2017年にBTCCイギリス・ツーリングカー選手権タイトル獲得を果たしたスバル・レヴォーグGTとチームBMRは、2019年限りでこのステーションワゴンモデルでの参戦を終了することを決断。4年契約の最終年は苦戦が続いていたスバル陣営だったが、最終戦ブランズハッチでのシーズン初優勝が、レヴォーグGTにとってBTCC最後の勝利となってしまった。
10月第2週に開催されたシリーズ最終戦を前に、元チャンピオンのアシュリー・サットンは「何が何でも勝利を狙いに行く」と決意表明し、ここまで未勝利に終わっていた苦闘のシーズンを挽回する決意を示していた。
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その思いはブランズハッチ・フルコースの“グランプリ”レイアウトで現実となり、予選でフロントロウ2番手を確保したレヴォーグGTは、雨がらみのレース1こそリヤ駆動に不利なコンディションで落としたものの、続くレース2で見事に逆転勝利。今季初優勝を手にすると同時に、シーズン最終戦のレース3でも表彰台フィニッシュを飾り、ドライバーズランキング8位でシーズンを終えていた。
「厳しいシーズンだったし、1年の締めくくりに勝利を挙げられて最高だ。チーム全員が努力を続けていたし、彼らにとっても大きなプレゼントになった。僕はこの週末、レースに勝ちたいと願ってサーキット入りしたし、その願いをまさに達成したわけだからね」と、このレヴォーグGTとともに2017年ドライバーズチャンピオンに輝いたサットン。
「2019年はフラストレーションが溜まるシーズンだったのは秘密でもなんでもないが、最後の最後にこうした報酬が受け取れたのは皆の努力の証だ。これで一旦、リセットボタンを押してしばらくの間リラックスして、そこから来年のプロットを組み立て始めることになるだろう」
2016年に鳴り物入りでBTCCデビューを果たしたスバル・レヴォーグGTは、2017年のタイトル獲得を筆頭に現行NGTC規定で最も成功を収めたモデルの1台に数えられ、通算21勝はBMW125i Mスポーツ、FK2のホンダ・シビック&シビック・タイプR、MG6 GTに次ぐ5位の勝利数となっている。
また、このユニークなボディを持つリヤ駆動モデルは55回の表彰台フィニッシュも達成しており、こちらもNGTC規定の通算成績で5位の記録となった。
タイトル獲得翌年の2018年もサットンは最多勝ドライバーとなったものの、連覇達成はならず。そして2019年はWSR(ウエスト・サリー・レーシング)の新型BMW330i Mスポーツや、チーム・ダイナミクスのFK8ホンダ・シビック・タイプRに、そのスピードで対抗することができなくなっていった。
そのため、チームはファクトリーサポート契約の切れる2020年以降もレヴォーグGTを使用することが可能だったにもかかわらず、パフォーマンス条件を優先してマシンスイッチの決断を下した。
スバルUKのマネージングディレクターを務めるポール・タニクリフも「グリッド上で他とは異なる個性を生み出し、その戦績でも成功を収めたコンビネーションがシリーズから去るのは、本当に悲しいことだ」と、その胸の内を明かした。
「確かに、この2019年は期待を裏切るシーズンとして記憶に残ることになるだろう」と続けるタニクリフ。
「NGTC規定の元で、このユニークなレイアウトのボクサー・エンジンと、ステーションワゴン形状での空力開発に腐心してきた。でも今季は直線速度の不足と、少しばかりの不運が我々とチームBMRを悩ませてきたんだ」
「BMWとホンダを苦しませるタイミングが少し遅かったかもしれないが、最終戦での勝利は格別だった。しかし残念ながらチームの決断は、このNGTCマシンにとって最後の勝利になることを意味しそうだ」
「チームBMRのすべてのメンバーに多大な感謝を捧げなければない。苦しいシーズンでもサーキットの駐車場にスバル車を見ない日はなかったし、結果を追求し続けるチームの姿勢には感銘を受けた。彼らの今後の成功を祈っている」
ウォーレン・スコット代表率いるチームBMRは、近日中にも2020年体制と使用マシンを発表するとしている。
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