レクサスは、中国・広州で2019年11月22日~12月1日に開催された広州モーターショーで、レクサス初の電気自動車(EV)の市販モデル「UX300e」を世界初公開した。
2019年10月23日から開催された第46回東京モーターショー2019で、電動化ビジョンを象徴するEVのコンセプトカー「LF-30 Electrified」を世界初公開し、2020年からEV専用モデルを発売していくという計画を発表したレクサスの市販化第一弾となるモデルだ。
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日本への投入も公式アナウンスされているUX300eとは、どのようなクルマなのか紹介していきたい。
また、ミニバンに縁のなかったレクサスが、2019年4月に中国で発表した「LM300h」についても、日本市場導入に関する最新情報を紹介したい。トヨタからラグジュアリーミニバン「グランエース」が発売されたこともあり、気になるところだろう。
販売店取材に定評のある流通ジャーナリスト、遠藤徹氏に、実際にレクサスディーラーを回って計画と期待について調べてもらった。
文/遠藤徹
写真/LEXUS
【画像ギャラリー】レクサスの気になる2台「UX300e」と「LM300h」を詳しくチェック!
■2021年にレクサスが日本への市販EVを投入決定
ロサンゼルスオートショーで、レクサスから市販EVとなる「UX300e」が発表された。2020年から中国、欧州を皮切りに、日本にも2021年初めに投入する予定だという。このモデルは現在売られている「UX」がベースとなっている。
後席ドアの下部に「ELECTRIC」という文字が入っている以外には、UX200やUX250hの外観と大きな差はない
2Lガソリンは「UX200」、2Lハイブリッドが「UX250h」と呼称されていることから、この電気自動車バージョンとして「UX300e」のネーミングが与えられる。国内バージョンは2020年末ないしは2021年初めに発売開始する見通しである。航続距離は400kmといわれる。
UXシリーズの車両本体価格は397万2222~544万9074円、日産リーフが330万3300~481万6900円であることから、UX300eは550~650万円あたりの価格設定になりそうだ。ボディサイズは全長4495×全幅1840×全高1540mm、ホイールベース2640mm、トレッド前1550mm、同後1560mmで現行UXと同じ寸法を採用。ボディパネルは、アルミホイールとエンブレム以外はほとんど同じになると思われる。
発表によると、「コンパクトクロスオーバーUXが持ち味とする個性的なデザインや、高い利便性、取り回しのしやすさはそのままに、レクサスのEVならではの上質で、すっきりと奥深い走りと優れた静粛性を実現。大容量バッテリーの床下配置によって、低重心と航続距離400kmを実現」などとしている。
モーター主要諸元は最高出力150kw(204ps)、最大トルク300Nm(30.6kgm)、バッテリーはリチウムイオンで容量54.3kwh、航続距離400km、普通充電(AC)最大6.6kw、急速充電(DC)最大50kwとしている。
UXと同じGA-Cプラットフォームを採用しているが、EV化に対応して各部の最適化などを実施
日産のリーフと遜色ないが、ベースのUXシリーズの販売が思ったより伸びていないので、EVバージョンはこれ以上に販売で浸透するのは難しいかも知れない。
具体的には、
[1]インテリアは、シフトバイワイヤを採用したセンターコンソールなどすっきりとしたEVらしい操作系を実現。
[2]世界トップレベルの先進安全技術を採用した予防安全技術「レクサス セーフティシステム プラス」を搭載。
[3]大容量バッテリー、ハイブリッド車で培ったモーター、インバーター、ギア、バッテリーなどで主要装備を最大化。航続距離400kmを実現。
[4]低温/高温下でも正常に作動するよう、バッテリーに温度調整機能を備えるほか、過充電防止システム、多重監視のセーフティネットで高い信頼性を確保。
[5]最新のコネクティッド技術を採用。専用アプリによるスマートフォンとの連携で、バッテリー残量や走行可能距離表示、充電の必要があるかを確認できる。
などの特徴を掲げている。
■レクサス「LM」日本上陸はいつ頃か?
一方、2019年4月の上海モーターショーで発表され注目を集めたレクサス「LM300h」はどうか。アルファード/ヴェルファイアをベースとしたレクサスバージョンのラグジュアリーミニバン。もともと中国市場での高いニーズに対応させるために開発しているモデルで、国内投入はまだ決定していないようだ。
レクサスブランドの象徴であるスピンドルグリルを取り込んだ、迫力のあるフロントマスクが特徴
アルファード/ヴェルファイアをさらに豪華にした超高級ミニバン。アルファード/ヴェルファイアでは、最上級バージョンで「エグゼクティブラウンジ」を設定しているが、これをベースに、中国の現地仕様では2列シート4人乗りが中心になりそう。富裕層が運転手付きで愛用するのを想定している。
パワーユニットは2.5L&3.5Lハイブリッドを搭載する。駆動方式は2WD、4WDを設定。トランスミッションは2.5LがCVT、3.5Lは8ATとの組み合わせとなる。日本向けを設定するとすれば2021年後半で、車両本体価格は700~800万円程度となりそうだ。
※編集部注:LM300hの価格は、アルファード/ヴェルファイアのコンプリート車「ロイヤルラウンジ」と同じく1500万円を超える可能性もある
■レクサスの販売現場の声を聞いた
●証言:1首都圏レクサス店営業担当者
UX300eは、2020年末か2021年初めに日本で発売になると聞いている。UXの売れ行きは好調だから、選択肢のひとつとしてラインアップにあったほうがよいと受け止めているが、日産のリーフが販売に苦労しているので、販売台数自体はあまり期待はできないだろう。
UXのハイブリッドよりも100万円以上高いし、充電設備の費用もかさみあまり積極的に売り込んでも販売台数は伸びないと思うので、じっくりと時間をかけて販売活動に取り組んで行きたいと考えている。SUVマーケット自体は拡大基調が続いているので、将来的にはEVバージョンのニーズも高まる方向にあると受け止めている。
LMは、アルファード/ヴェルファイアのロイヤルラウンジをベースとしたラグジュアリーミニバンだ。レクサスブランドにはミニバンは設定しないのが基本方針だったが、最近のマーケットニーズに対応させて、とりあえず要望の強い中国市場で発売することを決めたといえる。ただ、日本で販売するのはまだ決まっていないようだ。投入するとすれば、2021年後半以降になると思われる。
LM300hの内装。超大型のテレビモニターが特徴で、日本に導入されれば、グランエースと同じくタクシーなど法人向けがメインになるだろう
●証言2:都内レクサス店営業担当者
レクサスUX300eは2020年末にも国内発表され、2021年前半に発売されると予想している。レクサスブランドで最初のEVをSUVであるUX300eに選んだのは賢明だと思う。現在、SUVが近い将来においても最も有望な市場でEVも同様の状況にあるはずだからだ。このためショールームに展示している車両をUX、NX、RXと全部SUV系モデルを揃えているくらいだ。
10月までの登録台数でも、この3モデルがベスト3となっているので当然だろう。最もコンパクトでリーズナブルな価格設定のUXは、300eが加わることで、シリーズ全体の売れ行きにさらに加速がつくものと期待している。
LMは高級ミニバンであり、まず要望の多い中国市場に投入され、日本は後回しになると予想している。アルファード/ヴェルファイアのロイヤルラウンジが存在するからである。レクサスにはミニバンを設定しないというこれまでの方針があった。もう少し様子を見ながらどうするか決めることになりそうだ。投入するとすれば、運転手付き仕様の2列シート4人乗りになるだろう。
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