■コンセプトが180度変わってしまったクルマ
クルマはモデルチェンジで改良やスタイリングの変更があっても、ボディタイプやコンセプトは大きく変わらない場合が多いです。
モデルチェンジは失敗だった!? 新型にしたら販売が低迷したクルマ5選
しかし、なかにはモデルチェンジで初期のモデルとは、全く違う方向性に向かっていったクルマも存在します。
そこで、初期のコンセプトから大きく変わってしまったクルマ5車種をピックアップして紹介します。
●ホンダ「シビック」
1972年、ホンダから新しい発想のコンパクトカーである初代「シビック」がデビューしました。FF駆動を採用し、ボディの四隅にタイヤをレイアウトして広い室内を実現。同時に、前後を切り詰めたデザインはイギリスの「ミニ」にも近かったです。
最高出力60馬力の1.2リッターOHCエンジンを搭載し、発売当初はシンプルに4速マニュアルミッションのみの設定で、車名のとおり「市民の」ためのクルマを徹底して追求したモデルでした。
後に3ドアハッチバックや5ドアハッチバック、上級グレード「GL」、スポーティモデル「RS」を追加発売するなど、多様化する消費者ニーズに対応するコンパクトカーを目指すようになります。
ホンダは1981年に初代「シティ」を発売すると、シビックは従来よりもひと回り大きいボディと、延長されたホイールベースが与えられました。
1984年には1.6リッターDOHC16バルブエンジン搭載の「Si」をラインナップし、コンパクトカーのパワーウォーズに加わります。
1995年登場の6代目では自然吸気の1.6リッターエンジンでは世界最高峰の185psを誇る「シビック タイプR」を発売。ベーシックカーでありながら、スポーツコンパクトとしても人気を博します。
現行の10代目シビックでは、5ドアハッチバックと4ドアセダンの2タイプのボディとなり、全幅も1800mmと、ミドルクラスのクルマに変貌してしまいました。
さらに最高出力320馬力の2リッターVTECターボエンジンを搭載した現行のシビック タイプRは、2017年4月、ドイツのニュルブルクリンク北コースでの走行テストで、FFモデルとして当時最速の7分43秒80のラップタイムを記録するなど、デビュー時の「市民の」ためのクルマから程遠く、もはや初代の面影は残っていません。
●スバル「インプレッサ」
1992年、スバル「レオーネ」が上級の「レガシィ」に移行したため、そのクラスの穴埋めをする世界戦略車として「インプレッサ」はデビューしました。
ボディタイプはセダンとステーションワゴンで、「レガシィRS」に代わってWRC(世界ラリー選手権)に参戦するための高性能グレード「WRX」も用意され話題となります。
インプレッサは全グレードに、初代レガシィと同じ水平対向4気筒「EJ型」エンジンを搭載し、レガシィのシャシをベースに全長と全幅を短縮するなど、市街地での取り回しのよさや車両重量の軽量化を実現しました。
戦うために生まれてきたWRXには、レガシィRSに搭載されていた2リッター水平対向4気筒DOHCターボエンジンに、シリンダーヘッド周りのチューニングを施すことで最高出力240馬力を発揮。
シフトレバー脇に設置されたダイヤルで、前後輪のトルク配分を任意調節できる機能を備えた「WRX type RA STi」と「WRX type R STi」は、WRCでシトロエンやプジョーと互角以上の闘いを繰り広げ、1995年、1996年、1997年とマニュファクチュアラーズチャンピオンを3回獲得するほどの活躍ぶりでした。
その後、2代目、3代目ともにモータースポーツの世界では活躍したインプレッサでしたが、世界的不景気の影響もあり、スバルは2009年にワークス体制によるWRC参戦を終了。
4代目からはインプレッサの象徴でもある高性能モデルはスバル「WRX」として独立させ、インプレッサに残るのは4ドアセダンの「インプレッサ G4」、5ドアハッチバックの「インプレッサ スポーツT」で、ターボ車もラインナップから消滅しています。
●メルセデス・ベンツ「Aクラス」
1997年に発売された初代「Aクラス」は、メルセデス・ベンツのエントリーモデルとなるBセグメントサイズの5ドアハッチバックでした。
メルセデス・ベンツ初のFF乗用車であり、同社のモデルのなかではもっとも小さいサイズとなっています。ボディ形状はボンネット部分が極端に短く、背の高いトールワゴンタイプで、小型なミニバンといったところです。
分割可倒式のリアシートは取り外しが可能で多彩な荷室アレンジができ、トールワゴンとしての使い勝手も優れ、車両価格が比較的安価ということもありセカンドカー需要として一定の成功を収めました。
一方で、メルセデス・ベンツの高級車イメージからは大きくかけ離れていたことで、このブランド戦略は疑問視されたこともあります。
2005年に初代からキープコンセプトとした2代目にフルモデルチェンジします。デザインも大きくは変わらず、同じくBセグメントのトールワゴンタイプでした。
ところが、2012年に3代目へとフルモデルチェンジされたAクラスは、スポーティなフォルムを持つCセグメントの5ドアハッチバックに変わってしまいました。
メルセデス・ベンツとしては、Aクラスを庶民の足というよりも、プレミアムなコンパクトカーにシフトしたかったというのが本音でしょう。
実際にAMGモデルも追加されるなど高価格化も進みますが、現在もセールス的には好調のようです。
■「ミニ」のボディサイズは、もはや「ミニ」ではない!?
