■赤字覚悟でスーパーカーを開発!?
レクサス初のスーパーカー「LFA」の生産が終了しておよそ12年が経ちました。
後継モデル登場の噂もあり、それを匂わせるコンセプトカーも用意されています。どのようなクルマなのでしょうか。
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LFAは2010年12月から2012年12月の2年余の間に、ほぼすべてが職人の手作業で1日1台のペースで作られ、計500台を生産して幕をおろしました。
車両価格3750万円(消費税込み)という超高級車になってしまった背景には、莫大な開発費用があったようです。
しかしそれでも赤字で開発費用を回収することができなかったと、まことしやかにささやかれていました。
赤字でも販売ができたのは、当時の社長、豊田章男氏が「トヨタには夢や憧れとなるクルマが欠けている」と語るなど、役員級の後押しがあったそうです。
またLFAの開発を主導していたのは役員クラスで、当時、トヨタでは売れないクルマを作らないという方針を持っていた部長クラスより上の階層だったという状況が、LFAの市販化を実現させたという逸話も残っています。
この赤字覚悟の開発・販売は、1960年代にトヨタが威信をかけて開発しながらも赤字覚悟で少数販売された「2000GT」と似たような背景がありました。
トヨタが「日本が世界に誇るトップレベルのスポーツカーを作りたい」と、妥協せずに開発されたLFAは、当初「LS」などに搭載されていたV8エンジンを流用する方向だったところ、同社がその頃にF1参戦を視野に入れていたこともあり、V型10気筒エンジンを新開発することになった模様です。
その“V10”エンジンは「1LR-GUE型」で、2000GTと同じようにヤマハ発動機製。最高出力560PS・最大トルク480N・mを発生し、アイシン製の変速タイミング変更機能を備えたクラッチレス6速セミATが組み合わせられました。
その卓越した性能だけでなく独特なサウンドを奏でる名機の仲間入りとされました。世界中のSNSでは、いいエンジン音ランキングで上位に付けるなどしています。
その結果、LFAは世界中で高い評価を獲得し「日本が世界に誇るトップレベルのスポーツカー」と認められるように。希少性もあり、現在では世界中で1億円以上の価格で取引されるようになりました。
このように自動車の歴史の1ページにその名を刻んだLFAですが、その後レクサスからは後継車となるスーパーカーは販売されていません。
しかし、新たな伝説を感じさせるコンセプトモデルがすでに登場しています。
■オーストラリアに現れた「LFA」後継モデルの正体とは!?
前述したように、再び赤字覚悟の開発がトヨタの重荷になり、後継車は出ないだろうと思われていました。
しかし、2023年11月上旬開催された「メルボルンカップ・カーニバル」で、レクサスのオーストラリア法人が「Electrified Sport Concept(エレクトリファイド スポーツ コンセプト)」の実車を展示し、世界中で大きな反響を集めました。
エレクトリファイドスポーツは、その車名が示すとおりのBEV(電気自動車)で、レクサスブランドの電動化戦略のひとつを示すコンセプトカーでした。
デザインは、カリフォルニアのデザイン施設「CALTY(キャルティ)」で行われ、超ロングノーズの印象的なボディが特徴的です。
ただレクサスのデザイン言語となっている「スピンドルグリル」が採用されておらず、これまでとは全く違う次世代のクルマであることを暗示していたのかもしれません。
バッテリーは、トヨタが開発中の全固体電池を採用して、0-96km/h加速2秒台前半のタイムで走り、航続距離は430マイル(約692km)を超えるスペックとなることが想定されていました。
駆動方式は、電動パワートレイン用の「DIRECT4」を採用する電子制御四輪駆動で、ハンドルと前輪は機械的な接続がない「ステアバイワイヤシステム」を導入するなど、スーパーカーたる性能を誇る技術が盛り込まれるようでした。
また、BEV用のマニュアルトランスミッションが搭載される可能性も示唆され、シフトチェンジの際に、プログラムが生成した走行サウンドを変化させる機能も採用する方向とのこと。
もしやLFAのV10エンジンのサウンドが電気的に再現されるかもしれないと、話題になりました。
EVでもMTを採用するというところも、セミATを搭載したLFAを強く意識していると思われます。
メルボルンでの展示の際には、エレクトリファイドスポーツの市販化についての情報はありませんでした。
LFA後継車の動向に注目が集まり続けています。
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