フルモデルチェンジしたメルセデス・ベンツの「E 220d 4MATICオールテレイン」は、SUVとステーションワゴンのいいとこ取りだった! 小川フミオがリポートする。
インフォテイメントシステムの拡充
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SUVではやりすぎ、ステーションワゴンだとちょっと物足りない……そんな人には、メルセデス・ベンツ日本が、2024年3月22日に発売したE 220d 4MATICオールテレインが良いかもしれない。
2017年に初代が登場。今回は2代目だ。いちはやく試乗したところ、しっかりした乗り味と、広い室内のパッケージと、贅沢な装備で印象に残るモデルだった。
新型Eクラスのラインナップにおいて、4輪駆動システムと、ディーゼルエンジンを組み合わせた唯一のモデルであるのも特徴のひとつだ。
2940mmのホイールベースに、全長4955mmのボディは余裕あるサイズ。Eクラス・ステーションワゴンと比較すると、最低地上高が30mm高い分、全高も30mm高くなり、1495mm。それでもSUVと違い、市街地にある回転式の駐車場にも難なく入れられる。ただし、左右輪の幅であるトラック(トレッド)はフロントで1605mmとけっこうワイドだ。やや気をつかう。
インフォテインメントシステムは大きくアップデートされている。助手席一体型ディスプレイの「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザーエクスペリエンス)スーパースクリーン」がオプションで用意され、助手席でもさまざまな機能が利用できる。
今回は、サードパーティのアプリがインストールできるようになった。 2024年3月の時点では「TikTok」「Angry Birds」(モバイルゲーム)、 「Webex by Cisco」 「Zoom」(ともにWeb会議サービス)、 「Vivaldi」(Webブラウザ)それに「Pocket Casts」(ポッドキャスト)が入っており、今後も増えていくとのこと。BMWとともに、この分野にかなり力が入っている。
「ハイ、メルセデス」で、起動する音声アシスタントには、「Just Talk」機能が付与されている。そのため、キーワードの「ハイ、メルセデス」を発話せずに音声操作を行うことができるように なっている。
もうひとつ、利便性が高い機能が「MBUX インテリア・アシスタント」。さまざまな室内機能を、発声やボタン操作でなく、ジェスチャーで操作できる。ルーフライニング内蔵の赤外線カメラが、乗員の身体の動きや身ぶり手ぶりを読み取り、対応する車両機能を起動するというもの。たとえばカメラの範囲内に指を2本さっと出すと、自宅へのナビゲーションを呼び出せるとか。継続採用の技術で使いやすい。
「ルーティン」なる機能も便利だ。複数の機能や条件をリンクさせられるのが特徴で、あらかじめ設定しておくと都度操作が省かれる。たとえば、「車内温度が12度℃以下なら、シートヒーターのスイッチを入れ、 アンビエントライトをウォームオレンジに設定する」など。好みの組合せを前もって設定しておくことができるのだ。
丁寧なディーゼルエンジンエンジンは、最高出力145kW、最大トルク440Nm。E220dステーションワゴンなどと共通だ。9段オートマチック変速機が組み合わされるが、燃費をかせぐため各ギア間の変速比を広くしている。そのためもあって、発進時や加速時に、モーターでトルクを上乗せするISG(インテグレーテッド・スタータージェネレーター)を搭載。おかげで、モタモタ感はいっさい感じられなかった。
2.0リッターのディーゼルユニットはパワフル。回転が上がっていくにつれて、どんどんトルクが積み増されていく加速感は、がさつなエンジン音がていねいに消されていることもあり、なかなか痛快である。
連続可変ダンピングシステム「ADS+」とエアサスペンションを組み合わせた 「AIRMATIC」サスペンションが標準装備されているおかげで、高速では速度に関係なく終始フラット感がある。ただし市街地ではやや硬い。タイヤのサイズのせいもあるだろうか。
高速走行時の車内は静かだ。風切り音も、ロードノイズも、排気音も、その他のメカニカルノイズも気にならない。ややタイヤノイズが気になる場合もある。これもタイヤサイズのせいか。室内スペースはたっぷりあり、後席もスペースが十分で、居心地がよい。
車内にいると、アンビエントライトなど、さまざまなガジェットで、まるでクラブにいる気分になる。もちろん。これが好きでなければオフにすることも可能。
それにしても、すべての機能をおぼえるのは、時間があるときに、楽しみながら、というのがよさそう。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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