新型V60クロスカントリーは既存のステーションワゴンモデル「V60」ベースのクロスオーバーモデルだ。といっても、見た目はV60と大きく変わらない。パッと見ての違いは、75mm高められた最低地上高と、樹脂製パーツが各所にあしらわれているぐらいだ
試乗会場ではじめて実車を見た筆者は、ホッとした。なぜなら、本格的な“ヨンク”にありがちなワイルドな雰囲気はなく、言うならば“ほどよくワイルド”だったからだ。
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背の低い筆者(168cm)にとって、本格的なヨンクはとっつきにくい。最近のヨンクはドライビングフィールこそ洗練こされているものの、乗り降りは相変わらず大変だし、デザインも少々威圧的に感じる。
だから、V60クロスカントリーのほどよくワイルドなスタイルは、小柄な筆者には馴染みやすい。乗降性もよく、“よっこらしょ”と力を入れて乗り込まずに済む。ちなみに、全長×全幅×全高:4785mm×1895mm×1505mmのボディは、ベースモデルとほとんどかわらない。
とはいえ、試乗会場の場所は、“ほどよく”ワイルドではなく“普通”にワイルドな場所だったため、内心、「ボクは乗りこなせるだろうか……」と、心配になった。
なにせここは日本から遠く離れたスウェーデン北部ノールボッテン県にあるルーレオだ。1月の厳寒期はマイナス35℃にも達するという。ちなみに我々が参加した試乗会は2月上旬だったため、少しあたたかったが、それでもマイナス23℃だった。
くわえて、試乗会場は氷の張った海(ボスニア湾)というからすごい。夏こそ、ヨットやクルーザーが航行する海であるが、毎年10月頃から6月頃までは氷結するという。日本では考えられないワイルドな場所で、果たして乗りこなせるか不安だったものの、杞憂にすぎなかった。
インテリアは、“ワイルド”というよりは“クール”な雰囲気だ。ブラックレザーやアルミパネルが随所にあしらわれた空間はスタイリッシュだ。シンプルな造形がモダンで、これぞ北欧デザインだと思った。
くわえて、高い機能性も魅力だ。インパネ上部に備わる9インチのタッチパネル式のインフォテインメントシステムである「センサス」は、オーディオやナビゲーションのみならず、エアコンや車両制御にかかわる調整を一手に引き受ける。デジタル表示のメーターパネルは、視認性に優れるうえ、ナビゲーションマップも表示出来るから、慣れない道で重宝した。
さらに、厳寒地域ならではの工夫がすごい。たとえばセンサスは、グローブを装着したままでも操作出来る。赤外線で指の動きを検知しているからだ。
試乗会場のルーレオは、マイナス20℃前後。ゆえにエンジンの掛かっていない車内は相当寒く、グローブやダウンコートを身につけたままでないと厳しい。だから、グローブを装着したままセンサスを操作出来るのはありがたかった。
早速、グローブを装着したままヒーター機能を操作する。V60クロスカントリーはエアコンのほか、シートおよびステアリングにもヒーターが備わる。設定を強めにすると、あっという間に全身があたたかくなった。時間でいえばわずか1~2分ほど。さすがは北欧生まれのクルマだ。気づけば出発前にあれほど着込んでいた衣類をリアシートへ放り込み、軽装で試乗コースへ向かっていた。
プラス7.5cmの威力
ハンドルを握り、まず気づくのはアイポイントの高さだ。いつもより遠くを見渡せるうえ、見切りもいい。ベースモデルのV60に比べ、最低地上高が75mm高いとはいえ、センチメートルに換算すればたった7.5cmなので、はじめこそ「なんだ、7.5cmか」と、思ったが、いきなり面食らうのであった。
くわえて、しなやかな乗り心地も魅力だ。18インチのスパイクタイヤを装着するモデルとは思えないほど。路面の凹凸をしなやかにこなしていく。聞けば、V60に対しサスペンションの設定をソフトにしたという。
日本で以前乗ったV60は、クロスカントリーとおなじ18インチタイヤを装着したグレードの「インスクリプション」だったが、こちらは低速域でのゴツゴツした硬さが気になった。比べると、明らかにクロスカントリーのほうがソフトでしなやかである。
搭載する2.0リッター直列4気筒ターボエンジンは、静かなうえにスムーズである。組み合わせられる8ATとの相性も良く、直列4気筒ながら、高級感は十分だ。おなじエンジンをフラグシップのV90にも搭載しているから、ボルボは完成度に自信を持っているのだろう。
今回は、試乗会場に設けられたいくつかの特別コース走った。まず体験したのは氷上走行だ。氷上といっても、日本でよくある湖上と異なり、今回は海のうえだ。それゆえ、コースのスケールは桁違いに大きい。1周2km近いコースは、カーブあり、スラロームありとバラエティに富んでいた。
氷上走行でとくに印象的だったのはESP(横滑り防止装置)のナチュラルな介入タイミングだった。走行モードによって介入タイミングは違うものの、総じて違和感のない制御が印象的だった。なかでも「ダイナミック」を選択すると、介入のタイミングがワンテンポ遅れ、ちょっとしたドリフト走行も楽しめた。
とはいえ、クルマがスピンして“クルっ”とまわることはなく、リアタイヤがほんのわずか滑ったとしても、ESPがサッと介入するので、ドライバーは瞬時に思い描いたコースへとクルマの向きを修正出来るから頼もしい。
次に、オフロードコースを走った。ここで、プラス75mm高められた最低地上高が真価を発揮する。たとえば、普通のV60であればアンダーボディを傷めそうな起伏も、V60クロスカントリーは難なくこなす。
急斜面の下りでは、「ヒルディセントコントロール」が機能し、自動でブレーキがかかるのでドライバーはブレーキ操作をする必要がないので楽チンだ。高められた車高と、角度の深まったアプローチ&デパーチャーアングルによって、何事もなく進む。ノーマルのV60ではちょっと難しいはずだ。
こうして、ひととおりV60クロスカントリーの実力を知ったあと、ルーレオの郊外をドライブしたが、氷上&雪上ではわからなかった魅力をさらに知るのであった。(後編に続く)。
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