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約2億1700万円! フラットノーズのポルシェ「911」という超希少車とは? 走行距離63キロの奇跡の個体でした

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約2億1700万円! フラットノーズのポルシェ「911」という超希少車とは? 走行距離63キロの奇跡の個体でした

純白のポルシェ964フラットノーズ

昨2023年12月1~2日、RMサザビーズ北米本社がアメリカ合衆国テキサス州ヒューストンにて開催した「The White Collection」オークションでは、「ホワイトコレクション」を名乗る匿名の売り主から、主にポルシェにまつわる500点以上のロットが出品された。そのなかで自動車は63台。さらにポルシェのスポーツカーが56台を占め、オークションタイトルのとおり大部分が真っ白なボディカラーを持つ個体とされていた。今回はそのなかから、近ごろではドイツ式に「フラッハバウ(Flachbau)」とも呼ばれることも多いポルシェ「911ターボS X85フラットノーズ」のモデル概要とオークション結果について、お話しさせていただくことにしよう。

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超希少なポルシェ謹製のフラットノーズとは?

1970年代の後半、フラットノーズ化したポルシェ「935ターボ」が、グループ5シルエット・フォーミュラの最強マシンとしてスポーツカー耐久レースで圧倒的覇権を謳歌。世界中のファンを魅了したことから、そのイメージをロードカーとしての「911」にも投影したモディファイが、まずは旧西ドイツ・フランクフルトの「b b」社など、ポルシェ社外のスペシャルコーチビルダーの手によって行われることになる。

これらのカスタム911はきわめて高価ながら、一定の成功を収めることができた。そして1987年には、名作930系911ターボのフィナーレを飾る限定モデルとして、リトラクタブル式ヘッドライトを持つフラットノーズや、エアベント付きリアフェンダーでモディファイした初代「フラッハバウ」が、ポルシェの公式モデルとして登場。1989年ごろまでに世界限定50台+αが生産されたといわれている。

そして911シリーズが「964」系に進化し、その964系も次世代、そして空冷911最終型の「993」系へとバトンタッチする直前の1994年モデルから、ポルシェはファイナルモデルとして「ターボS」を用意することになる。

「ポルシェ・エクスクルーシヴ」によって限定生産されたターボSは、すべて「X88」と呼ばれるパッケージオプションのエンジンを搭載。このX88パッケージは、ブースト圧アップやインタークーラーの高効率化、専用のヘッドやインジェクターによって標準型「ターボ3.6」対比で25psのスープアップを図り、シングルターボ時代としては最強となる385psのパワーを得ていたという。

この964ターボSにさらなるオプションとして設定されたのが、第2世代の「フラットノーズ」である。

合計76台の964ターボSフラットノーズが製作されたといわれているが、じつはその中でも仕向け地によって細分化されている。まずは日本市場に向けて10台が製作された「X83」は930時代の元祖に近い、リトラクタブル式ヘッドライトとサイドストレークを備えていた。

また日本以外の地域に向けた27台の「X84」は、同時代の968を思わせる「フリップアップ」式ヘッドライト。アメリカ市場向けに39台が製作された「X85」のヘッドライトもX84と同様であった。

いずれの964ターボSフラットノーズも、古典的な空冷フラット6+シングルターボ、そして後輪駆動ターボ時代の最高のスペックにくわえて、独特のルックスとエクスクルーシヴ性を組み合わせた、この時代におけるもっとも希少、そしてもっともマーケット評価の高いポルシェ911のひとつと目されているのだ。

30年間の走行距離はわずか63km! 納得の落札価格は?

「The White Collection」オークションに出品された1994年型ポルシェ911ターボS X85フラットノーズは、米国市場向けに製造された39台のうちの1台。当初ニューヨーク州タッカホの「クラシック・オートモービルズ」社を介して、カリフォルニア州ダンヴィルの有名な「ブラックホーク・コレクション」に新車として販売された。

新車当時のウィンドウステッカーに記載された「ターボSフラットノーズパッケージ」の希望小売価格は6万179ドルであり、さらに「ポルシェ・エクスクルーシヴ」による豊富なオプションが追加されている。

まずインテリアでは、ライトルートウッドのダッシュボード(コードX17)、パーキングブレーキレバー(X31)、シフトノブ(XC8)が採用されたほか、「カシミア・ベージュ」のシートヒーターつきサップル・レザーシート。本革レザー張りのダッシュボードとセンターコンソールも装備。ベージュのベロア生地フロアマットもマッチし、とてもゴージャスなキャビンを形成している。

そしてX85フラットノーズとしてはわずか2台しか製作されなかったといわれる「グランプリ・ホワイト」のエクステリアは、このクルマのエクスクルーシヴ性をさらに高めているうえに、スタイリッシュな18インチ「RSカップ」ポリッシュホイールも装着されるほか、電動スライディングサンルーフによるオープンエアドライブまで可能とする。

この純白のX85フラットノーズは、ブラックホーク・コレクションの施設内に2016年まで所蔵されていた。その結果、オークションの公式カタログ作成時の走行距離はわずか39マイル(約63km)にとどまっている。

2016年8月、このフラットノーズは今回のオークション出品者である現オーナーに譲渡され、以来「ホワイトコレクション」の一員となっている。このオーナーシップ移動に先立って包括的なサービスが実施され、油脂類やフィルター、燃料ポンプ、インジェクター、ブレーキライン、ドライブベルト、ストラットを新品に交換している。

そしてコレクションに保管されている間も、このクルマは毎月エンジンをかけられ、作動温度まで走らせてきたとのことである。

今回のオークション出品にあたり、エアコンプレッサーや純正ボディカバー、ツールロール、ポーチつきオリジナルオーナーズブック、オリジナルウインドウステッカー、ドキュメントバインダーが付属する旨もカタログに記されていた。

そして出品者とRMサザビーズ北米本社は、米国仕様X85パッケージの希少性とともに、現存するX85フラットノーズでは随一と考えられる超ローマイレージに、極上コンディションまで兼ね備えた911ターボS「フラットノーズ」について、自信たっぷりな150万ドル~200万ドルのエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ただ、同じRMサザビーズが2022年1月に開いた「ARIZONA」オークションでは、比較的条件の近い964ターボSフラットノーズX85が出品され、132万5000ドルで落札された実績もあることから、このエスティメートは順当ともいえるものだった。

また、さすがに高価格が予測されるロットゆえ最低落札価格は設定されていたようだが、実際の競売ではエスティメート下限を少しだけ割り込むとはいえ、2年前のアリゾナ・オークションにおける落札価格を14万ドル近くも上回る、146万2500ドル。日本円に換算すれば、じつに約2億1700万円という大商いとなったのである。

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みんなのコメント

5件
  • tom********
    このライトの開き方のフラットノーズがあるのは知らなかった
    普通のフラットノーズも微妙だけど
    これはもっと微妙ですね
    希少なのは解るけど
  • gonn3
    ブフマンみたいですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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