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道を選ばぬ異色のスーパーカー!──新型ランボルギーニ・ウラカン・ステラート試乗記

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道を選ばぬ異色のスーパーカー!──新型ランボルギーニ・ウラカン・ステラート試乗記

ランボルギーニの新しい「ウラカン・ステラート」は見ても、乗っても異次元だった! アメリカで試乗した小川フミオがリポートする。

44mm車高アップ

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オフロードを走れるスーパースポーツを標榜する、ランボルギーニ・ウラカン・ステラートに、2023年5月中旬に試乗した。

「ウラカンオーナーの多くが、これまで発表されたウラカンのなかでベストと言ってくれました」

米西海岸のパームスプリングスでの試乗会会場で、開発を指揮したチーフテクニカルオフィサーのRouven Mohr(ロウベン・モア)氏はそう言った。

英語だとグラベル(砂利)になる“ステラート”をサブネームに持ったこのウラカンの派生車種。ボディ各部に黒い合成樹脂パーツを取り付け、車高も「EVO」より44mm上げている。

ドライブモードに、オフロード用の「ラリー」を追加。ボディでは、サイドのエアインテークを排して(ふさいである)ルーフにエアスクープを設けた。砂埃から守るためという。

エンジンは610CV(449kW)の最高出力と560Nmの最大トルクをもつ5204ccV型10気筒ガソリン。もちろんウラカン・ファミリーなのでミドシップ。それにフルタイム4WDシステムを組合せる。

みずから三菱の「ランサー・エボリューション6」(「これがもっともピュアなランエボ」だそう)でラリーを楽しむモア氏は、ラリーマシンの魅力をウラカン・ステラートに盛り込みたかった、と、言う。

ランボルギーニのチームは、パームスプリングスの「チャクワラバリー・レースウェイ」で、サーキットと、おもに土からなるオフロード、ふたつを同時に走るコースを作りあげた。

ウラカン・ステラートははたして、おどろくほど、2つの世界で、すばらしい走行性能をみせてくれた。

臆せずアクセルペダルを踏め!スタートはサーキットで。ステアリングホイール下の「アニマ」(ドライブモードセレクター)で「スポーツ」を選んで走りだす。

おなじウラカンでもたとえば「EVO」の470kWには及ばないにしても、どかんっと加速するのはさすが。加速感はややマイルドな印象も多少あるが、それでもがんがん速度が上がっていく。

ステアリングホイールを切ったときのクルマの動きの印象も、ウルトラクイックでないが、逆に緊張を強いられない。ブリヂストンがウラカン・ステラートのために開発したタイヤはよく出来ていると感心。

コースの途中から、脇に逸れるようになっている。かつて建築家のエーロ・サーリネンが手がけた「ゲートウェイアーチ」ではないが、そのゲートを通り抜けると別の世界が拡がった。

砂漠のなかのようなレースウェイだけあって、舗装路面の周囲は大きな土の路面が拡がっている。そこにあえて起伏に富んだ屈曲路のコースを、ランボのチームは作りあげていた。

「ひとつだけリマインドしておきたいことがあります」と、モアCTOは、試乗前に私に言った。

「とにかくプッシュ、プッシュ、です(笑)」。

つまり臆せずアクセルペダルを踏め、ということだ。

走り始めは、ウラカン・ステラートの挙動がわからないので慎重にならざるを得ないのだが、しかし、途中から思い切ってアクセルペダルを踏み込んでみると、おどろいた。

後輪が強大なトルクに耐えきれず車体が外側にふくらむ。しかしそれは一瞬のできごと。

「LDVI(英語だとLamborghini Integrated Vehicle Dynamics)」がトルク配分を調整し、くわえてトルクベクタリング・バイ・ブレーキが働く。

うまいぐあいにリアがサーっと流れるが、ほとんどステアリングホイールの操作なしで体勢を立て直す。そして直進性を保ちながら、がんがんと速度を上げていく。

電動化を進めるランボルギーニだけに、いま手元にある多気筒エンジンでなんとか収益を上げようという姑息な魂胆によるニッチ(すきま)な商品かもしれない……。白状すると、私はウラカン・ステラートをそのように考えていた。ところがじっさいは、みごとな出来映え。

オンロードも快適レースウェイのあとは、国立公園のくねくね道やフリーウェイを200マイル以上走ってホテルへと向かった。途中のポットホール(道路の穴ぼこ)やうねった路面の凹凸のいなしかたもみごと。

トラック(左右車輪間の幅)は、EVOに対して前で30mm、後ろで34mm拡大された。サスペンションアームを伸ばしたことで、ホイールベースも9mm伸びて2629mmとなった。

タイヤも、ブリヂストンがこのクルマのために肝煎りで開発した「デュエラー」で、サイズは前が235/40R19、後ろが285/40R19である。

EVOは扁平率30%だったので、これも乗り心地に貢献している要素だろう。タイヤ自体の直径(タイヤハイト)も、ほかのウラカンよりすこし上がっている。

フリーウェイでは、アクセルペダルをちょっと強めに踏み込めば、速度計の針はやばい領域にさっと飛び込む(一帯の平均速度はかなり高かったけれど)。

テンションがかかりながらのハイスピードドライブは疲れた、と思ったら、時速65マイルでゆったり流せばよい。乗り心地はいいし、静粛性もロードノイズいがいはかなり低い。

そういえば、外から走行音を聞いていると、とても静かなのが印象的だった。パスバイノイズ規制に適合させているのだろう。あらゆる点で洗練されたモデルなのだ。

「パームスプリングスは、ウラカン・ステラートの多面的な実力を知ってもらういい場所なのです」というモアCTOのねらいどおり、まさにウラカンの万能選手だった。

日本での価格は3116万5367円というのが本社からの情報。

ただし、世界限定1499台は「ほぼ売り切れ」(本社広報)という。

文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)

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