2023年1月10日にいよいよ発売が開始されたトヨタ 新型プリウス。正式発売前に、プロトタイプ車の試乗が実現! そこでわかったこととは? 走り出した瞬間「いいね!」とつぶやいた自動車評論家 国沢光宏氏が進化のすべてをレポート!
※本稿は2023年1月のものです
文/国沢光宏、写真/TOYOTA、ベストカー編集部 ほか、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2023年2月10日号
新型プリウス迷ってるなら買いかも!? 速攻サーキット試乗で思わず「いいね!!」
■見た目はカッコよく、キャビンは広く
トヨタ 新型プリウス。第2世代TNGAプラットフォームを採用した高剛性ボディを実現。サスペンションはフロント/ストラット、リア/マルチリンク
新型プリウスは発表した時点で「猛烈にカッコいい!」と評判になり、世界中から引き合いが来ているという。すでに国内で受注を始めているらしく、早くも納期1年以上と言われているようだ。
伸び悩んだ現行プリウスの販売台数を受け、新型も販売目標台数=生産可能台数を絞ったらしい。最近のトヨタ、魅力的なクルマを出すのに生産が追いつかないという困った状況です。
閑話休題。プロトタイプながら新型プリウスに試乗できたので紹介したい。
今回用意されてたのは従来型と基本的に同じ1.8L(システム出力140ps)と、同196psになった新登場2Lの2タイプ。
それぞれの4WDモデルもあり、計4つバリエーション展開になる。
ディーラーから聞いたところ、1.8LモデルについてはKINTO仕様と法人向けのため一般客への市販なしとか。2Lを中心に紹介したい。
新開発2Lハイブリッドでコーナーを攻める。安定感重視の4WD、向きを変えやすいFFとハンドリング特性が異なることを確認できたが、どちらも間違いなくハイレベル。期待以上の仕上がりだ
写真を見て「狭くなったんじゃないか?」と言われているキャビンスペースは、むしろ現行モデルより余裕を感じる。身長183cmの私なら快適。
メーターパネルとハンドルの位置関係がbZ4Xと同じようになったため、見えにくいという声は出ると思う。
リアシートも現行モデルより快適。アメリカあたりだと強引にタクシー仕様車として使われるかもしれないが、けっこうイケると思う(笑)。
■力強く滑らかで静かになった!
システム出力は1.8Lが140ps、2Lが196psで、先代に比べ大幅なパワーアップを実現。それでいて燃費性能は従来と同等を確保している
前置きはこのあたりにして試乗と行きましょう!
現行モデルと同じタイプのセレクトレバー(電動車にはこのパターンが一番いいと考える)でDレンジを選び、走り出す。
するとどうよ! チカラ強くて静かでボディ剛性感素晴らしい! どれひとつ取っても文句なし。
当然ながらそれぞれ理由あります。まずチカラ強さ。これはもう単純にパワーアップが効いている。新型のユニット、純エンジン車なら2.5L相当。
参考までに書いておくと0~100km/h加速は先代の86と同等の7.5秒。
もはやスポーツモデルと言っていいレベルになった。静かさはエンジン本体からの騒音&振動発生レベルが低いと思う。
加えて遮音もしっかり対策しているんだろう。タイヤが二転がりくらいしてエンジンかかった時の滑らかさと静かさが圧倒的に違う。
走行中の騒音は絶対的な音量もさることながら、エンジンフィールの上質感を強く印象に残す。
こちらは1.8Lハイブリッド。1.8Lは従来型と同じ排気量だが、エンジンもハイブリッドシステムも一新され、明確な進化を遂げている。なお、1.8Lは法人向けとKINTO専用グレードとなる
ハンドリングやいかに。これまた「いいね!」。
新型からタイヤの接地面積を広くしている。タイヤ幅こそ195のままながら、なんと! タイヤ外径で現行より60mmも大きくなり、前後方向に接地面積が増えた。
コーナーでハンドル切ると、けっこうな横Gを生み出す。試乗会は富士スピードウェイのショートコースだったのだけれど、1コーナーに元気よく飛び込んでみたら気持ちよ~く曲がる!
スポーツモデルと言っていいくらいのステアリングレスポンスを持たせた結果、上手に荷重移動させてやると気持ちいいテールアウトの姿勢でコーナーを曲がって行く。走りも派手な外観スタイルに負けていない。
1.8Lの試乗車を見ると同じ幅で外径が30mm小さいヨコハマのブルーアースFE(2Lは私のお気に入りブルーアースGT)ということもあり、素直なハンドリングでした。
4WDはノアから採用を始めた41psの大出力後輪モーターになった。現行プリウスの約6倍のパワーを出す。驚いたことに最大で前輪20%/後輪80%の駆動配分まで行っているそうな。
滑りやすい雪道ではスタートだけでなく、通常の速度域であれば後輪も駆動している。
まだ雪道を走っていないけれど、サーキットで試乗しても現行プリウスより優れた直進安定性を感じた。雪道走る人なら積極的に4WDを選んだらいい。
センターメーターをやめて、ステアリングの上からメーターを見る視線移動の少ないタイプに変更。ドラポジによっては見えにくいこともある
新型のよさはまだまだ続く。新型シエンタからハイブリッドの油圧系ブレーキシステムが蓄圧式からモーター式に切り替わっている。当然ながら新型プリウスもモーター式。
踏み始めの立ち上がり感が自然になり、停止時のコントロールだって自由自在。加えて決定的な安全対策が取れるようになった。
今までトヨタはアクセル全開状態で電動パーキングを引っ張っても、アクセル全開のまま。したがって停止できない。
新型プリウスはなんらかの原因でドライバーがアクセル全開にして暴走を始めたら、パーキングブレーキを引っ張ればよい。
アクセルオフになり、前後輪に油圧ブレーキかかって停車します。
パーキングブレーキはセンターコンソールにあるから、ドライバーが操作しても助手席の人が操作してもいい。
一度練習のため後続車がいないことを確認し、アクセル全開のままパーキングブレーキを引っ張ってみるといいだろう。
新型プリウスで迷ってるなら「急いで買い!」です。
●トヨタ 新型プリウス(2.0)主要諸元
・全長×全幅×全高:4600×1780×1430mm
・ホイールベース:2750mm
・車両重量:未発表
・パワーユニット:直4、2Lハイブリッド
・システム出力:196ps
・0~100km/h加速:7.5秒
・WLTCモード燃費:未発表
・サスペンション:(F/R)ストラット/マルチリンク
・タイヤサイズ:195/50R19
・価格:未発表
【番外コラム】KINTOなら1.5ヶ月で納車!?
新型プリウスは1.8Lに定額サービス「KINTO」専用モデルを設定。納車後に設定された新機能を追加してアップグレードしていく「KINTOアンリミテッド」の第1弾モデルとなる。
価格等の詳細は未発表だが、7年所有、ボーナス月16万5000円で、毎月2万円台という情報。さらに、普通に買えば1年待ちのところ、KINTOなら1.5ヶ月で納車も可能という聞き捨てならない情報もある。プリウス買うならKINTOかも!?
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