輸入車SUVで3年連続ナンバーワンを記録した人気モデルが進化
フォルクスワーゲンのエントリーSUV「T-Cross(Tクロス)」は、2024年10月1日、マイナーチェンジを受けた新型を発売しました。
【画像】人気再燃!? 輸入コンパクトSUVの代名詞 VW新型「Tクロス」を写真で見る(26枚)
新型Tクロスは、フォルクスワーゲンのエントリーSUVです、
Tクロスは、2019年に日本初導入されたまったく新しいVWモデルですが、販売が本格化された2020年より3年連続で、「輸入車SUVナンバー1」の登録台数を記録。さらに2021年には、輸入車全体でナンバー2にもラインクインするほどの人気となっています。
一体、Tクロスは、それほどの人気車となったのでしょうか。
VWジャパン広報部によるとTクロスは、VWラインアップの中で最もユーザーの平均年齢が若く、女性比率も高いそう。さらに全体の約4割が、他ブランドや最初の愛車購入となる新規顧客が占めているとのこと。まさに現代のVWの顔ともいえる存在なのです。
人気の背景をさぐると、まず扱いやすいサイズが挙げられます。
全長4110mm×全幅1760mm×全高1580mm(※改良型標準車)と、日本車といえば、トヨタヤリスクロスと同等なので、日本の道路事情でも扱いやすく、駐車場にも適用しやすいサイズといえます。
価格も大きな強みとなっており、2019年のデビュー時の特別仕様車「1ST」が299.9万円。カタログモデルの「TSIアクティブ」も278万円からという300万円を切るエントリー価格を設定しており、輸入車として手ごろな価格でありながら、比較的装備が充実していることも評価されました。
もちろん、価格面だけでいえば、VWエントリーとなるコンパクトハッチ「ポロ」の方がお手頃ですが、ポロよりも一回りボディサイズが大きく、車室空間に加え、積載性でもゆとりが増しています。特に子育て世代には、より広く快適な後席が決め手となっている様子。またオーナーアンケートでは、SUVらしい元気のあるスタイリングや明るい内装色が選べることが好評だったそうです。
改良新型Tクロスの最上位ライン「Rライン」に試乗した
それらの人気を踏まえ、マイナーチェンジモデルでは、できる限り価格を抑えることとコスパの良さを重視した商品作りが行われました。
グレード構成は、改良前と同じ「TSIアクティブ」、「TSIスタイル」、「TSI Rライン」を受け継いでいますが、中間グレードである「TSIスタイル」で2.1万円高としながらも、装備を追加することで14万円相当のお得感を実現。さらにエントリーの「TSIアクティブ」では、1.7万円高としながらも、同様に装備を追加し、15万円相当のお得さを実現しています。
さらに最上グレードとなる「TSI Rライン」では、装備を見直すし、一部をオプション化することで10.3万円も価格を抑えました。これらの価格は、近年の輸入車の価格上昇を鑑みると、かなり大胆な攻めの戦法であることがわかります。
また女性を意識したアイテムとして、新たに前席用シートヒーターを採用し、RラインとTSIスタイルに標準化。そして、駐車支援機能である「パークディスタンスコントロール」を全車に標準化しています。
特に初採用となるシートヒーターは、短い距離でもしっかりと温かさを感じられるため、体の冷えやすい人の多い女性には人気のアイテムだそう。因みにポロのカタログモデルには、シートヒーターは非採用です。
試乗車は、最上位の「Rライン」です。外装がボディ同色に統一され、専用バンパーデザインやRライン専用シートとすることで、都会的かつアクティブな雰囲気を演出し、VWのモータースポーツブランド「R」の世界観を表現したモデルですが、基本的な仕様は、他のTクロスと共通です。
小さくともSUVの利点として、シート位置が高いので、乗降性に優れるだけでなく、前方視界も良くなります。そのため、コンパクトカーでありながらも、より大きな車を運転しているような安心感も得られます。そして、SUVらしいスクエアなデザインが生む見切りの良さは、街中での取り回しにも貢献してくれます。
全高を高めたことで、増した室内高は、前後席とも男性の筆者が着座しても、不満のないスペースであり、ファミリーカーとしての役目も十分に果たしてくれることがわかります。
パ ワートレインもポロと同じ1リッター3気筒ターボエンジンですが、一回り大きなボディなので、車両重量は、100kg~80kg増加しています。もちろん、エンジン性能は、その分、強化され、最高出力で21psアップの116ps、最大トルクで25Nmアップの200Nmとなっているため、1リッターターボという小排気量を忘れさせる走りを見せてくれます。
その走りは、小さくともドイツ車を意識させてくれるしっかりとしたものであり、ATのプログラムも、走り重視としたシフトコントロールをしてくれるため、ワインディングや高速道路でも元気な走りを可能としているので、遠出の相棒にも不足はありません。ポロ以上ゴルフ未満というダウンサイザーのニーズもしっかりと受け止めてくれているのでしょう。
※ ※ ※
自動車の価格が上昇する現代において、特に輸入車は再び高価なものとなってしまいました。
その中で狙い目となるのが、エントリーとなるコンパクトSUVです。国産車も力を入れるSUVだけに選択肢が多いのも確かですが、乗用車購入として、現実的な価格帯に収まる300万円台であり、充実装備を誇るTクロスは、消費者目線の貴重なドイツ車のひとつといえます。
改めてTクロスに乗ってみた私も、ドイツ車らしさがあるけど、背伸びした感じもないフレンドリーなキャラクターが魅力的なクルマと感じました。改良型となる新型T-CROSSも、VWの伝道師としての役目を担えるのか、その活躍が注目されます。
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みんなのコメント
国産車に買い替えたけど、新モデルではその辺りが改善されたのかどうか気になる。
お客様全てが走りに満足したいかと言えば決してそうではありません。それはあくまで一つの基準に過ぎません。実際のところは価格であったり装備であったり色々ですが、他社と比較した時のコストパフォーマンスはこのクラスのクルマではとても重要なところです。競合が多くなったこのクラスの中でソフトパッドのダッシュボードがようやく採用されましたが、いまだにサイドブレーキはレバータイプです。また、運転席、助手席上部のハンドグリップは今回どうなりましたか?見えないところの改善も大事ですが、先ずは見えるところを改善しない限り輸入車販売台数(登録台数)を他社から取り戻すことは不可能です。メーカーはもう少し真摯に現場の意見を聞きマーケティングする事を勧めます。相変わらずの隠蔽体質から脱却することはできるのでしょうか?