2018年12月に創業50周年を迎えた光岡自動車から200台限定で発売されたオープンカー『ロックスター』の価格が高騰しているという。新車価格で約500万円と高額ではあったが、4カ月ほどで完売したロックスター。
手に入れられなかった人向けに、ミツオカが公式に中古車を希望する人向けに発信もしている状況だが、中古車市場ではプレミア価格が付き、最高値は800万円超えという車両も登場しているらしい。
絶滅危惧種!! ラストチャンスか!?? 時代を背負った憧れのFRスポーツは中古で狙うべし!!
なぜここまで高騰しているのか? そのワケと、今後このプレミア価格は下がってくることはあるのか? など取材・レポートしていきたい。
文/伊達軍曹
写真/MITSUOKA、編集部
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■コルベットC2をオマージュして制作されたミツオカ『ロックスター』
英国のタブロイド紙『ザ・サン』が報じたところによれば、偉大なロックスターであるザ・ローリング・ストーンズのギャラは、ライブ1回あたり約4億7000万円に上るという。
日本でいう東スポに相当するザ・サンが流した情報の信頼性はさておき、そしてローリング・ストーンズのこともさておき、日本のロックスターの相場もかなり上がっている。
光岡自動車が創業50周年を記念して200台限定で発売したミツオカ『ロックスター』の中古車相場が約800万円に達しているのだ。
ミツオカ『ロックスター』は、前述のとおり光岡自動車の創業50周年を記念して作られ、2018年11月29日に200台限定で注文受け付けが開始された2座式のオープンスポーツ。ベースとなった車両は現行型マツダ『ロードスター』で、そこに2代目シボレー『コルベット(いわゆるC2)』を思わせるオリジナルデザインのボディを載せた記念モデルである。
NDロードスターをベースにC2型コルベットをモチーフに製作されたミツオカ『ロックスター』。60sアメリカンスポーツカーをうまく再現したニューレトロデザインが新鮮
1963年のデビューしたC2型コルベット スティングレイ。車名のスティングレイはアカエイを意味し、フェンダーの盛上りからエイのひれを連想させる
パワートレーンはロードスターゆずりの「スカイアクティブG 1.5」+6MTまたは6速ATという組み合わせで、最高出力は132ps。
ホワイトレター入りタイヤなどを備えたエクステリアは、前述のとおり往年のシボレー コルベットのオマージュで、リトラクタブルライトがポップアップしそうな造形ではあるが、実際のヘッドライトはバンパーの上に備わった小さなLED球だ。
エンジンはロードスターと同じSKYACTIVーG1.5(132ps/15.5kgm)で6ATと6MTを設定
デザイナーの青木孝憲氏が特にこだわったのがフロントマスク。本当はつけたくなかったというヘッドライトを目立たなくして、顔の印象をボンネットとフェンダーにした
200台限定で注文受け付けとなったこの車の新車価格は「S(6MTのみ)」が469万8000円で、「Sスペシャルパッケージ」が498万4200円(MT)/518万4000円(6速AT)だったが、これが発売から4カ月で見事完売となってしまったのだ。
しかし完売となったあとも「やっぱりロックスターが欲しい!」との声は収まらず、その結果として中古車相場が高騰してしまった――というのが、さしあたっての現状である。
■「限定200台」の希少性プレミアムはこのクルマの価値である
で、ここで議題としたいのは「なぜロックスターの相場はここまで高騰しているのか?」ということと、「今後このプレミアム価格は下がっていくのだろうか?」という2点だ。
まず最初の「なぜここまで高騰しているのか?」という疑問について。
これはもう非情に簡単というかシンプルな話で、「カッコよくて魅力的なのに、台数はきわめて少ない」ということで、市場原理の働きによって相場が上がっているのだ。
C2コルベットの模倣にすぎない――と斬って捨てることもできるミツオカ『ロックスター』だが、それでもやはりこの全体の造形は上手にまとまっており、「模倣でもなんでもいいからコレが欲しい!」と考える人の心に火を点ける力はある、なかなか素敵なデザインだとは言える。
また、それでいてメカの部分はマツダの現行型ロードスターであるため、本物のC2コルベットと違って故障の泥沼にハマるリスクはきわめて低い。それゆえ、ミツオカ『ロックスター』は(ある種の層にとっては)きわめて魅力的なのだ。
だが、そのようにカッコよくて魅力的なのに、販売台数はきわめて少ない。
