今や、横ワイド型とともに、先進的なクルマに用意され始めているのが、縦型ディスプレー=ナビゲーションだ。テスラやプリウスPHV、そしてボルボのほぼ全車に採用されている。そう、クルマの中にタブレットが置かれているような感覚、見映え、操作性を備え、新鮮かつ先進感があり、スマホやタブレットに慣れている世代にとっては実に親しみやすいナビゲーション、操作ディスプレーなのである。
プリウスPHVの縦型ディスプレー
15mのロングケーブルでトラック、トレーラー、バスにも搭載できる!サンコーのリアカメラ付きドライブレコーダー
ここ最近、縦型ディスプレー=ナビゲーションが増えている理由は、まずは使い勝手にある。例えばスマホは基本的に縦で使っているはずだ。タブレットも情報量をより多く表示させるには、縦で使ったほうがよい場合が多い。そもそも、マップ画面でルート案内を行っている場面を思い出せば、マップが縦方向に表示されているほうが、進路の先が分かりやすく、運転に余裕が出るのは当然だろう。横画面では、進路方向、つまり縦方向の表示に制限が出てしまうのである。豊富な情報を瞬時に把握、操作するのに、横ワイド型の左右2分割より、縦2分割のほうが、視線の移動量が少なくて済むメリットもありそうだ。
新型レヴォーグの縦型ディスプレー
とはいえ、すでに横画面のカーナビゲーション付きのクルマに乗っている人は、ごく限られた縦型カーナビゲーション装着車に買い替える以外、縦型ディスプレー=ナビゲーションを使う手立てはなさそうだ。実際、自身のクルマは横型のディスプレー=ナビゲーションで、しかも、新車から3年目以降は安くない地図更新費用がかかるため地図更新せずにいて、カーナビゲーション上で新しいマップ、ルートを利用できず、いやはや困っている状態だった。
そんな時、発見したのが、自動車メーカーの純正ドライブレコーダーも手掛けるセイワから発売されたばかりのPIXYDA PNM87ARという、ゼンリンデータコムとの共同開発による8インチの静電式フルセグARポータブルナビケーションである。個人的に魅力を感じたのは、何よりもダッシュボードに装着した上で、ディスプレーを横にも縦にも回転させ、使うことができることだ。
さらに、どんなフロントガラスにもフィットする、一体感のあるスッキリとしたARカメラを採用している点にも注目だ。ARとは、現実の空間映像とデジタル情報を組み合わせたものを、リアルタイムに表示する技術。VRとの違いは、目の前の”現実映像”にデジタル技術を投影していることだという。直近では、最新のメルセデスベンツEクラスのMBUX ARナビゲーションにも採用されている先進技術なのである。
そのため、垂直可動可能な単眼カメラを利用するのだが(カメラの高さとボンネットの長さをナビに入力する必要がある)、ディスプレーにはマップだけでなく、デジタル技術を投影した車両の前方(現実)映像をリアルに表示(上下または左右2分割)。それだけでも革新的なのに、さらに単眼カメラを利用した3つの安全運転支援機能「車線逸脱警告」「前方車両発進」「前方衝突警報」を搭載。ARオブジェクトと警告音でドライバーの安全運転をサポートしてくれるのだから、安全運転にも直結。先進運転支援機能が付いていないクルマなら、その威力は絶大ではないだろうか。ナビ未装着、先進運転支援機能なしのクルマに乗っている人にも最適なポータブルナビゲーションと言える。
実際に縦型ディスプレーとして使ってみると、比較的安価で導入しやすいポータブルナビゲーションにして、ダッシュボードイン回りに、ちょっとした先進感が演出される。ポータブルナビゲーションの多くは7インチ以下だが、やはり8インチになると存在感が増す。
縦型でARモードにすれば、画面の上半分がARカメラによる前方画像となり、その下にマップが配置される。ARモードによるバーチャル案内は、通常のマップ、ルート案内で分かりにくい複雑な分岐も、グラフィカルなARオブジェクトやAR分岐ガイドによって、進路変更ポイントを極めて分かりやすく案内。これは縦、横どちらの画面にも共通する、PIXYDA PNM87ARの大きな魅力、使い勝手の良さだろう。8インチ大画面のモニターが、WVGAよりもさらに高解像度なWXGA(1280×800)を採用していることも、見やすさの大きなポイントとなるだろう(表示文字も大きく、老眼でも見やすい!?)。
