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電動化時代に「ロータス」が得た本当のリスタート、今度こそ経営は“安定飛行”となるか?

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電動化時代に「ロータス」が得た本当のリスタート、今度こそ経営は“安定飛行”となるか?

ロータスの車名は「エ」から始まるのが伝統だ。近年のラインナップはエミーラ、エヴァイヤ、エレトレ、エメヤの4車種で、なんとエミーラ以外の3モデルは電気自動車だ。テスラなどのEV専門ブランドを除けば、最も「電化率」が高いブランドだろう。そんな新生ロータスのエレトレ、エメヤと相次いで実車を目の当たりにした西川淳氏は何を想ったのか、レポートを寄せてもらった。

よく知られていないブランドだからこそできる大胆なチャレンジ

905馬力のモンスターSUV降臨。ロータス、ブランド初の電動SUV「エレトレ」の国内受注を開始

ロータスと聞いて、あなたはどんなことを思い出しますか?

自動車メーカーであることをなんとなく知ってはいても、いったい具体的にどんなモデルを思い浮かべるのだろう?さしずめエリーゼに代表されるライトウェイトスポーツカーブランド、という答えが大半だろうか。別ブランドも含めロータスセブンはいまだに人気のプリミティヴ・スポーツカーの代表格だろう。スーパーカー世代ならヨーロッパやエスプリか。もっとマニアックにコーリン・チャプマンと一連のF1マシンを思い出すだろうか。ウィングカーとか。50年代から70年代にかけてモータースポーツ界とライトウェイトスポーツカー界を席巻したブランドだと、日本の車好きの中には正しい歴史を語ってくれる方もきっと多いことだろう。

けれども世界にとってはそれほど馴染みのあるブランドではない。デザイントップのベン・ペインは筆者にこう語った。「そうなんだ、よく知られているようで知られていない。だからこそ大胆なチャレンジもできるし、逆にヘリテージを有効に活用することもできる。ゼロからのスタートではない。けれども挑戦的でエキサイティングだ」

その歴史は決して平坦ではなかった。特に天才エンジニアにしてビジネスにも長けた創始者が亡くなってからというもの、その道は荊であったと言っていい。度重なる買収劇、いずれの新たな親たちもこの歴史あるブランドを我慢強く育て直そうとは思わなかったようだ。最新の親元を除いて……。

全く新しい「ライフスタイルブランド」への転換

 2017年、中国のジーリーがロータスを傘下に収めた。2,000psを発揮するフル電動スーパーカーの「エヴァイヤ」は、ジーリー傘下となった新生ロータスが世界を今一度振り向かせるために放った打ち上げ花火だった。ロータスを年産15万台規模のEVメーカーに育て上げる。ジーリーはエヴァイヤを打ち上げてそう宣言した。否、宣言だけなら今までの親も行った。ジーリーが以前の親と違うのは“言うだけ”ではなく実行が伴っていたことだった。

もちろん世界随一のマニアックさを誇るスポーツカーブランドのままでは、そんな目標など幻想にすぎない。ロータスは豊富なヘリテージを背景に、全く新しいライフスタイルブランドへの転換を試みる。フル電動化によって、だ。まさに電動モデルがブランドを作る今風の手法。エンジンを積んだロータスのロードカーは現在販売中のミドシップスポーツカー、「エミーラ」が最後である(大人気らしい)。

ジーリー傘下となってブランドの生き残る可能性は増した。生き残りさえすれば、マニアの愛した歴史や伝統も陽の目を見ることになる。マニアは過去のクルマをそのまま、否、場合によってはさらなる価値を加えて楽しむことができる。つい先日も彼らは「ロータス・タイプ66」というエンジン付きの古典的レーシングカーを発表した。ロードカーではないが、彼らがヘリテージをおろそかにしないというそれは宣言だ。ちなみにチーフ・コマーシャル・オフィサーのマイク・ジョンストン曰く、「ロータスCEOのFeng Qingfengは昔から大のロータス好きなんだよ」

過去と未来をミックスしてアピールする。今まで以上に多くの人々がロータスというブランドを知ることになり、当然ながら彼らは歴史にも興味をもつ。ロータスの歴史に対して尊敬を抱く人の数は、増えこそすれ減ることはない。

後編に続く

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