クプラは「限界を考えずに、ほんとうに乗りたいクルマ」、メルセデス・ベンツは「まもなく生産」とそれぞれの未来像を見せた。
“バットモービル”を思わせる ―クプラ
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2023年の「IAAモビリティ」。ほかの記事で紹介してきたように、今回の特徴は、会場を、メッセとミュンヘン市内との2つに分けたことだ。
理由は、メッセ会場が手狭だとか、有料だと入場者をじゅうぶんに集められない(クルマばなれ?)とか、いろいろ取り沙汰されていたが、少なくともオデオンスプラッツなる中心部の広場での、オープンスペースなる各社の特設会場はにぎわっていた。
おおがかりなオープンスペースは、フォルクスワーゲン・グループのクプラだ。日本ではあまりなじみのないこのブランドは、スペインで2018年に立ち上げられた。
当初はスペインのセアトの高性能車のサブブランドだったが、いまは独立性が強くなっている。電動とスポーティさを両輪としたモデル作りを担当。今回は「ダークレブル・コンセプト」を展示した。
「未来のEVはセクシーでエモーショナルになれるということの証明」と、ウェイン・グリフィスCEOの言葉が紹介されているモデル。まるでゲームの世界から飛び出してきたようだ。
「限界を考えずに、ほんとうに乗りたいクルマってなんだ?と考えてデザインしました。デザインを通して、私たちは自分のフィーリングを表現できるし、大胆にもなるんです」
バルセロナでクプラのデザインチームを率いるヘッド・オブ・デザインのホルヘ・ディエス氏は、「フォルクスワーゲングループ・メディアナイト」でダークレブルを紹介しながらそう語っていた。
フレキシブルプラットフォームの「コンセプトCLA」はまもなく生産。 ―メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツは、真っ赤に塗った建物を会場にし、それだけでも話題を呼んでいた。上記のクプラといい、911を模した建物を作ったポルシェといい、オープンスペースは、ある種のクリエイティビティを発揮する場所のようだ。
メルセデス・ベンツは、2階建ての会場に、このショーで初お披露目となるBEVの「コンセプトCLA」を置き、暗いなかで光のショーを展開。ダイナミックな照明で楽しませてくれた。
「まもなく生産」とメルセデス・ベンツがするCLA(コンセプト)は、MMA(メルセデス・モデュラーアーキテクチャー)なるフレキシブルプラットフォームを使う。
特徴はCO2排出量を従来の40%以上削減しているところにあるという。同時に、メルセデス・ベンツのBEVのエントリークラスとして初のモデルとなる。
このさきに3つのコンパクトBEVモデルが控えていて、シューティングブレークと、2台のSUVだという。
省エネが重要なテーマで、新開発のLEDをふんだんに使いながらも、満充電からの走行距離は750km。電費は100km走るのに12kWhだそうだ。
MMAプラットフォームは、効率を追求してバッテリー電圧を800Vまで引き上げたシステム採用。同時に、バッテリーの高効率化もはかり、グレードに応じて、2種類を使いわける。
キラキラしているインテリアは若い層へのアピールをはかったものだそうだが、リサイクル素材を多く使用。なかには紙から作った(ドア)トリムもある。むかしのフィアットなどにもあったのを思い出した。
メルセデス・ベンツは、バリューチェイン全体でカーボンニュートラルをめざす「アンビション2039」を策定しており、あたらしいBEVの開発にも余念がない模様だ。
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