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ステーションワゴンといえば「レガシィ」で異論なし! 時代を作った怪物の歴史

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ステーションワゴンといえば「レガシィ」で異論なし! 時代を作った怪物の歴史

日本車のビンテージイヤー、1989年に生まれた「レガシィ」

 初代スバル・レガシィの登場は1989年1月。この年は日本車の当たり年と言われ、トヨタ・セルシオ、日産スカイラインGT−R、ユーノス・ロードスターなど、のちに名車と呼ばれるモデルが相次いでデビューした。そうしたそうそうたる顔ぶれのなかの1台が初代レガシィだった。

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唯一無二の高性能4WDスポーツワゴンとしてヒット

 レガシィは「ポスト・レオーネ」として開発された。これは社史にも記されていることだが、愚直なまでに「気持ちのよい走りができる理想のクルマ」を目指したという。そのためにボディ、サスペンション、ステアリング系など新規開発。またエンジンも水平対向に限らずにV型、直列の検討もしたという。だが、水平対向エンジンに落ち着いたのは、走りの質を求めたときの剛性や低重心、さらに低回転から高回転までトルクが十分で高速時にも心地よい伸びがあるといった理由からだった。

 もちろん新開発だった初代レガシィは、さまざまな技術が投入された、いわばスバルの渾身の作だった。けれど冒頭にも触れたとおり「89年組」のなかで、最初から脚光を浴びたクルマではなかった。

「レガシィ人気」に火がついたのは、発表の年の秋に「GT」が登場したときから。水平対向4気筒の2L・DOHCにインタークーラーターボを組み合わせたEJ20型エンジンは、200ps/26.5kg-mの高性能を発揮。これがなんとセダンだけでなくツーリングワゴン(BF型)にも搭載されたのだった。当時のワゴンのなかでこれほどズバ抜けたスペックが与えられたモデルはなく、さらに4WDでもあり、このGTはライバル車不在の高性能4WDスポーツワゴンとして(あるいはレガシィ・ツーリングワゴンを象徴する存在として)、国産ステーションワゴンのなかでもダントツの人気を集めた。

世界最速ワゴン記録を打ち立て進化し続けた

 その人気ぶりは、1993年10月に登場した2代目・BG型でさらに加速。GT(とセダンのRS)には2ステージツインターボが組み合わせられ、スペックは250ps/31.5kg-mに向上している。AT車の4WDは不等&可変トルク配分方式の電子制御へと進化。また1996年になると、ビルシュタイン製ダンパーを装着したGT-Bも登場し、5速MT車は当時の2Lクラスでは最強の280ps/34.5kg-mのスペックをモノにした。

 そして1998年6月には3代目・BH型へと進化。2代目同様に世界最速ワゴン記録(270.532km/h。2代目が1993年9月に樹立した記録は249.981km/h)を打ち立てるなどし、ファンの気持ちをつなぎ止めていた。この世代では、ポルシェデザインの斬新なエクステリアの「ブリッツェン」も登場。いずれにしてもレガシィ・ツーリングワゴンのGTは、ワゴンユーザーでも走りを諦めない気持ちが強いことを証明してみせたクルマだった。同時にその存在が、あの、日本のワゴンブームの火付け役でもあった。

アウトドア志向とSUVブームを牽引したアウトバック系

 レガシィというと、GTと並び思い浮かぶのがアウトバック系だ。……「系」と表現したのは、世代により車名の変遷があったから。日本仕様では歴代で、「グランドワゴン」→「ランカスター」→「アウトバック」と変遷を辿ってきた。総じて、GT系がまさしくスポーティで刺激的な走りが体感できたのとは対照的に、ゆったりと心地のいい走りが味のシリーズ。その後のSUV系の範となったモデルだ。

 初出は1995年、2世代目のレガシィ時代で、最初はグランドワゴンを名乗った。ちなみに前年の1994年に北米市場に登場しており、そちらではランカスターを名乗っていた。カタログもアウトドアのムードを重視した本体のレガシィとは違う仕立てのもので、ラゲッジスペースに犬が伏せで乗っている写真などが。特徴は200mmのロードクリアランス(この数値は後のモデルでも踏襲)でラフロードまでカバーしたポテンシャルが与えられた点で、2.5Lの余裕のあるエンジン性能とともに、ゆとりの走りを愉しむためのクルマとなっていた。

 2代目は1998年に登場し、初代後半からの車名を受け継ぎ、ランカスター名義に。カタログを見ると「SUV新世界基準」とSUVの語彙が登場している。エンジンは初代同様に2.5Lを搭載。AT車の4WDシステムはアクティブトルクスプリット方式のフルタイム4WDだった。マッキントッシュのカーオーディオもメーカーオプションで用意された。

 3代目は2003年10月に登場し、ここから車名がアウトバックに。ベースだった4代目レガシィツーリングワゴン同様に洗練されたスタイルが特徴で、フェンダーアーチモール、サイドスカートなどもボディ同色化(1色、弱いコントラストの2トーンの設定があった)。搭載エンジンには2.5Lのほかに6気筒の3Lも用意された。

 4代目(2009年登場)と5代目(2014年登場)では車名がレガシィアウトバックとなり、ボディサイズも全幅で1820mm(4代目)、1840mm(5代目)と拡大。4代目は2.5Lと6気筒の3.6Lを搭載し、ダイヤルで走行モードを切り替える「SI-DRIVE」を設定している。

 5代目は2.5Lが設定され、アイサイトver.3、アクティブトルクベクタリングなどが投入された。日本市場ではツーリングワゴン、セダンがドロップしたあともレガシィ・ファミリーで唯一残された、貴重な存在といえるモデルだ。

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