国交省への届け出はトヨタ・スープラ
いよいよ新型スープラのデリバリーが始まった。これまでメディアや限定された展示でしか見ることのできなかったスープラを、公道で見る機会も出てくるだろう。もちろん、販売台数は限られているので「トヨタ車」としては見かける機会の少ないレア車かもしれないが。
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さて、スープラといえば国土交通省への届出においてはメーカー名が「トヨタ」、通称名が「スープラ」であるはずだが、プロモーションでは「GRスープラ」という表記でアピールしている。
過去の似たような例を探してみよう。たとえば、マツダの初代ロードスターは「ユーノス・ロードスター」であったが、この場合には国土交通省への届出としてメーカー名が「ユーノス」で通称名が「ロードスター」となっていた。一方、日産インフィニティQ45の場合は「ニッサン」がメーカー名で、通称名は「インフィニティQ45」という扱いだった。
しかし、新型スープラの場合はあくまで通称名は「スープラ」であって「GR」の文字はない。GRというのはあくまで愛称という位置づけだ。もっとも、こうした例は見かけないわけではなく、スズキの「スイフトスポーツ」も通称名は「スイフト」であり、「スポーツ」の部分は標準車と差別化するための商品名でつけられる部分だったりする。また、三菱のランサーエボリューションにおいても通称名は「ランサーエボリューション」だけで、その後ろについていたギリシャ数字は正式な通称名には含まれない。
新型スープラの名前については、国土交通省への届出的な意味での車名(これはメーカー名やブランド名のこと)は「トヨタ」、通称名は「スープラ」となり、商品名が「GRスープラ」という風に整理できる。
近い将来レクサスのように独立したブランドとなる可能性も
では、GRというのは何を示しているのかといえば、現在はトヨタのモータースポーツやスポーツカー開発を担う「GAZOO Racing」のことだ。トヨタのカンパニー制においてもGAZOO Racing Companyという組織として、ある意味で独立している。
トヨタのラインアップには、GRシリーズと呼ばれるスポーツコンバージョンカー(コンプリートカー)もあるが、その開発を担当しているのが同カンパニーというわけだ。たとえば「86 GR」というモデルについては、『トヨタ86をGAZOO Racing Companyがよりスポーティになるよう手を加えた』ということを示している。
一方で、新型スープラについては、名前の前にGRとついている。これは『GAZOO Racing Companyがクルマづくりの最初から担当した』ということを示す。あくまでも、GAZOO Racing Companyが開発したクルマということを主張しているのだ。もっとも、その実態として同カンパニー以外の人員も関わっているし、ご存じのようにそもそもBMWとの共同開発である。商品企画において、GAZOO Racing Companyとして純粋なスポーツカーを作ったという意思のあらわれと捉えるのが適切だろう。
では、この先において「GR」が、車検証に車名として記載されることはあるのだろうか。トヨタのプレミアムブランドである「レクサス」については、車検証をみればわかるように車名の部分には「レクサス」と記されている。スポーツカー・カテゴリーがレクサスほどの規模になるのかといえば難しいかもしれないが、すでに各エリアにおいて「GRガレージ」という特別な販売店を整備している。また、WECマシン「TS050h」のメカニズムをベースとした1億円超えのスーパースポーツカーを開発中であることも発表されている。
こうした流れと、新型スープラにおいて「GRスープラ」という名前を推している状況を考えると、「GR」を独立した車名(ブランド名)にしようという意図を感じてしまうのは、けっして考えすぎではないはずだ。
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