現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > アルファ・ロメオ 後輪駆動へ回帰 「操舵の王者」奪還へ 技術詳細を解説

ここから本文です

アルファ・ロメオ 後輪駆動へ回帰 「操舵の王者」奪還へ 技術詳細を解説

掲載 更新
アルファ・ロメオ 後輪駆動へ回帰 「操舵の王者」奪還へ 技術詳細を解説

もくじ

ー 正確なハンドリングでふたたびクラストップに
ー 1 トルクベクタリング/リミテッド・スリップ・ディファレンシャル(LSD)
ー 2 ブレーキ・バイ・ワイヤ
ー 3 オンデマンド式四輪駆動システム「Q4」
ー 4 独自の「アルファ・リンク」サスペンション

アルファ・ロメオ、大型SUV/ジュリア・クーペ導入へ ハイブリッドも

正確なハンドリングでふたたびクラストップに

セダンのジュリア、そしてSUVのステルヴィオ。いずれも、すぐれた正確なハンドリングでふたたびクラストップに君臨すべく、アルファ・ロメオが世に送りだした肝入りのモデルだ。

両車の登場よりこの方、その白紙新設計されたシャシー技術の詳細は公にされてこなかった。だが、最近になってようやく興味深い全貌があきらかとなったので、ここでお伝えしよう。

1 トルクベクタリング/リミテッド・スリップ・ディファレンシャル(LSD)

新設計シャシーの構成要素のうち、駆動系には2種類の後輪用ディファレンシャルが用意される。

ひとつは在来の機械式LSD、もうひとつはトルクベクタリング機能を与えられた左右それぞれ1組の電子制御クラッチだ。

トルクベクタリング、すなわちコーナーで外側の駆動輪により大きなトルクを配分することでアンダーステアは17%低減し、横方向加速度は4%増加するとともに機敏さは2割増になるという。

また逆に、ドライバーの行きすぎた操作に対して車両を安定方向へむける働きももつ。

英国では、機械式LSDは両モデルのパフォーマンス・パックにふくまれる。トルクベクタリング電子制御クラッチは510ps後輪駆動のジュリア・クアドリフォリオに「Q2」システムとして、また四輪駆動のステルヴィオ・クアドリフォリオに「Q4」としてそれぞれ標準装備となる。

2 ブレーキ・バイ・ワイヤ

アルファは新開発のインテリジェント・ブレーキング・システム(IBS)として、コンチネンタル製のブレーキ・バイ・ワイヤシステム「MKC1」を世界ではじめて採用した。

ブレンボ製キャリパーそのものは従来の油圧作動だが、異なるのははじめの工程だ。ブレーキペダルが直接油圧マスターシリンダーを動かす従来の方式に対し、こちらはペダル踏力がまず油圧の変化として電子制御ユニット(ECU)に送られるしくみだ。

従来のシステムでは1輪あたり10kgの重量となっていたのが、6kgの単一ユニットで済むうえに占有空間も小さくなる。

またペダルの操作感も、ブレーキ温度がどれだけ上昇しようと一貫してしっかりと保たれる。つまり、サーキット走行でもスポンジーにならないということだ。

標準のキャリパーはフロントが4ピストンのアルミ製、リアが単一ピストンの鋳鉄製だ。クアドリフォリオについては、走行試験調整担当のフェデリコ・ランガレッリ・セラーニがいう「平日の通勤も、週末のサーキット走行も両方満足できる設計」を反映して、リアも4ピストンのアルミ製となる。

フロントが6ピストンとなる4輪カーボンセラミック(CCM)ディスクブレーキもオプションで用意される。こちらは1輪あたり5kgも軽量なうえ、制動力/耐フェード性も飛躍的に向上する。

3 オンデマンド式四輪駆動システム「Q4」

アルファ・ロメオはマグナ・パワートレインと共同で独自のオンデマンド式四輪駆動システム「Q4」を開発した。これは英国ではステルヴィオにのみ用意される。

Q4の設計責任者アレッサンドロ・アヴァッローネは「Q4は性能を追求したシステムで、通常は後輪へすべてのトルクを伝えます。後輪駆動とおなじ感覚で運転できることはもとより、燃費にも有利です」と語る。

システムの鍵となるのは、前後にトルクを振り分ける湿式多板クラッチのアクティブ・トランスファー・ケース(ATC)だ。フロントデフは11kgと軽量小型で、システム全体でも重量は50kgに満たないという。

システムの作動を電子制御するシャシー・ドメイン・コントロールが、ヨーレート/車輪回転速度/舵角/スロットル開度を監視する。

その指示をうけるトランスファー内のクラッチは、150ms以内に最大122.4kg-mのトルクを前輪へ振り向ける能力をもつ。実際の分配量はそれこそアヴァッローネのいう「心拍数の変化なみ」に緻密に調節され、駆動力のバランスを保つ。