もちろん、ポータブルナビゲーションとしての基本機能も充実。地図データは「ゼンリン16GB Map」2020年春版と最新で、家形や建物までしっかり見える詳細市街図まで表示。例えば、東京駅やスカイツリーの実像、高さ感までリアルに表現している再現性は驚くほどである。加えて、2023年7月31日までに地図更新が1回無料で行える更新権まで付いているのだから、うれしいではないか。
ルート案内も優秀だ。一般道路では「3Dリアル交差点」「方面看板」、高速道路では「ジャンクションビュー」「ルートモニター」「高速分岐イラスト」「高速出口後方面イラスト」など多彩な地図表示で目的地までストレスなく案内。そのほか「右左折専用レーン」「オービスポイント警告」「合流地点案内」はアイコンに加え、当然ながら音声でも案内してくれるため、始めて訪れる目的地にも、スムーズかつ安全に到着できた。
自車の測位性も万全だ。米国の「GPS」に加え、現在4機体制の真上から電波を送る準天頂衛星「みちびき」、「グロナス」にも対応したトリプル受信で測位率を高めている。結果、受信の難しいビルの谷間や山間部などでの測位率が向上し、安定した測位を行うことが可能となっている。リルートの早さも、そのおかげだと思われる。
最新カーナビゲーションの威力は、目的地検索でも実感できた。愛犬同伴型リゾートホテルのレジーナリゾートを検索した際も、約610万件のデータを持つ50音施設名称検索で「レジーナ」と入力しただけで、国内のレジーナリゾート全施設の一覧が上位に表示され、すぐに目的地入力、登録ができたのである。こうした機器の扱いが不慣れな人でもこれなら簡単だ。我が愛車の純正ナビゲーション、インフォテイメントシステムでは、そうはいかない。
PIXYDA PNM87ARを縦型にレイアウトすることで、タブレットのような見映えになるとともに、操作性もまたスマホやタブレットに近くなる。各種アイコン、フレームレスの静電容量方式タッチガラスパネルによって、馴染みのあるスマートフォンのようなモーションコントロールでサクサク感ある操作性を実現しているというわけだ。
AV機能としては、ワンセグ、フルセグにも対応。電波の受信感度に応じてフルセグ⇔ワンセグの自動切り換えを行う地上デジタル放送のチューナー2基、ロッドアンテナ×2を搭載し、2×2合成ダイバーシティ方式で電波の弱い地域でもTV映像を楽しめるようになっている。別途SDカードを用意すれば、ディスプレー上で画像や動画、また音楽を楽しむことまでできるのだから、使い方は自在である。
ちなみに、オプションのバックカメラをバックカメラ入力端子に接続して、ディスプレー上にバックカメラ画像を映し出すこともできるほか、ディスプレーを簡単に脱着できるため、盗難防止の配慮も万全。さらに取り外したディスプレーにオプションのACアダプター2を接続することで、家の中でナビ/TVが使用できるのもうれしいポイント。
つまり、あらかじめ、家の中で、お茶でもいただきながら、じっくり目的地検索、登録、行程確認などが行えるということだ。
そうそう、PNM87ARの電源は、DCカープラグから車載のシガーソケットに接続するのだが、わが家のクルマの場合、すでにスマホ充電用のUSBソケットなどでシガーソケットを使っている。そこで、同社の2DC+2USBコードソケットを導入。ふたつのシガーソケットと、スマートフォンなどを充電できるふたつのUSBコネクターを備えているから超便利である。
ちなみに、ARカメラ、リアルタイム映像はいらない・・・というなら、価格が約12000円安くなる、それ以外は同等の機能を備えるPIXYDA PNM87Fも用意されている。もちろん、ディスプレーは縦型に回転できる。
PIXYDA PNM87AR https://pixyda.jp/pnm87ar/
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。
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みんなのコメント
てっきりフロントガラスに投影されるのかと思ってた~