アメリカ限定モデルで採用したパーツを投入!
モデルライフも後半に差し掛かったと思われるスバルWRX S4に、「STIスポーツ#」なる限定500台のモデルが登場した。音楽で“半音上げる”ことを意味する“#”を掲げ、静的にも動的にも質感を高めたというこのクルマは、STI曰く“STIスポーツの完成形”だという。
注目は、北米向けのS209に標準搭載となったリヤのフレキシブルドロースティフナーを装備したことだ。荷室を覗くとピンクのバーが目に留まるが、それはドロースティフナー本体を荷物からガードするためのもの。本体はその奥に取り付けられている。リヤダンパー上部には、補強のためのリーンホースが縦に入っているのだが、それをブラケットを介して左右に繋ぎ、ドロースティフナーがグッと引っ張ることでボディにテンションを与え、ボディに生じている“遊び”をなくすことを目的としている。
STIではボディに加わる力の伝達遅れが運転を難しくするという考えのもと、フレキシブルシリーズを展開しているが、その最新アイテムをリヤまわりにも奢ったところが、STIスポーツ#のポイントといっていい。
もちろん、フロントにも同様の考えのドロースティフナーやフレキシブルタワーバーを標準装備。サスペンションやタイヤ&ホイールを変更せずに、動的質感を高めたというところが興味深い。
一方で吸排気系も改め、低圧損エアクリーナーエレメントや低背圧マフラー(中間パイプから後半)を変更。カタログ値は変わらないが、過渡域でエンジントルクは約10%の向上を果たしているという。
エクステリアは迫力のフロントアンダースポイラーを装備。対してリヤにはバンパーにエアアウトレットを設けているところが特徴的だ。SシリーズやEJ20ファイナルエディションで使ったアイテムが展開され、特別なルックスを手に入れているところが嬉しい。
まさにWRX S4の完成形と言える仕立てに感動
さて、こうして仕上がったSTIスポーツ#の走りは? バンピーな路面で有名な群馬サイクルスポーツセンターで試乗してみた。
走り始めてまず感じたことは、ステアリングに伝わる情報がリニアで、標準車のようにフリクションを感じないことだった。まるでボールベアリングをどこかに追加したかのように感じられるほど滑らかで、要求した通りに応答。正確性はかなり高く、直進安定性も向上している。これは爽快だ! 荒れた路面を高速で突き進んでも、恐怖感が一切ない。今回は生憎のウエットコンディションだったが、そんなシチュエーションでも安心して走ることができた。
また吸排気系を改めたことによりスロットルのリニア感も高まっている。中回転域のツキの良さが向上しており、スロットルコントロールがしやすいことがメリット。またマフラー部分でノーマル比1.9kgの軽量化がなされたことで、旋回性も高まっているように感じる(比較試乗した標準車がサンルーフ付きで+10kgと重かったせいもあるかもしれないが……)。
加えて遮音材の追加もあって、静粛性向上だけでなく、心地よいエキゾーストノートだけが際立つ造りとなったことも好感触だ。ここまで走れちゃうとブレーキがちょっと足りない。そこが唯一のウイークポイントだろうか。
このように、ルックスから走りまで洗練され大人の一台に仕上がったSTIスポーツ#は、たしかに完成形といえる仕上がりだ。この熟成は今後のモデルに継承していくべき、お手本となる一台と言ってよいだろう。
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