV”の実績は10数台ですが、いわゆる“意識高い系”の人が買っているそうです。

多彩なモデルをラインアップしていたトヨタ/レクサス

トヨタはここインドネシアでも「全部本気」を全面に打ち出していました。“BZ4X”を発表した他、EVおよび電動車 “C+pod”、“プリウスPHV”、“カローラ・ハイブリッド”、“C-HRハイブリッド”、“カローラ・クロス”、“アルファード/ヴェルファイア”、“ヴォクシー”、ローカル生産販売車の“アギヤ”、“アファンサ”、“キジャン・イノファ”、と随一の品揃えを誇ります。
GRにも力を入れており、“スープラ”を頂点に各モデルのGRを冠したグレードも注目度が高い。レクサスは新型“RX”をアジアプレミア。全モデルにEVタイプを揃えると発表しました。また、先陣を切って“UX300e”をG20のVIP用に提供します。

日本メーカー中でホンダは最大規模の展示スペース

ローカルモータースポーツにも積極的に取り組んでいるホンダは“BR-V”、e:HEVの技術展示、“ブリオ”10周年記念展示にスペースを割いていました。ローエントリーモデルの“ブリオ”/同LCGCタイプの“ブリオ・サティヤ”発売10周年。ローカルモータースポーツ参戦車も多く展示するなど日本メーカーでは一番の展示内容でした。
新型“BR-V”を発表。2023年にe:HEVを搭載した現地生産モデル二車種を発売するとも発表しました。ミレニアムのころくらいまでは“アコード”が“コロナ(カムリ)”、“ギャラン”と日本セダンの覇権争いをするほどの人気車種でしたが、今は見る影もありません。
ブリオシリーズが売上の半分に迫る勢いなので儲からなくて困るとの内部の声が聞こえてきています。いいブランドだったのでがんばってほしいと思います。
しかし……、発売直後のBR-Vをすでに4000万ルピア(約40万円)も値引きして売っているとの噂を聞いたのでディーラーに出向いて訊いてみました・・・というよりその前にディーラーからのお得情報がSMSで届き、その中に値引きが明言されていました。そう、何の購入交渉もしないうちに高額値引きが向こうからやってきたのです。これはあかん、こんなことをしてはブランド価値が下がります。即刻やめてもらいたい。
過去に、販売不振でお腹空きすぎたためにモビリオ(日本のとは別のクルマ)をタクシー用に名前も装備も変えずに大量に販売し、自らとどめを刺してしまったことをお忘れか?
(注:タクシーと同じクルマはユーザーが嫌がるから。トヨタもフィオス(VIOS)とアファンサ(AVANZA)をタクシー用にも販売していますが、それぞれ名前をリモ(LIMO)、トランスムーバー(TRANSMOVER)と名前を変更し装備も変えています。)

生産を撤退した日産はどうだったか?

生産は撤退してしまったので輸入販売に切り替わりました(三菱“エクスパンダー”のOEM車である“リフィナ”は除く)。ピックアップ車の“テラ”、日本でもおなじみの“セレナ”、“リーフ”そしてコンパクトSUV“マグナイト”を展示。メーカーが撤退した割には大きなブースでした。

マツダは日本未導入のモデルがトピック

全モデル輸入となるマツダはスバルと並んでデザインや性能的に他車と一線を画していますので競合はいないと言えます。コアなファンも多い。“CX-9”と“2セダン”が日本にはないモデルです。正確には“2セダン”は教習車専用車として存在していますが、一般ユーザーは買えないクルマなのでないと言っても差し支えないでしょう。
マツダはかなり前によくわからないあれこれのために一度インドネシアから撤退寸前までいきましたが、ポルシェをはじめ欧州車の輸入販売を行っているユーロカーズが代理店になることで続けられたという経緯があります。危なかったんです。
その関係でブースはポルシェの隣です。ちなみにインドネシアの警察車両には“マツダ6“がかなり使われています。近づいてきて欲しくはありませんが、なかなかカッコいいと思います。”マツダ6“は高級セダンですが、パトカー用は装備をかなり省いた専用仕様なので意外に安いとのことです。

スバル(写真:140~148)

