■どんなクルマ?
アルピナらしさはクルマだけにあらず
イマイチ? AMG E63S 4MATIC+ 「スマートさよりも狂気が欲しかった」
新車が発表されると、BMWはもちろん、ほとんどのメーカーは何週間か何ヶ月かにわたって、メディアにクルマを貸し出したりするものだ。
しかしアルピナは、12人ものスタッフのアテンドを受けて、1日でB5のセダンとワゴン、さらにはB3 SとB4 Sまで試乗できた。
ファーストクラスに乗っているかのような待遇をうけるのである。
ホストはアンドレアス・ボーフェンジーペンCEOだが、彼はただ発表会場にやってきて、挨拶だけして帰るわけではない。
最後まで会場にいて、クルマを動かしたり、タイヤの空気圧をチェックしたりしながら、試乗イベント進行の指示も行っていた。
しかも帰り際には、この場で尋ねられなかった疑問があった時のために携帯番号まで教えてくれたのである。
プレゼンテーションや質疑応答の間、話題は周到なパーツ選びと控えめなスタイリング、そして開発現場についてだった。
「足しすぎない」流儀
テストはほとんどが公道で行われ、タイヤの限界テストや高速走行の最終確認といった、法定速度内では要件を満たせない項目のみニュルブルクリンクをはじめとするサーキットを舞台とした。
B5は総じてそうだが、このツーリングは特に、アルピナの哲学の典型例だ。トレードマークのスポークホイールは別にして、全体的に派手さはなく、Mモデルのファンが好むような、これ見よがしなアピールはしない。
アルピナらしく、Mモデルを含むBMWと全く違うフィールの源泉は、その控えめなアプローチにあるのだ。
優秀さを語るものがあるとすれば、それは最高出力608ps、最大トルク81.4kg-m、最高速度325km/hといった数字だ。とてもではないが、ワゴンのスペックとは思えない。
もちろん、600ps級のワゴンはアルピナのみならず、アウディやメルセデスのラインナップにも存在する。しかし、BMWはこの手のクルマが北米で満足いくセールスを見込めないことを理由に、開発を見送っている。
ところが、生産規模がミュンヘンの1/1000にも満たないアルピナであれば、十分に需要を見つけるチャンスがある。事実、ボーフェンジーペンCEOは、販売されるB5のほとんどがツーリングになるだろうと述べている。
アルピナよ、ここまで手を入れるのか
ベースはもちろん新型5シリーズだが、エンジンは750iに搭載されるのと同じ4.4ℓV8ツインターボ。450ps/66.2kg-mを発生するこのユニットに、より大きなサイズのツインスクロールターボを組み合わせ、ブースト圧を1.4barまで高めている。
ZFのトランスミッションはギアを強化し、冷却系を追加。さらに、シフトを速め、大容量のトルコンを装備している。アルピナによれば、変速時間は0.1秒で、これは世界最速級と言っていいだろう。
それ以上に注目すべきはサスペンションだ。シャシー開発チーフのアンドレアス・ヴォルマーによれば、彼ら開発チームはサーキット走行ではなく、一般ユーザーの使い方を想定したテストに日々を費やし、脚回りの全面的な見直しを図ったという。
そう聞くと、スプリングやダンパー、スタビライザーなどコンポーネンツの換装を思い浮かべるだろうが、変更はそれだけでなく、ジオメトリーなどのセッティングにも及ぶ。
特にフロントは、ネガティブキャンバーの角度も変えるために、ウィッシュボーンもベースモデルとは異なるものを採用している。
さらには、BMWの4WSシステムに専用チューンを施し、電子制御ステアリングのプログラムも書き換え。ステアリングホイールは、Mモデルのようなしっとりとしたやわらかい手触りを嫌い、専用品を装着した。
FR廃止は「顧客の声」
アルピナが手掛けた5シリーズとしては、7代目にして初めて4WDを採用するが、ボーフェンジーペンは他の選択がなかったわけではないと説明する。
「これまでのB5は後輪駆動で問題なく、個人的にはそれが好みでした。しかし、トルクが81.4kg-mにも達すると、わたしは後輪駆動でよくても、お客様からは四輪駆動化を希望されるんですよ」
そこで、4WDを採用しつつ、システムに手を加えて後輪へのトルク配分を最大90%まで高めており、しかもその状態にあることが多くなるようプログラムされている。
この駆動系ハードウェアは後輪駆動のそれより70kg重いが、車両重量はFRだった先代B5を30kg下回る。タイヤは長年使い続けたミシュランではなく、今回はピレリとの共同開発を行った。
■どんな感じ?
静かなる狂気
皮肉なことに、公道を重視して開発されたこのクルマ、試乗会場はクローズドコースだった。アルピナは3つの仕様のB5を発売するが、まだどれも認証を得ていないため公道を走行できない。そのため、ドイツの中央辺りにあるビルスター・ベルクのテストコースで試乗会が開催された。
ここは走る機会が多いのだが、1コーナーでクルマを降りたくならなかったのは驚きだった。
ここは楽しくも過酷だ。アンジュレーションが激しい高速コースで、軽量で強力なダウンフォースを発揮するサーキット志向のマシン、たとえばポルシェ911GT3RSなどにはぴったりな設定となっている。しかし、スプリングの柔らかい、しかも2150kgもあるワゴンにはまったくもって不向きなはずだ。
エンジンサウンドは最高だ。ボーフェンジーペンCEOは、アルピナでは初めて人工音を添加する装置を装備したことを、きまり悪そうに打ち明けたが、不自然は皆無だった。
また、新たな変速の味付けにも完璧にマッチしている。かなり速く感じられ、その点で期待を裏切ることはおそらくない。
それでいて、メルセデス-AMGのE63ステーションワゴンほど不安な思いをすることはない。あちらは同程度のパワーとより太いトルクを備え、車両重量が軽いという違いはあるが。
予想をすっかり裏切るのは、コーナーでの身のこなしだ。これほど厳しいコースを速いペースで攻め続ければ、当然ながらタイヤは痛め付けられ、高速コーナーではアンダーステアが発生し、路面の凹凸を超えればボディが揺すられる。
ところが、適切なスピードでターンインし、ブレーキを残しつつノーズをアペックスに向け、そこからパワーオンするという基本を守れば、素晴らしくニュートラルで、アジャストしやすいクルマへと変貌するのだ。
そして、ブレーキがまた秀逸。かなりの周回を重ねても、ブレーキに悩まされることはただの一度もなかった。
乗り心地や洗練度については、テストコースでの試乗ということもあり、十分に確かめることはできなかった。
走行モードの項目に、BMWにもあるスポーツプラスのほか、アルピナ独自のコンフォートプラスが追加されていたが、ビルスター・ベルクでの周回に限れば、切り替えても違いはわずかだったからだ。
これに関しては、いずれ公道試乗で明らかにしたいが、むしろ上々の結果でなければ驚くことになるだろう。
■「買い」か?
M5ツーリングは不要、むろんアルピナが理由
おそらく、B5ツーリングをロードテストで量れば、満点を獲得するはずだ。
最終的な結果は、テスト本番まで下さずにおくが、今のところ、80点は間違いなく、順調な出来栄えだと評価するに留めたい。
M5にはこの世代でもワゴンが用意されないと思われるが、必要ないだろう。この手のクルマが欲しいと思ったら、B5で満足できるからだ。
ビルスター・ベルクほどこのクルマに不向きなコースもないものだと思ったが、その走りはみごとなものだった。本分である公道での走りもまた、目覚ましいものであるに違いない。
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