リアの減速比はフロントよりわずかに低く、機械的トルク配分が標準でリア優勢となるよう設定されている。

間にはさまれたクラッチの熱負荷が懸念されるところだが、アヴァッローネによると「熱対策はじゅうぶんに施しています」とのことだから、オーバーヒートなど気にせず思う存分オーバーステアを楽しめそうだ。

4 独自の「アルファ・リンク」サスペンション

主任設計者フィリッポ・エピファーニが「完全にジュリアとステルヴィオ専用です」と胸を張るシャシーは、軽量に仕上がっている。「何の制約もなく、思いのままに設計できました。まず性能を最優先にサスペンションを設計して、そのまわりに他の構成要素を付けていったというところです」

その結果、部品の45%がアルミ製となった。

フロントサスペンションはダブルウィッシュボーンの1種だが、細部に特徴がある。三角形のアッパーアームはちょうど片手で反対側の肩をつかんだときの腕のような形状で、その肘にあたるところにハブキャリアとの接合部がある。

前後分割式のロアアームは、転舵時にはハサミのようにたがいに交差する軌跡をとる。エピファーニはこの変わった動きについて「キャスタートレイルを一定にたもてるため、リニアで漸進的な操舵感が得られる」と説明している。

リアはいわゆるマルチリンク式で、スパンを大きくとったアルミ製の中空ロアアームと、ストローク時のアライメント変化を最小限におさえる設計のアッパーアームで構成される。

またインテグラル・リンクの採用によって、乗り心地や後席居住性の向上につながる車体前後方向の空間設計における自由度が高まるとともに、コーナリング時のじゅうぶんな横剛性も確保できたという。

前後の重量配分をなるべく50:50に近づける配慮はリアのサブフレームにもあらわれ、ステルヴィオのアルミ製に対してより車重の軽いジュリアでは鋼鉄製とされている。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」  理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」 理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
くるまのニュース
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
日産のフルサイズSUV『アルマーダ』新型、ベース価格は5.6万ドルに据え置き…12月米国発売へ
レスポンス
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
ハミルトンFP2も首位、メルセデス好調も上位は接戦模様か。RB角田裕毅は10番手|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
スズキ、フラッグシップ『ハヤブサ』のカラーリングを変更した最新モデルを発表。11月22日より発売
AUTOSPORT web
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
まだまだ続きます 北近畿豊岡道の「有料トンネル」料金徴収期間を延長 背景に老朽化
乗りものニュース
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
700万円超え! スバル新型「SUV」発表! 2リッター「水平対向」×マイルドハイブリッド搭載! 全長4.7m級の「新フォレスター」欧州に登場へ
くるまのニュース
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
F1ラスベガスFP2速報|FP1に続きメルセデスのハミルトンが最速。角田裕毅10番手
motorsport.com 日本版
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
スズキ『V-STROM 250SX』がカラーリング変更、新価格は59万1800円
レスポンス
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
約3000万円で落札されたポルシェ「911 カレラRS アメリカ」は何か変! 実は新車の頃からシュトロゼックのボディキットが装着されていました
Auto Messe Web
フォード、伝統のバハ1000で『ブロンコDR』と『レンジャー・ラプター』が主要部門を制覇
フォード、伝統のバハ1000で『ブロンコDR』と『レンジャー・ラプター』が主要部門を制覇
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、出鼻を挫くパンクは「大きな衝撃がなかった」と驚き。DAY2は”抑えめ”の走りに|WRCラリージャパン
トヨタ勝田貴元、出鼻を挫くパンクは「大きな衝撃がなかった」と驚き。DAY2は”抑えめ”の走りに|WRCラリージャパン
motorsport.com 日本版
最強の4気筒「メルセデスAMG A 45 S 4MATIC+ Final Edition」は限定300台
最強の4気筒「メルセデスAMG A 45 S 4MATIC+ Final Edition」は限定300台
AutoBild Japan
アイオニック5からコナへ!【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート5】
アイオニック5からコナへ!【ヒョンデ・アイオニック5長期レポート5】
AUTOCAR JAPAN
走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
走行中、後ろから緊急自動車が! 譲らないと「違反」に!
くるくら
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
トヨタの「“2階建て”ハイエース!?」登場! 豪華“ウッド”&茶内装が超カッコイイ! 充電システム×エアコンも完備のケイワークス「アーチザン Type I」お台場で実車公開
くるまのニュース
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
【ヤマハ】Netflix の新作SFアニメ「Tokyo Override」にヤマハがデザインしたバイク「Y/AI(ワイエーアイ)」が登場!
バイクブロス
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
キャンプ・災害に備える手のひらサイズの携帯浄水器「Greeshow GS-288」のセール実施中!
バイクブロス
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
クシタニが2024-25FWガーメントを発売! 暖かさと運動性の高さを両立した防寒パンツ・ブーツ・グローブをラインナップ
バイクのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

809.01491.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

235.91161.2万円

中古車を検索
ステルヴィオの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

809.01491.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

235.91161.2万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村