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【海外試乗】フェラーリ ポルトフィーノは、V8サウンドが五感を刺激するエレガントなFRグランツーリスモ

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【海外試乗】フェラーリ ポルトフィーノは、V8サウンドが五感を刺激するエレガントなFRグランツーリスモ

「カリフォルニアT」の後継モデルとして誕生した「ポルトフィーノ」。名前のゆかりは、アメリカの州名からイタリアの港町に変更された。「イタリアでもっとも美しい」と言われる街の名前を冠しているとおり、そのたたずまいは抜群に美しく華麗だ。(Motor Magazine 2019年4月号より)

イタリアの高級リゾート地ポルトフィーノと名付けたワケは?
カリフォルニアからポルトフィーノへ。フェラーリの2+2リトラクタブルルーフモデルは、華麗なる変身を遂げた。

すべてのクルマが運転できる。フルビット免許とフル免許って、いったい何だ!【くるま問答】

フェラーリのコンバーチブルにとって「カリフォルニア」は伝統あるモデル名だ。最初は1957年デビューの250GTカリフォルニアで、続いて1966年デビューの365カリフォルニアで、この名が用いられた。

スポーツカー大国のアメリカはフェラーリにとっても世界最大のマーケット。また、西海岸に位置するカリフォルニアは1年を通して雨が少なく、爽やかな陽光に溢れていることで知られる。こうした事実からも、フェラーリがカリフォルニアの名をコンバーチブルに好んで用いた理由はよく理解できる。

では、フェラーリはなぜ新型のコンバーチブルを「ポルトフィーノ」と名付けたのだろうか?

「ポルトフィーノはクルージングなどで有名な高級リゾートで、スポーティとエレガンスを兼ね備えた海沿いの街です。ヨーロッパでは古くから知られていましたが、海外での知名度はさほど高くありません。そこで、もっと多くの観光客が訪れて欲しいと願い、ポルトフィーノと名付けました」

そう語ったのはフェラーリのマーケティング担当者だが、同じイタリアであればアマルフィも有名だし、モナコであればさらにゴージャスだ。そんな質問をぶつけると、彼は柔和な笑みを浮かべながらこう答えてくれた。

「ええ、確かにモナコでもよかったと思います。ただしモナコは、イタリアではありません(笑)。それにアマルフィはマラネロからいささか遠い。ポルトフィーノまででしたら、クルマで1時間半ほどですから」

名車デイトナに原点を得たファストバックデザインの妙
ポルトフィーノはコンセプトもスタイリングもカリフォルニアとよく似ているため「カリフォルニアのマイナーチェンジ版では?」と思われているようだが、それは大きな誤解。完全なフルモデルチェンジである。

その証拠に、カリフォルニア(厳密にいうとそのビッグマイナーチェンジ版でターボエンジン搭載のカリフォルニアT)に比べてポルトフィーノは実にも80kg軽くなっているのだが、そのうちの40%はボディ構造の変更に伴うものである。

たとえば、これまでのパーツで構成されていたAピラーまわりは部品点数を2点へと大胆に削減。溶接部分の全長がカリフォルニアTと比べて30%も減ったのも、部品点数の「減量」を示している。いずれもボディ構造が一新されたことを物語るデータだ。

一見したところよく似ているように思えるスタイリングも、実は大きく異なっている。トランクルームが半ば独立した“3ボックス”のカリフォルニアに対し、ポルトフィーノはルーフからボディ後端までが一直線に下降するファストバックとされたのだ。ちなみにこのスタイリングは、フェラーリの名車デイトナにインスピレーションを得たものだという。

高性能スポーツカーながら、実に運転しやすい
春とは暦の上ばかりで、まだ寒さが厳しい2月のある日、ポルトフィーノで小さな旅に出た。ポルトフィーノは第一級の性能を備えたスポーツカーである。これはフェラーリの全モデルに共通することだが、そのあまりに神々しいブランド名とは裏腹に、最新のフェラーリロードカーはどれも実に運転しやすく、神経質なところは見当たらない。

ポルトフィーノではその傾向がさらに強まり、カリフォルニアTよりもステアリングフィールが饒舌で、フロントサスペンションのロール感も自然。同じくカリフォルニアTと比べたとき、ポルトフィーノのほうがハンドルを切り始めた直後の横Gの立ち上がり方が穏やかなことも私の好み。いずれにせよ、カリフォルニアTよりもリラックスしてハンドルを握っていられる点は素直に嬉しい。

最高出力600psの3.9リッターツインターボエンジンは、320km/h以上の最高速度を可能にするが、それ以上に注目(耳?)して欲しいのが美しいサウンドだろう。回転数の高まりにあわせてバス、バリトン、テノールと音程も上がるその音色は「フェラーリミュージック」という表現がまさにふさわしい。

一般的に言って、ターボエンジンで美しいエキゾーストノートを作り出すのは難しいが、ポルトフィーノは例外らしく、高回転域では自然吸気のフェラーリユニットを彷彿させる滑らかで澄んだ高音を響かせてくれる。アクセルペダルの操作に対して素直に、そして遅れなく反応してくれる点も“ターボ離れ”している。

コンバーチブルであることを積極的に楽しみたくなる
もうひとつの驚きがルーフを開け放ってもキャビンに暴風が吹き荒れることなく、高速クルージングでもいたって平穏なこと。新設計のウインドディフレクターをリアシート上部に取り付ければさらに風の巻き込みは抑えられる。

だが、たとえそれを取り付けなくても、手袋と帽子(いずれも薄手で大丈夫)さえ用意しておけば、あとは車載のヒーターで十分に暖をとれることだろう。

ここ数年でフェラーリのインテリアは格段にクオリティ感が向上した。その、手の込んだデザインと優しい手触りのレザーに囲まれているだけで、自分が特別なクルマに乗っていることを実感できるはずだ。しかもボディのあちこちに飾られた“カバリーノランパンテ(跳ね馬)”の紋章が、えも言われぬオーラを放っている。やはりフェラーリは、唯一無二のスポーツカーブランドなのだ。

ちなみにポルトフィーノの価格は2500万円強。間もなくデビューするBMW850iカブリオレのおよそ25%増しと聞けば、少しは身近に感じていただけるだろうか・・・。(文:大谷達也)

■フェラーリ ポルトフィーノ主要諸元
●全長×全幅×全高=4586×1988×1313mm
●ホイールベース=2670mm
●車両重量=1664g
●エンジン= V8DOHCツインターボ
●排気量=3855cc
●最高出力=600ps/7500rpm
●最大トルク=760Nm/3000~5250rpm
●駆動方式=FR
●トランスミッション=7速DCT
●価格=2530万円(税込)

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