トヨタGAZOOレーシングは2021年12月6日、東京のメガウェブでTGR 2022年体制発表を行なった。イベントには豊田章男社長を始め、ドライバー、TGR WECとTGR WRCのチーム代表、GAZOOレーシング・カンパニーの佐藤恒治プレジデントが登壇した。
トヨタGAZOOレーシングにとって2021年シーズンは、世界耐久選手権(WEC)では強力なライバル不在ということもありシリーズ全戦優勝、ル・マン24時間レース4連覇を達成。また世界ラリー選手権(WRC)では、1994年以来となるマニファクチャラーズ・チャンピオン、ドライバー・チャンピオン、コ・ドライバー・チャンピオンという3冠を達成するなど、空前の結果を残している。
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世界耐久選手権(WEC)
2022年シーズンのWECはヨーロッパのワークスチームが参戦するなど、今年よりは激しい戦いになると予想される。WECのチーム体勢では、ドライバーの中嶋一貴選手が引退し、2022年以降はTOYOTA GAZOO Racing Europe(TGR-E:ケルン)の副会長に就任。今後はトヨタのヨーロッパにおけるモータースポーツ活動のマネジメント、ドライバーのマネジメントを担当することになった。
中嶋選手の後任には2021年までスーパーGT、スーパーフォーミュラに参戦していた平川亮選手が8号車のドライバーとして新規加入。また、7号車のドライバーとして参戦する小林可夢偉選手は、TGR WECチームのチーム代表を兼任となっている。
なお、TGR WECチャレンジプログラムが実施され、新たなドライバーの育成も行なわれる。
世界ラリー選手権(WRC)
今回のオンライン・イベントで、2022年シーズンのWRC参戦車両「GRヤリスRally1」を日本初公開した。2022年のWRCに新たなレギュレーションでのトップカテゴリーとなる「Rally1」クラスに参戦する。チーム代表はヤリ・マティ・ラトバラが務める。
日本初披露のGRヤリスRally1のデモランを行なったヤリ・マティ・ラトバラ(右)と豊田章男社長これまでのWRCでは旧型ヤリス(ヴィッツ)をベースにした車両で戦われてきたが、いよいよ2022年は現行のGRヤリスをベースにした新型車両となるのだ。この「GRヤリス Rally1」はハイブリッド・システムを搭載し、ブレーキ回生、モーターによる駆動アシストが可能になっており、従来のWRCマシンとは全く異なるマシンとなっている。
またトランスミッションは4WD/5速とされ前後の機械式デフは装備するがセンターデフは廃止。ハイブリッドシステムはトヨタ製ではなく、Rally1クラス共通の指定されたコンポーネンツで、シェフラーの子会社のコンパクトダイナミクス社製が搭載されている。
モーターによる駆動アシストはバッテリーがフル充電された状態では約130psに達する。搭載エンジンは、市販のGRヤリスのG16E-GTS型をベースにした排気量をダウンさせたG14B型となっている。
なお、GRヤリスRally1のライバルとなるのは、ヒュンダイi20、フォード(Mスポーツ)が予想されている。
なお、従来どおりTGR WRCチャレンジプログラムとして勝田貴元選手がWRC全戦にGRヤリス Rally1で参戦する。
ダカールラリー
ダカールラリーには「GRダカールハイラックスT1」の4台体制で参戦する。
その他にトヨタ車体チームがランドクルーザー200の2台体制で参戦。日野チーム・スガワラはトラック部門で新開発の1000ps級のハイブリッド パワートレーンを搭載して参戦することになっている。
全日本ラリー選手権
2022年は2021年に続いてGRヤリス2台体制で、トップカテゴリーのJN1クラスに参戦する。社員が監督、エンジニアおよびメカニックとして参加し、人材育成と、もっといいクルマづくりを実践することを目的にしている。
スーパーGT GT500クラス
2022年もGRスープラGT500で参戦する。トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(TCD)を通じ、6チーム/6台に支援を行なう。
ドライバーでは、阪口晴南選手とジュリアーノ・アレジ選手が新たにGT500へ参戦。なおGT300クラスのチーム体制は、後日に決定次第発表されることになっている。
全日本スーパーフォーミュラ選手権
TRD(Toyota Racing Development)より、直列4気筒2.0Lの直噴ガソリン・ターボエンジン(TRD 01F)を6チーム/11台に供給する。
タイヤは、横浜ゴム製のワンメイク。ドライバーではジュリアーノ・アレジが新たに参戦することになった。
スーパー耐久シリーズ
スーパー耐久シリーズは、ROOKIEレーシングとして豊田章男社長自らが陣頭指揮し、さらにはドライバーも担当するシリーズ戦だ。
2022年も引き続きカローラ・スポーツをベースとした水素エンジン車両、カローラH2コンセプトに加え、バイオマスを由来とした合成燃料を使用する、新型GR86をベースとした車両でST-Qクラスに参戦する。なおスバルも新型BRZをベースとした車両で合成燃料を使用して参戦予定となっている。
またTOM’S SPIRITから新型GR86でST-4クラスに新規参戦することになっている。ドライバーでは、豊田章男社長(モリゾウ)がカローラH2コンセプトに乗り、豊田章男社長の長男の豊田大輔が新開発のGR86合成燃料車両のステアリングを握ることになっている。
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タイトコーナーの処理にドライバーの個性が現れてくるかもしれません。