独自のモデル・アイデンティティ
執筆:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
【画像】新型登場 プジョー308 SW 欧州で競合するステーションワゴン・モデルと比較 全114枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
自動車メーカーの中には、ステーションワゴンから手を引くところもあるようだが、プジョーは今も大切なボディスタイルだと考えているようだ。洗練されたデザインの508にも、ちゃんとステーションワゴンのSWが用意されている。
そんなプジョーだから、新生308のデビューに合わせて、SWを用意することは確実な流れだったといって良い。先日のハッチバックに続いて、早速の試乗も叶った。
プジョーとしては、ハッチバックの308から展開した1バージョン、という捉え方はして欲しくないという。SWとして、独自のモデル・アイデンティティを与えようと取り組んでいる。
確かにクルマを眺めると、Cピラーから後ろのデザインはハッチバックと大きく異る。斜め後ろからの容姿は、エレガント、という言葉を用いたくなるほど。
最新の308 SWは、ハッチバックの308よりホイールベースが57mm長い。全長は269mmも伸ばされている。そのおかげで荷室の奥行は1026mmにまで深くなり、実用性を高めている。
ハッチバックと同様に、308 SWでも1.2Lのガソリンターボと1.5Lのディーゼルターボ、2種類のプラグイン・ハイブリッド(PHEV)からパワートレインが選べる。
今回試乗したのは、1.2L 3気筒ガソリンターボで、英国ではエントリーグレードとなるピュアテック。最高出力130ps、最大トルク23.4kg-mを発揮し、快適な走りを提供してくれる。
軽快で楽しい操縦性は損なわれていない
1.2L 3気筒ターボエンジンは基本的には滑らかに回転し、ノイズも静か。アクセルペダルを踏み込んでも、少し賑やかに感じる程度だ。
トランスミッションは8速ATで、適切なギアを小気味よく選んでくれる。普通に走っている限り、これ以上のトルクや加速力が欲しいと思う場面は殆どないだろう。
拡張されたボディを背負っていても、ハッチバックが備える軽快で楽しい操縦性が損なわれたとは感じられない点もプラス。ダイナミックな印象はやや目減りするが、そのかわり快適性は僅かに上昇している。
ステーションワゴンとして、悪くないトレードオフといえる。Cセグメントでの競争力は充分に高い。
リアシート後ろの荷室容量は、608L。PHEV版では548Lへ小さくなる。試乗車では、リアシートを畳めば1634Lにまで拡大できる。フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアントと比べても、引けを取らない容量だ。
プジョーがiコクピットと呼ぶ運転席周りのレイアウトは、相変わらず筆者にはしっくりこない。しかしGTプレミアムと呼ばれるトリムグレードが奢られ、インテリアは上質で心地良かった。全長が伸びているが、運転席からの後方視界にも優れると感じた。
フランス流の個性と優れた実用性
一新されたプジョー308 SW。ハッチバックを伸ばし荷室容量を広げたモデル、以上の仕上がりを獲得している。高められた実用性が、モダン・プジョーのシャープなスタリングを犠牲にはしていない。
ファミリー・ステーションワゴンとしての万能選手という尺度で比べれば、クラストップには並ばないかもしれない。しかし、フランス流の個性に優れた実用性が融合し、非常に好感が持てる1台へ仕上がっていることは確かだろう。
プジョー308 SW 1.2ピュアテック130 GTプレミアム(欧州仕様)のスペック
英国価格:3万1450ポンド(478万円)
全長:4636mm
全幅:1852mm
全高:1450mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:9.9秒
燃費:15.4-18.4km/L
CO2排出量:131g/km
車両重量:1345kg
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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みんなのコメント
昔のシトロエンみたいに壊れることもないし、足車としてプジョーは最高だと思う。
高くなることは予想していたけど、日本で発売しても買えないと汲んでプジョーから日本車に乗り替えました。