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ザ・ペニンシュラ香港にて、ロールスロイス・ファントムEWBをチャーターしてみた。香港の自動車事情とは?

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ザ・ペニンシュラ香港にて、ロールスロイス・ファントムEWBをチャーターしてみた。香港の自動車事情とは?

「ザ・ペニンシュラ香港」は、1928年に香港にて開業したホテルである。
ラグジュアリーなことで知られ、権威ある専門誌からも「香港における最高のホテル」という評価が与えられている。

ザ・ペニンシュラ香港とは

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しかし、ボクらクルマ好きにとっては、そういった歴史よりも、「ザ・ペニンシュラ香港が保有している車両」のほうが有名かもしれない。
そう、ザ・ペニンシュラ特別仕様のロールスロイスである。

ザ・ペニンシュラ香港は長きにわたり、ロールスロイスをその宿泊客の送迎にと供してきた。
古くは1934年のロールスロイス・ファントムIII(なんと今も現役だ!)にはじまり、現在の布陣は14台のロールスロイス・ファントムEWB(エクステンデッド・ホイール・ベース)を中心とした二十数台のロールスロイスたちが担っている。
それらロールスロイスは、もちろんロールスロイス本社に特注し、専用に製造されたものだ。

なお、宿泊客の買い物用にと2台のミニクーパーSクラブマン(一定グレード以上の部屋でないと貸してくれないそうだ)、トヨタのミニバン(おそらくアルファードだと思う)も数台保有しているが、ザ・ペニンシュラが持っているすべての車両は通称「ペニンシュラ・グリーン」に塗られている。

正式名称は「ブリュースターグリーン」と呼ばれるということだが、このカラーはペニンシュラ専用に調合され、いずれの自動車メーカーにとっても、ほかの顧客向け車両に対して用いることは許されないそうだ。

参考までに、同じ「ザ・ペニンシュラ」であっても、ロールスロイスを必ず用意しているわけではない。
経験上だが、ザ・ペニンシュラ上海はメルセデス・ベンツSクラス、ザ・ペニンシュラ・マニラはBMW 7シリーズを使用しており、その意味でもやはりロールスロイスを採用している「ザ・ペニンシュラ香港」は別格だと言える。

そんな格式高いザ・ペニンシュラ香港であるが、なぜか今回ボクはここに宿泊することになった。
そして、「あの」ロールスロイスに乗ることになったので、その様子をレポートしてみたいと思う。

香港国際空港に到着すると、さっそく出迎えが

イキナリだが、ボクは香港国際空港に到着した。
飛行機を降りると、すぐに航空会社の係員が二名、(ボクの名が記載されたカードを持って)待機している。
ボクが自分の名前を告げると、係員は電動カートを回してくれた。
こういったカートで、これに乗って入国審査場まで移動するらしい。

いつもであれば飛行機を降りてから自分の足で通路を歩き、動く歩道に運ばれ、エスカレーターを降りて、さらにトラムに乗るという長い道のりを行かねばならない。
しかし今回は違う。こうやってボクは電動カートで楽々移動しているのだ。

ただ、よくよく考えるとここは空港の中であり、まだ香港へと入国はしていない。
なのに、こうやって早くもザ・ペニンシュラ香港の送迎サービスによる恩恵を受けているということを考えると、ザ・ペニンシュラの持つ力は相当に大きい、ということなのだろう。
空港内の移動サービスは航空会社に委託しているということはなるが、なんといっても飛行機から一歩出た瞬間から特別扱いである。

この後、ボクは無事に香港への入国を済ませるが、そこにはザ・ペニンシュラ香港のスタッフが待っていた。

ザ・ペニンシュラ香港のロールスロイス・ファントムはこんな感じだ

ロールスロイス・ファントムEWBのボディサイズは全長6,090ミリ、全幅1,990ミリ、全高1,655ミリ。ホイールベースに至っては3,820ミリもある。
この「全高1,655ミリ」というのはなんとSUVであるレンジローバー・イヴォークよりも高い。
ボクの印象としては、「(メルセデス・ベンツやBMWなどの)セダンを、縦横高さそのままの比率を保って、120%くらいに拡大した」というものだ。すべてが大きい。

ボクのスーツケースはポルシェとリモワとがコラボした特別製だ。
ポルシェ911やボクスター/ケイマンのフロントトランクにジャストフィットするように作られたもので、2005年にポルシェ911を購入したときからずっと使用している。

ルーフ内張りは「スターライト」オプションが装着されているが、昼間なのでわからない(そもそも昼は点灯させるものではないのだが)。
これは光ファイバーを使用し、天井が「満点の星空のごとく」幻想的にきらめくものだ。
オプション価格は70万円ほどだ、と聞いたことがある。

とにかくロールスロイス・ファントムEWBの後席は快適だ。
最新型が発表された際に「完全に外界とは切り離された世界を実現した」とロールスロイス社からの発表があったが、ひとつ前の世代においてもその表現がぴったりだ、とボクは思う。
「魔法のじゅうたん」といわれる表現に嘘偽りはない。

ロールスロイスは現在BMWグループに属するが、正直言うとBMW 7シリーズとはまったく乗り心地は異なる。
両者にパーツ含めて共通性はないと言われるものの、BMWにもロールスロイスの(乗り心地に関する)ノウハウを多少なりともフィードバックさせれば、BMWはすぐにでも高級サルーンセグメントでトップの座を勝ち取れるだろう、と感じたほどだ。

数十分の乗車を経て、ザ・ペニンシュラ香港へ到着した。

同時に何台ものロールスロイスが宿泊客を乗せてホテル前に到着したが、「小さなスーツケースひとつで」やってきたのはボクひとりのようで、改めて「場違いな自分」を感じた瞬間でもある。

香港のクルマ事情を見てみよう

香港は比較的、クルマに対する愛が深い地域だ。
ランボルギーニが本国以外で初めてその博物館を(期間限定であったけれど)開いたのは香港だったし、パガーニ・ゾンダ“チンクエ”はもともと香港のパガーニ・ディーラーの発注によるものだ。
最近だと破綻した(元ドイツの)グンペルトを買収し、「アポロ」としてよみがえらせたのも香港の投資家である。

新しいモノが好まれるため、魅力的な新型車が登場するとすぐに路上で見かけることも多い半面、飽きっぽいのか「製品に本質が伴っていないと」すぐに見限られてしまうのも香港市場におけるひとつの特徴だ。

そんな香港のクルマ事情であるが、画像にてその一部を紹介してみたい。

いかがであっただろうか。
香港は色々な意味で日本とは異なるクルマ文化を持っているが、クルマに対する理解や愛情は日本や欧米に劣らない、とボクは感じた。

週末の高級ホテル前、そしてブランドショップが並ぶ繁華街にはこういった高級車やスーパーカーが大挙して押し寄せる地域、それが香港だ。
自動車ディーラーも一定のエリアに集中しており、まとめて訪問することもできる。
日本からもほど近く、香港は自動車好きにとっては意外な「穴場」と言えるのかもしれない。

[ライター・撮影/JUN MASUDA]

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