●「ミニ」
2001年に登場した「MINI(ミニ)」は、BMWグループのプレミアムスモールです。
世界的に人気が高かったBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)時代の名車であるミニをモチーフとして「もしBMC時代のミニがフルモデルチェンジを繰り返していたら、どうなっていたか」と想定して実際にデザインを繰り返すプロセスを経て、旧ミニの面影を色濃く残しながらも時代に合ったクルマを誕生させました。
走りもBMWによる洗練されたものとなり、ゴーカートのようにキビキビと走るフィーリングも健在で、誰もが「これがいまのミニだ」と納得するものでした。
その後、モデルチェンジを2度行ないますが、第1世代では3ドアハッチバックとコンバーチブルだけだったのが、クーペ、ロードスター、カントリーマン、ペースマン、4ドアなど、バリエーションが一気に増えました。
しかしながら「変わらない良さ」を基本コンセプトとしているために、3ドアハッチバックはひと目見ただけでは世代ごとの区別ができないほどに似ています。
現在のモデルは2013年に発売された第3世代となっていますが、新開発プラットフォームへの変更などにより車幅を拡大しました。日本での登録時は3ナンバーとなり、もはや「ミニ」といえないほど大型化してしまいます。
一見、コンセプトは変わっていないようにも思えますが、そもそも「ミニがフルモデルチェンジを繰り返していたら」ということからデザインされたのがニューミニのコンセプトなので、本来ならばニューミニのデザインもモデルチェンジで変わるべきではないでしょうか。
現在、販売は好調なので、デザインで冒険する必要はないのかもしれません。
●ホンダ「インサイト」
1999年にホンダは、世界最高水準の低燃費を目指したエコカー「インサイト」を発売しました。1リッター直列3気筒SOHC VTECエンジンに、アシスト用モーターを組み合わせた「ホンダIMA(インテグレーテッド モーター アシスト)システム」と名付けられたパラレル式ハイブリッドシステムを搭載し、発売時点では量産ガソリン車として世界最高の低燃費35km/L(10・15モード)を実現しました。
そのため、2名乗車とし、アルミ製シャシやアルミと樹脂を組み合わせたボディパネルを採用して、車両重量は800kg台前半に抑えられていました。
外観もリアタイヤをスカートで覆い、空気抵抗はCd値0.25を達成。当時のホンダが持つ低燃費化技術を凝縮したクルマでしたが、2名乗車では一部のユーザーからしか受け入れられず、2006年に販売終了となります。
その後ブランクを挟んで2009年に登場した2代目インサイトは、トヨタ「プリウス」に対抗するために5人乗りの5ドアハッチバックに。
「フィット」のコンポーネントを徹底的に軽量化し、シビックハイブリッドと同型式の1.35リッター直列4気筒SOHC i-VTEC i-DSIエンジンをインサイト用にチューニングして搭載。
他車との共有部品を増やすことで低コスト化も進めた結果、3代目プリウス発売直前の2009年4月度の販売台数で、ハイブリッド車で初めて月間販売台数第1位となりました。
しかし、さらに燃費性能を高めた3代目プリウスにかなわず、2014年に販売を終了しました。
そして再度のブランクののち、2018年に発売された3代目インサイトは「シビック ハイブリッド」がなくなったことで、後継車種の役割が与えられたために4ドアセダンとして登場しました。
10代目シビックと多くの部分を共用し、全長4675mm×全幅1820mm×全高1410mmと、長く広く低いスタイリッシュなセダンとなりましたが、初代インサイトの「すべては低燃費のため」というコンセプトはどこかへ消えさってしまったようです。
インサイトの燃費34.2km/L(JC08モード、LXグレード)は、プリウスの37.2km/L(JC08モード、Eグレードと4WDを除く)に水をあけられていますので、初代ほどのインパクトはありません。
※ ※ ※
初期のコンセプトから大きく変わってしまったとしても、それは悪いことではありません。むしろ生き残るためというメーカーの判断でしょう。
しかし、どちらかというと「ブレない」コンセプトのクルマのほうが、潔さを感じてしまいます。実際、ブレないクルマはロングセラーな場合が多いですから。
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