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時代の節目に「Z」は現れる… 平成の幕開けを飾った稀代の名車 Z32フェアレディZ

掲載 更新 20
時代の節目に「Z」は現れる… 平成の幕開けを飾った稀代の名車 Z32フェアレディZ

 新型フェアレディZのスタイリングはなかなか鮮烈だった。原点回帰を思わせる情緒的なディテールとモダンの融合、そしてスポーツカーとしてのこだわり。日産がフェアレディZをいかに大切にしてきたかがひしひしと伝わってくるものだった。

 歴代Zの中でも、オジサン世代が「Zといえば」と問われて真っ先に挙げる一台は、1989年7月に発売された4代目フェアレディZ「Z32」であろう。単にスタイリング、メカニズムだけでは説明し尽くせないその魅力とは何か、紐解いていこう。

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文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:NISSAN

【画像ギャラリー】日産の至宝「フェアレディZ」歴代全6モデルと新型Z、それぞれの魅力を詳しく解説!!

世界に向けたハイパフォーマンスと、バブルの華やかさをもって登場

 Z32が登場した1989年は、バブル絶頂期。そして、ユーノス(マツダ)・ロードスターやR32スカイラインGT-R、セルシオ、レガシィなど、伝説的な名車が多く誕生した、日本車の「アタリ年」でもある。

 日本車は、1970年代から1980年代にかけて、特に北米で急激に販売台数を伸ばし始める。オイルショックや環境汚染が問題視され始めたことで、燃費がよくて壊れにくい日本車が、世界的に評価され始めたことが要因だ。

 1980年には、日本の自動車生産台数が世界一に。そのため、1980年代は、世界的な市場を意識して開発されたモデルが多く、Z32のほか、前出のモデルたちの登場はその集大成といった感じであった。

1989年登場の4代目、Z32型。フェアレディZらしいスタイリングを保ちながら、キャビンフォワードで機能美とモダンさを追求。リッチでプレステージ性の高いデザインが魅力的だ

 フェアレディZは、Z32の前モデルであるZ31で、それまでの直6エンジンからV6エンジン中心に変更、これによって、「ハイパフォーマンスカー」としての存在感をより強固なものにしていた。Z32でも、それは引き継がれており、世界で通用するハイパフォーマンスに加えて、誰もが憧れるデザインと、バブル景気の勢いと華やかさを併せ持って登場した。

Z32の先代モデルとなるZ31型フェアレディZ。直6エンジンからV6エンジン中心のラインアップに変え、世界的な競争力を高めたモデルとなった

Zのアイデンティティと、モダンなスポーツカーフォルムが融合

 Z32のスタイリングをじっくり見てみよう。Z32は、先代までのロングノーズ・ショートデッキからキャビンフォワードのモダンなスポーツカーフォルムへ進化。ヘッドライトは固定式だが、ボディの一部を削り取ったかのような造形は、歴代Zのアイデンティティでもあり、ワイド&ローのスタイリングにスパイスを効かせている。

 ボディ表面には深いエッジや複雑な構成がなく、比較的プレーンな印象だが、それがむしろ空間的なゆとり、いわゆる「間」の美しさを感じさせる。全体的にはスポーティなフォルムなのに攻撃的でも前衛的でもなく、かといって鈍重で間が伸びた感じもしない。リッチでプレステージ性の高いデザインだ。

Z32のリアビュー。機能的でありながら、高級GTカーの色気を感じさせるこのリアスタイルは、新型Zのモチーフともなっている

 リアのコンビネーションランプを含めた眺めも実に魅力的だ。当時はリアコンビネーションランプを大きくし、ガーニッシュも含めて、どーんと存在感のあるデザインにするのが「高級感」という感覚が強かったのだが、Z32は薄型のランプを上下二段に配置し、ブラックのガーニッシュで一体感のある縁取りがなされている。

 表面はフラットなので、インパクトはありながらも機能的でクセのない、高級GTカーの色気を感じさせる仕上がりだ。ちなみに新型Zのリアスタイルは、このZ32のデザインをモチーフにしているそうだ。

Z32のテールと新型Zのテールの比較。新型はZ32をモチーフにデザインされている

究極のスーパースポーツを目指したメカニズム

 Z32はメカニズムとパフォーマンスも大きな話題となった。先代にも搭載された3.0L V6DOHCエンジンのVG30DE型に加え、新開発の3.0L V6DOHCツインターボエンジンのVG30DETTを搭載した「300ZXツインターボ」をラインアップ。国産車初の最高出力280psというハイパワーエンジン搭載に、当時のクルマ好きは熱狂した。

 前後マルチリンクサスペンションに加えて、R32スカイラインにも搭載された電子制御4WS「SUPER HICAS」も用意。ハイパワーの直線番長ではなく、ドライバーの意思に素直に反応するハンドリング性能も持ち合わせていた。

 ルーフは標準の他に、頭上左右のガラス製ルーフが取り外し可能な「Tバールーフ」も用意。また2シーターと、2+2シーターの「2by2」を選ぶことができた。今の時代から考えると何とも贅沢なラインアップであり、バブル絶頂期ならではの選択肢だろう。

Z32型に搭載されたVG30DETTエンジン。最高出力280ps/6400rpm、最大トルク39.6kgm/3600rpmを発生。この搭載をきっかけに、しばらく日本では280psの自主規制時代が続いた

日本、そして日産の景気と運命をともにしたZ32

 Z32は誰が見ても「カッコいい」と思える秀逸なデザイン、所有欲をみたしてくれるディテールと装備、スポーツカーとして申し分のないメカニズムが高い次元で融合されたモデルだ。

 1989年にデビューした後、Z32はバブル崩壊と90年代の日産の経営危機を経て、2000年9月には生産を終了。その後Z33が登場する2002年まで、Zの系譜は一時途絶えてしまった。ある意味、日産の栄枯盛衰を見たモデルであったわけだが、それもZ32が時代を代表する名車、といわれるようになった理由のひとつなのかも知れない。

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みんなのコメント

20件
  • 名馬GT-Rのその陰に隠れた駄馬‥それがZ32だ 
    ‥だがオレはZ32の方が好きだ 
    世界中でオレ一人でもいいオレの評価はGT-Rより上だ
  • Z32はスタイルが本当によかった。
    歴代のZの中でもピカイチだったと思う。
    個人的には当時のスープラより断然こちらだな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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