「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、フォルクスワーゲン ポロGTIだ。
フォルクスワーゲン ポロGTI(2010年:5代目、車種追加)
7年半ぶりにフルモデルチェンジを受けて5代目となったポロは、昨年(編集部註:2009年)秋に日本に上陸したと思ったら、この春からはベースグレードのエンジンを1.2L直噴ターボに換装。ほどなくして同じエンジンを積むクロスポロが登場し、そして今度はGTIがやってきた。ポロ シリーズの日本市場での増殖ぶりは、なんとも目まぐるしい限りだ。
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その中でもGTIは、やはり注目度で抜きん出ている。じつは日本は、世界でもトップ3に入ろうかというくらいポロGTIを販売している。先代のポロでもグレード割合的に見れば、欧州よりもGTIの比率がずっと高かったという実績を持っている。
なので、新型ポロGTIは1.4Lの直噴エンジンにスーパーチャージャーとターボチャージャーというふたつの過給器を搭載し、7速DSGを組み合わせる・・・と、垂涎もののスペックだ。0→100km/h加速は6.9秒というスペックはゴルフGTIと同じ。ならば、ポロGTIで十分では?と考える人も多いかもしれない。
もっとも、新エンジンに換装されたポロは、ベースグレードでもかなりスポーツ性が高い。GTIより最高出力/最大トルクは74ps/7.7kgmほど劣るが、車重は110kgも軽量だから、じつによく走る。なにしろGTIは、スペック違いの同じエンジンを搭載するゴルフTSI ハイラインよりは安いものの、普通のポロより52万円も高い。果たしてGTIにそれだけの価値があるのか? と気にはなるところだ。
ノーマルとの価格差は52万円。それだけの価値はあるか?
日本導入以前に、ドイツ本国で新型ポロGTIに試乗したときは、足まわりは硬い、スポーツモデルなのに高回転域でのパワーが今ひとつ体感できない、そしてエンジン音も今ひとつと、期待が大きかった分ちょっと肩すかしを食らったような感じだった。ところが今回、日本で試乗したGTIは、そうしたネガが全部払拭されていた。じつにしなやかでファンなホットハッチに変身していた。
これならいい! 確かにノーマルのポロも1.2Lの排気量の割りには良く走るなと感心させられたものだが、GTIに乗ってしまうと、ここぞ!という時のパワーの出方や、コーナリングの立ち上がり方には、やはりGTIでこその鋭さとアドバンテージを感じさせてくれた。110kgの重量ハンデはものともせず、しかもエンジン音も心地良くなっている。
さらに、ノーマルのポロで感じられたポンポンとハネる感じも、GTIではうまく抑えられていた。たかが15mm、されど15mmのローダウン スポーツサスペンションに17インチタイヤが効いているのだろう。うねりが強い路面でも安心してアクセルを踏んでいける。初採用となったXDS(電子制御式ディファレンシャルロック)もいい。ホントにグイグイといった感じで曲がってくれる。トラクションがフッと抜けてしまう怖さもまったくない。
さらに、ポロで唯一のパドルシフトも使いやすい。あり余るパワーを、自在に操ることができる。というわけで、この走りっぷりの良さに専用のエアロパーツを装着して、52万円高は妥当なプライスだろう。予算的に問題がなければ、ポロを検討している人にはGTIをオススメしたい。
■フォルクスワーゲン ポロGTI 主要諸元
●全長×全幅×全高:3995×1685×1460mm
●ホイールベース:2470mm
●車両重量:1210kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ+S/C
●排気量:1389cc
●最高出力:132kW<179ps>/6200rpm
●最大トルク:250Nm<25.5kgm>/2000-4500rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:16.6km/L
●タイヤ:215/40R17
●当時の価格<税込み>:294万円
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みんなのコメント
こういう安くて良く走るMTは今や貴重だから、タマが見つかれば中古で買ってみるのも良いかも。
今から中古で6Rポロを買うのであれば、GTI後期MT車一択。乾式クラッチのDSGはぶっ壊れた時に大金を払っても惜しくは無い人や廃車に出来る人向け。