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英国で広報車だったホンダ「NSX」に価値はあるのか? 整備は行き届いていても落札されなかったには理由がある!?

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英国で広報車だったホンダ「NSX」に価値はあるのか? 整備は行き届いていても落札されなかったには理由がある!?

走行距離の多さが影響した?

2024年2月24日、アイコニック オークショニアーズがイギリスのシルバーストーンサーキットで開催したオークションにおいて、ホンダ「NSX タイプT」が出品されました。出品車両はイギリスでメディアへの貸し出し用に用意された広報車でした。気になるハンマープライスをお伝えします。

いまやホンダ「NSX タイプR」は6700万円! 日本から流出したのは、走行2万キロ未満の極上コンディションでした

30年以上前のクルマとは思えぬコンディションの良さ

自動車メーカーからニューモデルが発表されると、メディアは記事を作成するために、そのモデルをメーカーから借り出したりすることがある。車両のコントロールや、プレスリリースと呼ばれるニュースを発信してくれる部署を一般的には広報部と呼び、メディアが取材のために借り出すクルマのことは「広報車」と呼ぶのが一般的だ。

とりあえず自動車メディアの世界に飛び込んだら、最初にやらされるのは広報車の洗車やホイール磨きあたり。少し慣れてくれば借り出しや返却という仕事にもありつける。いわば雑用に耐えることこそが、自動車メディアに身を置いた者の宿命と考えていただければよいだろう。筆者も当然そうだった。

思わず昔のことを思い出してしまったのは、イギリスのアイコニック・オークショニアーズ社が、シルバーストーン・サーキットで開催した「レース・レトロ・コレクション・カー・セール2024」に、1台のホンダ「NSX タイプT」が出品されていたからだった。1996年モデルのタイプTは、いわゆる初代NSXが1995年にマイナーチェンジした時に誕生した、タルガトップボディを持つモデル。

リアミッドに搭載されるエンジンは、3LのV型6気筒DOHC VTECのままで最高出力は280psを発生した。画期的な押し出しアルミ合金製フレームとサスペンションが組み合わされ、非常に軽量かつ強靭なクルマに進化を遂げたのが印象的だった。それはタルガトップによってルーフの着脱が可能なタイプTにおいても変わらない。

今回出品されたNSX タイプTは、ラインオフ後すぐにイギリスへと送られ、メディア対応のために、例の広報車としての役割を担ったモデルだった。セブリングシルバーのボディカラーに、バーガンディーのハイドインテリアが施された右ハンドル、5速MT仕様のタイプTはメディアからの人気は高く、多くの雑誌のロードテストやプレスリリースに使用された。

当初はブラックトップのないシルバーで仕上げられ、一般的なプロダクションモデルとは異なるカラースキームであったのも大きな特徴。18インチ径のホイールと独自のエグゾーストシステムを装備しているのも見逃してはならないポイントだ。

現在までに11万9571kmと、忙しく使われる広報車らしく走行距離は伸びているものの、逆にメンテナンスはしっかりと行われてきたNSX タイプT。そのコンディションは、とても30年近く前に生産されドライブされ続けてきたスポーツカーとは思えない。

アイコニック・オークションニアーズは、それに7万5000ポンド~8万5000ポンド(邦貨換算約1430万円~1620万円)のエスティメート(予想落札価格)を設定したが、やはり走行距離の多さが影響したのだろうか。今回は落札には至らなかった。広報車だからといって、メディアがラフに扱っているわけではないが、英国の「AUTOCAR」や「Top Gear」をご覧になったことがある人なら、躊躇してしまう気持ちもわからないでもないのだが……。

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