SEMAショウ 近年、日本車の展示急増
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
SEMAとはSpecial Equipment Market Associationの略で、1963年に設立された自動車部用品の製造や輸入に関する業者の団体だ。
今年で54回目の開催となるSEMAショウは簡単に言うと、「アフターマーケットパーツの総合見本市」である。
東京オートサロンやエッセンモーターショー(ドイツ)と合わせて「世界3大カスタムカーショー」などと紹介されることもあるが、これは少し違う。
というのも、エッセンやオートサロンは一般来場者を対象にしたイベントだが、SEMAは業界関係者のみが入場できる「トレードショー」だからだ。
SEMAの出展範囲はすさまじく広い。カスタムやチューニングパーツだけではなく、補修用パーツや整備機器、板金修理のためのツール、フレーム修正機、シートカバーやフロアマット、ボディコーティング剤、洗車用シャンプーやミニカーに至るまでクルマに関するあらゆる展示が見られる。
筆者は90年代前半からSEMAを取材しているが、当時はデモカーのほとんどがビッグスリーのピックアップトラックかSUV、マスタングやカマロ、コルベットなどのマッスルカーが少々という構成だったと記憶している。
日本車はほとんど見かけなかった。
そして十数年ぶりに取材に訪れた2016年。日本車のデモカーや屋外展示が非常に多くなっていたことに驚いた。
もちろん、トヨタ・カムリやホンダ・アコード、カローラやシビックなどが米国乗用車市場でトップランクの販売台数を誇っていることは知っていたが。
具体的にどんな車種が増えたのか?
SEMAショウで特に増えている日本車
アメリカでは長年、根強い人気がある240Z(S30系フェアレディZ)から最新の370ZまでのフェアレディZ、90年代からのスポコン(スポーツコンパクト)ブームで中心的役割を果たしたシビック、インテグラ、CR-Xなどのホンダ車、A70/80系スープラなどはカスタム&チューニングカーの世界で一定の人気はあった。
加えて2010年前後から日産GT-R(米国では2008年7月発売)が急増。スカイラインや同GT-Rとして初めてアメリカで新車販売されることになった経緯もあって、日系パーツメーカーのみならず、米国チューナーがこぞってGT-RをベースにしたチューニングカーをSEMAに出展し始めたのだ。
GRスープラが大量出展された今年はやや数が減った印象はあったが、それでもGT-Rの人気は安定しており屋外/屋内いずれも多くの来場者が展示車両の周りを囲んでいた。
そして近年は日産スカイラインGT-R(R31/R32)、マツダRX-7(FC/FD)、トヨタスープラ(A70/80)などのパフォーマンス系から、ランドクルーザーFJ40、ダットサン510などの旧車系、意外なところでは日産パオ・フィガロ・エスカルゴなどのいわゆる「パイクカー」の姿もちらほら見かけるようになった。今年は特に新旧シビックの姿もいつになく多く見かけたように思う。
中には日産R35 GT-Rのエンジン(VR38DETT)とシャシーに1970年型マスタングのボディを合体させたり、1974年式ダットサン260Zにスープラ用2JZ GTE型を搭載したり、日本よりはるかに自由度の大きなカスタムメイドの世界でも日本車の採用ががぜん増えているのだ。
なぜこんなに日本車が増えているのか
この4~5年で日本車が増えてきた理由。
そのひとつは「25年ルール」による中古日本車(右ハンドル)の解禁だ。アメリカでは販売されなかったR32GT-Rなどはその代表である。
「25年ルール」は今に始まったルールではないが、日本でも知られるようになったきっかけが2014年である。
この年に1989年製造のスカイラインR32が「解禁」となったことで、GT-Rを中心とするR32がSEMAの出展車として増え始め、日本製スポーツカー全体の人気を上げる傾向となった。
25年ルールは簡単に言うと「古いクルマへのリスペクト」ともいえるクラシックカールールで、「製造から25年経過したクルマはFMVSS(連邦自動車安全基準 ※日本でいうところの国交省の保安基準)が定める新車登録のための各種のテストや基準に縛られることなく、右ハンドル車であっても輸入/販売/登録などが可能になる。
ただし、国が許可をしても、例えば厳しいことで有名なカリフォルニアの排ガステストなど、州ごとに必要な要件を満たさないと、カリフォルニア州での登録は不可能となる。(その場合は他の州で登録することもあるらしい)。
ちなみにカリフォルニアにおいて排ガステストが不要になるのは1975年以前に製造されたクルマとなる。ハコスカとケンメリの一部などが対象だ。
なお、同じ北米でもカナダは15年で解禁となるので、R34 GT-Rなどカナダ登録の車両を展示するブースも少なくない。今年のSEMAでも右ハンドルのR34 GT-Rが出展されていた。
日本のタイヤブランドも大きく貢献
SEMAショウにはヨコハマ、ファルケン、ニットー、そしてトーヨータイヤといった日本のタイヤブランドも出展している。
中でも例年大きなブースを会場内2か所に構えるのがトーヨータイヤである。SEMAショウに出展されるクルマの多くにタイヤの提供も行っている。
そして、トーヨータイヤが2013年から設置している毎年巨大な展示スペース「トレッドパス」の存在も大きい。広大な通路に設けられた屋根付きの特設展示ブースで、例年日本車を中心に20~30台のクルマが展示される。
今年も、現行スープラ、ハコスカ、現行NSX、タイタン、シビックハッチバック、カローラレビン、RX-7(FD)、現行ジムニー、ランエボV、レガシィ、サニークーペ(B110)などなど。
アメリカで高い人気を誇る日本車をベースにしたユニークなカスタムモデルが多数出展された。
映画ワイルド・スピードの影響も大
アメリカにおける日本車人気を大きく盛り上げてくれた映画「ワイルド・スピード」シリーズの存在も忘れてはならないだろう。特に、日本車が多く登場した、ワイルド・スピード(2001年)、ワイルド・スピードX2(2003年)、ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT(2006年)の影響は大きい。
そして、たいへん悲しいことだが主演のポール・ウォーカーが2013年11月30日に事故死したことも、ポールに関わる日本車の人気を大いに引き上げた理由の1つと言えるだろう。
ワイルド・スピードに登場して重要な役割を果たし、さらにポールの愛車でもあった80スープラやR34 GT-Rはポール亡き後、カルト的人気を博すようになった。
トヨタ自動車もスープラ復活に際して、「映画ワイルド・スピードとポール・ウォーカーへの感謝の気持ち」を公的に示している。
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