総数でもわずか200台であり、しかもその200台は一気に生産され、一気にデリバリーされたわけでもない。2019年にまずは50台、そして2020年と2021年にそれぞれ75台ずつ製造され、注文した人にゆっくりデリバリーされていく――というのが、小規模メーカーである光岡自動車が採った方策であり、またそうせざるを得ないのが、小規模メーカーというものである。
そしてその「限定200台」という枠は、今後も拡大されることがない。
2018年11月29日に都内で『ロックスター』の発表会が行われた時の様子。光岡自動車は「限定生産」を価値と考え増産はしないと断言した
これは筆者が光岡自動車の担当者から直接聞いたことだが、ミツオカは「注文が殺到しているからといって、ロックスターを200台以上作ることは絶対にありません。お客様は『200台限定』という部分にも価値を感じてご注文していただいたわけです。それなのに『売れたから、やっぱりもっといっぱい作ります』とやってしまったら、それはもうお客様に対する裏切りです。それゆえ、弊社がロックスターを予定数以上に製造することは“絶対に”ありません」と断言している。
この「限定性」も、ロックスターという商品の相場を押し上げている大きな要因なのだ。
■短期的・中期的なロックスターの中古相場を予測する
このようなメカニズムによって、469万8000~518万4000円だったミツオカ ロックスターの中古車相場は約800万円まで高騰したわけだが、今後、その相場は下がるのだろうか?
中古車や株、為替などの未来を長期的に読み切ることなど、誰にもできない。だが、現在ある材料を元に短期的・中期的な予測をするとすれば、ロックスターの中古車相場は「そう簡単には下がらないでしょう」ということになる。
理由は「人気は高いままなのに、供給量は増えていないから」ということだ。
まず「人気」については、ミツオカ ロックスターの人気は依然として高い。もちろん一般大衆にあまねく売れるタイプの車ではないため、人気といっても「ごく一部での人気」に過ぎないわけだが、それでもロックスターは高人気商品である。
一般中古車店に物件が入庫すれば(買う・買わないはさておき)問い合わせが殺到する。そして光岡自動車の公式サイトでも、2020年春頃まではロックスターの中古車情報を配信する「Rock Star 中古車情報 お申し込みフォーム」というのがあったのだが、現在は下げられている。
このフォームは、ロックスターの完売以降も購入を希望する問い合わせが寄せられ続けたために開設されたもの。このフォームで申し込んでおくと、光岡自動車にロックスターの中古車情報が入り次第、申し込み順に最寄りのミツオカ販売店から連絡が行く――というものだった。
しかし、「申し込み者が極端に多い割に、肝心の中古車が出てくる気配がまったくない」ということで、光岡自動車はいったんこのフォームをサイトの見えないところに下げてしまったのだ。
そしてロックスターの中古車=申し込んで納車されたが、何らかの理由で早々に手放された個体は、一般中古車店にもほとんど流れてこない。
具体的には2021年5月上旬現在、カーセンサーnetに掲載されているのが9台で、グーネットが6台だが、両者でダブっている台数を除いてカウントすると、台数は全国でわずか12台。
2019年と2020年に製造されたロックスター 125台を分母とするならば、早々に手放したユーザーは(または、そもそも転売目的で購入した者は)1割以下でしかなく、9割以上のユーザーは、ロックスターの2019年および2020年ロットをまったく手放してはいないのだ。
もちろん、この傾向は今後変化する可能性もある。しかし基本的には「欲しがる人は多いが、良質な売り物の数は少ない」というフェラーリの人気モデルと似たような状況が、ミツオカ『ロックスター』においてもしばらくは続くはずなのだ。
本家のコルベットよりもミツオカ『ロックスター』の存在感が強い。これほどオーナーが所有する満足感が得られる車は10年後もピカピカの極上車であり続ける事だろう
10年後、ボロくなった中古ロックスターの相場がどうなっているかはわからない。だが少なくとも今後数年間は、おおむね現状ぐらいのプライスか、せいぜい100万円安くなる程度の平均価格を、ロックスターは維持するだろう。
それが、論理的な結論というか推論である。
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みんなのコメント
どのみち買う気もカネも無いくせに
クチだけは一人前の無職ヒキコモリ
大爆笑