マツダ同様、全モデルを輸入しているスバルはデザインや性能的に他車と一線を画していますので競合はいないと言えます。スバルにもコアなファンは多い。
やはり“BRZ”に注目が集まっていました。展示車にはSold Outの表示がありました。売約済みなのに気前よく触り放題させてもらえるのはこちらならではですね。ちなみに価格はMTが約780万円、ATが約800万円です。
実はスバルも昔「やらかした」ことがあります。真相は税法の解釈違いという凡ミスだったようですが、悪質な脱税行為と見なされ一度インドネシアから追い出されています。でも無事戻ってこられて良かった。

盤石だけど中韓ブランドがヒタヒタと・・・

一時は生産94%、販売98%のシェアを誇った日本車ですが、この2年の間に中韓勢がかなり勢力を伸ばしており、急速にシェアを落としています。と、言ってもまだ90%以上はあるのですが。
ちなみに、ガイキンド統計による2021年1月~12月のシェア状況はこのようになっています。

生産:

メーカー

台数

シェア(%)

トヨタ

465,434

41.5

ダイハツ

163,819

14.6

三菱

146,594

13.1

スズキ

127,732

11.4

ホンダ

90,075

8.0

三菱ふそう

36,113

3.2

いすゞ

32,819

2.9

ウーリン

26,277

2.3

日野

22,450

2.0

DFSK

5,263

0.5

その他

5,391

0.5

合計

1,121,967

  シェア:日本96.7%・中国3.4%

販売(リテール):

メーカー

台数

シェア(%)

トヨタ

290,499

33.6

ダイハツ

151,107

17.5

三菱

104,407

12.1

ホンダ

91,393

10.6

スズキ

89,596

10.4

三菱ふそう

34,375

4.0

いすゞ

27,278

3.2

ウーリン

23,920

2.8

日野

19,793

2.3

日産

6,185

0.7

その他

24,795

2.7

合計

863,348

 

シェア:日本94.4%・中国2.8%

2022年に入って更に恐ろしいことになっています。
生産(1~7月):

メーカー

台数

シェア(%)

トヨタ

324,937

41.6

ダイハツ

105,855

13.5

スズキ

83,372

10.7

三菱

82,279

10.5

ホンダ

70,955

9.1

ヒュンダイ

31,933

4.1

いすゞ

24,646

3.2

三菱ふそう

20,374

2.6

日野

16,935

2.2

ウーリン

13,501

1.7

その他

6,477

0.9

合計

781,264

 

シェア:日本94.0%・韓国4.1%・中国1.7%

販売(リテール)(1~7月):

メーカー

台数

シェア(%)

トヨタ

172,204

31.6

ダイハツ

107,033

19.6

ホンダ

64,433

11.8

三菱

61,717

11.3

スズキ

47,831

8.8

三菱ふそう

20,556

3.8

いすゞ

17,808

3.3

日野

15,072

2.8

ウーリン

12,365

2.3

ヒュンダイ

11,515

2.1

その他

14,611

2.8

合計

545,768

 

シェア:日本95.6%・中国2.8%

2021年はその他に含まれていたヒュンダイが突如ランクインしています。
2021年は0.3%しかなかったヒュンダイが2.1%(10位)になっていました。
ウーリンとDFSKが失速し、ヒュンダイに流れているようにも見えますが、ヒュンダイの勢いを見ると、日本車のシェアが90%を割り込むのもそう遠くない未来のような気がします。混沌とした下町はまだまだ日本車の独壇場ですし、ここに中韓車の姿が見え始めるまでは大丈夫だと思いますけれど。
日本勢は、新参者にはマネできない、日本車ならではの戦い方を地道に進めている印象です。
ところでヒュンダイですが、あのアルファベットではヒョンデとは読めません。
ヒョンデとは読めないHYUNDAI表記を強引にヒョンデと読ませるのは韓国と日本だけで、それ以外の国ではヒュンダイあるいはがんばって発音しようとするけどヒュが難しくフンダイになっちゃう発音が一般的。従ってこの記事でもヒュンダイで統一しています。
同様に一部を除いて車名を現地の発音に合わせたカタカナ表記にしています。

(取材・写真・文:大田中秀一)

 

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みんなのコメント

1件
  • ヒョンデは昔アメリカのTVCMでは、ホンダイと言ってました。まだマイナーでそれ程売れていな時代で、多分ホンダにかぶせてた(ホンダの別バージョンです?的な)んだと思います。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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