■スタイリッシュさと清楚な内装はライバルのドイツ車にはない魅力
2016年の「XC90」から始まったボルボの快進撃はまだまだ続くようです。
さっそく試乗! 3代目に進化した新型ボルボ「S60」の走りはライバルを超えたか
SUVの「XCシリーズ」は「XC60」「XC40」と続き、ステーションワゴンの「Vシリーズ」は「V90」「V60」と、すべて新しいプラットフォームによる上質な乗り味のボルボが浸透してきました。ちなみに数字が大きいほうがボディも大きいことを意味します。
SUV、ワゴンに続いて登場したのは「S60」です。ボルボの「Sシリーズ」はセダンを意味します。
S60はワゴンのV60とサイズも同じだし、V60のセダンバージョンと考えて良いでしょう。S60はちゃんとトランクが付いたセダンです。スカンジナビアンデザインによってボルボらしい清楚な感じと、スタイリッシュな要素が取り入れられています。
このS60のライバルは、BMW「3シリーズ」、アウディ「A4」、メルセデス・ベンツ「Cクラス」というドイツの3強がいますが、日本車でもトヨタ「クラウン」、日産「スカイライン」なども価格帯では競合するかもしれません。
XC90から始まった新しいプラットフォームによって、S60も非常にしっかりしたボデイ剛性を感じられるようになり、先代からは数段上のレベルに達しました。これはドイツの3強に対しても勝るとも劣らないところまで来ています。日本車と比べると格段にしっかりしているのと、それに付随してハンドリングと乗り心地の良さが際立っています。
いまは世界中でSUVやクロスオーバーの人気が高いですが、セダンも定番商品として定着しています。重心の低さからくる安定感の高さ、ハンドリングのしやすさなどは、セダンのアドバンテージといえるでしょう。
ボルボは日本仕様にもいち早くDRL(デイタイム・ランニング・ライト)を採用しました。トールハンマーをイメージしたDRLは、ひと目で新世代のボルボだということがわかります。その明るさは周囲のクルマに対して存在感を示し、安全に走るには効果的です。
ボルボが3点式シートベルトの特許を公開してから60年が経ちます。ボルボの安全に対する姿勢や考え方に、世界の人々が助けられています。
今回デビューしたS60も、ボルボらしく安全性は最新技術の装備になっています。新しいところでは対向車との正面衝突を防ぐための対策も取られている点です。衝突しないように最後まで誘導してくれますが、もし衝突してしまうケースでも、その被害を最小限に留めるように対策が取られています。
■ボルボS60の走りは「大人のスポーティ」
今回試乗したのは「S60 T6 TWIN ENGINE AWD INSCRIPTION(S60 T6ツインエンジンAWDインスクリプション)」です。
ツインエンジンというのは、前輪をエンジン/後輪をモーターで駆動するAWDのことです。
前輪は2リッターターボエンジンで駆動します。このエンジンに付属して「CISG」と呼ぶ小さな電気モーターがあり、発電機にも駆動用モーターにもなります。これはエンジンの始動にも使われます。
後輪は、87馬力/240Nmを発生する電気モーターで駆動するPHEV(プラグインハイブリッドEV)です。交流200Vのコンセントがあれば家庭で充電でき、バッテリー容量は34Ahで、エンジンをかけずに数10km走ることが可能です。
雪国では4WDとして使える点ももちろんメリットになりますが、充電していれば翌朝出発時の車内の空調を整えておけるところもこのPHEVの大きなメリットになります。
リチウムイオンの二次バッテリーは、センターコンソール部分に収められています。4WDといっても、後輪を駆動するためのプロペラシャフトはないので、そこがバッテリーのスペースになります。
ボルボの車室内は華美ではないですが、どのモデルでもスッキリしたデザインで飽きがきません。同じスペースだとしても、より広く使える気がします。具体的にいえば、クルマに乗り込んでからコートやジャケットを脱ぐときにも、不思議と身体が動かしやすいのです。
このT6が、他のグレードと異なる点のひとつに、ATのセレクターが挙げられます。クリスタルガラス製で目立ちます。
インストルメントパネルの左側はスピードメーターで、右側はタコメーターの代わりにハイブリッド用のメーターが付きます。
アクセルペダルを踏んでいくと、9時の位置から時計回りに針が回っていき、アクセルペダルを戻したときやブレーキペダルを踏んだときには、9時の位置から反時計回りでエネルギー回生の様子をチェックすることができます。
おもしろいのは、バッテリーだけで走ることができる、つまりEV走行できるアクセルペダルの踏み込み量がわかることです。
ハイブリッドメーター上に青いバーが伸びていて、その範囲のアクセル開度ならエンジンは始動せずにEV走行できます。このバーの長さは二次バッテリーの容量に応じて変化します。どのように走らせるかをドライバーが選択できるようになっているのです。
ハイブリッドメーターの5時から7時までのスペースはガソリンの燃料計になり、3時から5時まではバッテリーの残量がわかるメーターがレイアウトされています。
S60 T6はPHEVですが、いったいどれくらいの燃費で走れるのかは気になるところでしょう。じつは夏にワゴンボディのV60 T6を2週間ほど借りて乗っていました。
筆者の自宅には200VのEV用コンセントがあるので、可能な限り夜間はプラグインで充電していました。その方法で市街地だけを走行していると、25km/Lから30km/Lくらいで走りました。1日の走行距離が短いときには、30km/Lオーバーも珍しくはありませんでした。つまり二次バッテリーで走っているから、あまりガソリンを使わないためです。もちろんそのぶん、充電した電気代はかかっています。
V60 T6で東京から京都まで往復もしました。このときには途中で充電しないので、PHEVというよりは単なるHVという使い方になります。京都までの往復は高速道路ですが、ここでの燃費はだいたい14.5km/Lから15km/Lの間くらいでした。これは車格を考えると決して悪くない燃費です。
※ ※ ※
今回は、もう一台試乗しました。それはS60 T4というベーシックなFWD(FF)モデルです。
こちらは単なるガソリンエンジンだけのFWDですが、じつに軽快に走り、乗りやすいクルマでした。アクセルペダル操作に対するエンジンの反応、ハンドル操作に対するヨーの反応などが非常に素直で扱いやすいのです。このS60 T4は、クルマに気を使わずに走れるモデルです。
S60は、ガソリンモデルでもPHEVのT6でも、基本的には「スポーティなセダン」という位置付けができると思います。
しかしそれは、日本的なスポーティさではなく、大人の味付けでいう「スポーティ」です。
つまりハンドル角が小さくてもカクッと曲がったり、アクセルペダルの開度が小さくてもビュンと飛び出すような加速ではなく、ドライバーの意思に忠実に動いてくれるから、大人の味付けなのです。とくにS60 T4は、その素性の良さが味わえるモデルだと思います。
試乗車:ボルボS60 T6 ツインエンジンAWDインスクリプション
●車両本体価格(消費税込):779万円
●試乗車オプション込価格(消費税込):829万2000円
・全長:4760mm
・全幅:1850mm
・全高:1435mm
・ホイールベース:2870mm
・車両重量:2010kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ&スーパーチャージャー+電気モーター
・排気量:1968cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT
・最高出力:253馬力/5500rpm
・最大トルク:350Nm/1700-5000rpmz
・モーター最高出力:34kW(前)/65kW(後)
・モーター最大トルク:160Nm(前)/240Nm(後)
・公称燃費(WLTC):13.7km/L
・サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/インテグラム
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤ:235/45R18
・ホイール:8Jx18
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