2022年3月17日、トヨタは4月~6月の生産計画を発表した。生産台数を下振れさせないよう、無理な生産を現場に強いるものではなく、世界情勢を鑑みながら、部品サプライヤー、生産工場の状況を冷静に判断したものだ。安全と品質を最優先に、減産リスクを織り込みながら計画を練ることを、本筋に挙げた。
2022年4月上旬時点で、店舗にもよるが人気車の一部、たとえばヴォクシーのハイブリッド車の納期はすでに(即日注文したとしても)2023年春になるという。空前の納車待ち長期化といっていい。
トヨタ納車長期化解決せず…!? ディーラーが抱える納車の実情と苦悩
新車の長納期が表面化し、改善に取り組んできたが、その活動を始めて2年以上が経過する。契約を交わしながら、ユーザーへ納車が出来ない状況に苦慮する、販売現場を取材した。今、自動車ディーラーが抱える問題を伝えていく。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA
先を見通せない生産状況はいつまで?
2022年3月1日に部品サプライヤーがサイバー攻撃を受け、トヨタの国内全14工場28ラインが、稼働停止となったのは記憶に新しい。
さらに、3月16日の深夜には、福島県沖を震源とするM7.4 の地震が発生した。新幹線や高速道路などのインフラに大きな被害が出て、トヨタが関連する部品の仕入れ先も被災している。
新型コロナウィルスの影響や、半導体不足といった、既知の問題に加えて、突発的に発生する攻撃や自然災害によって、製造ラインは予定外の稼働停止を余儀なくされてきた。工場が止まれば生産が止まる。その分、ユーザーが注文したクルマの納車もまた、1日1日と遅れていくのだ。
さらにウクライナ情勢が悪化し、国内の自動車産業は、ロシアに対する経済制裁の影響を大きく受けている。禁輸や現地法人の営業停止など、問題は山積みの状況だ。
これまで、前向きに生産を続け、遅れを取り戻すことに必死だったトヨタも、今後の生産計画については、無理のない現実的な数字を示している。年間生産台数は予定よりも大きく下振れすることを承知のうえで、より現実的な計画を発表してきた。
様々なファクターが複雑に絡み合い、大きな問題としてのしかかる。先の見通せない状況を、この先も1年以上は覚悟しなければならない。メーカーも我々も、柔軟な対応をしなければならないことに、今後も変わりはないだろう。
ランクルが納期短縮される? 今後のトヨタ車納期はどうなる
日本では納期4年待ちの新型ランドクルーザー。販売台数上位国には、アラブ首長国連邦、オーストラリア、サウジアラビア、ロシアなどがある。今回のロシア禁輸措置で、納期はどうなるのか?
ロシアに対する禁輸措置の影響が、特に大きくなりそうなのが、レクサスとランドクルーザーだ。政府は600万円以上の自動車に対して、ロシアへの輸出を禁止した。
グローバル販売がメインのランドクルーザー。そのなかでもU.A.E(アラブ首長国連邦)、オーストラリア、サウジアラビアに次いで、世界第4位の販売台数を計上するロシアへの禁輸は、世界全体のランドクルーザー販売に大きな影響を及ぼすだろう。
禁輸措置によって、行き場を失ったロシア向けランドクルーザーが、他の国々へデリバリーされる可能性がささやかれ、日本では4年以上といわれているランドクルーザーの納期が、短縮されるのではないかという声もある。
今のところ、ラインナップのなかで、大きく納期が短縮される車種は出てきておらず、ランクルの納期短縮に関しても、販売店への新たな通達などはない。世界全体での調整が必要であり、日本だけを特別扱いできない事情も多くあることから、良い影響は限定的だろう。
禁輸措置の解消がいつになるのか。永続的に続くものなのかもわからないため、メーカーとしても正式な発表を避ける可能性がある。「短くなります」と発表し、ユーザーや販売店をその気にさせた矢先に、別の原因で工場が稼働停止などとなったら目も当てられない。
新車を待ち焦がれるユーザーのスタンスとしては、これまでとおり「長い間」待つという構えを変えない方が良いと思う。
登録が進まない販社は、大幅な利益減となるところも
トヨタ自動車公式サイトにある、各車の「工場出荷時期目途」。あくまで工場出荷時期であり、目途であるが、クラウン、ハリアー、シエンタなどはその目途さえ立っていないことがわかる
納車待ちのユーザーがどんどんと増え、管理業務の負荷が大きくなっている販売店。契約してから納車までの間、1カ月に1度は連絡を取り、現状を伝える。さらに、不満や要望を聞きながらキャンセルリスクを小さくする活動で、営業マンの業務は多忙を極めているようだ。
注文済みの顧客対応に追われ、「売り」の活動がうまくできていない状況もあるが、さらに深刻なのは、新車の登録ができないという現実だ。
販売店が新車販売で利益計上をするのは、契約時ではなく登録時となる。つまり、新車に車台番号が付き、ナンバープレートを発行しなければ、新車の販売利益は生まれない。
新車契約数は、大きく減っているというわけではない。しかし、生産が遅れ納車が先延ばしになっている現状では、新車登録台数の減少が目立つ。これは販売店の経営に影響し、営業マンの査定(評価)にも関わることだ。
新車利益の減少は、給与査定やボーナス査定などに響く。これは営業マン以外の管理職・エンジニアでも同様である。
いくつかの販売店で営業マンに話を聞くと、「早く納車させてほしい」「報奨金なども厳しく給料が下がってきた」という声を多く耳にする。新車の納期が長くなっている現状は、ユーザーの満足度を下げる以外にも、販売現場で働く多くの人に、経済的な損出を与えているのだ。
特に新車利益を主軸に経営計画を立てる販売店は、厳しい状況が続く。この先、数年単位で同じ状況が続くことを考えると、販売店の収益構造を変えていかなければ、経営が立ち行かなくなるだろう。
新車販売から中古車販売へ、さらにサービス利益や保険・割賦、用品販売などの、複合的な「売り」の戦略が、これからを生きていくディーラーには不可欠だ。このままでは、販売や整備の現場に与える負荷が、これまで以上に大きくなることは、明白な事実だ。
これまでに経験したことのない困難な状況は、今後も一定程度の影響力を持ちながら長いスパンで続いてくだろう。世界情勢に振り回されるのは、メーカーだけではない。中小の部品サプライヤーも同様であり、ディーラーも同じ境遇をたどっていく。
自動車産業全体で、この問題をしっかりと受け止め、協力体制をいち早くとらなければ、苦境を乗り越えるのは難しい。特に、部品サプライヤーや販売店に関しては、メーカーほどの体力もなく、「クルマが売れているのに倒産」という最悪のシナリオも、現実味を帯びてきた。
日本経済を支えてきた自動車産業へ、国策レベルでの支援が必要な状況が、既に来ている。官民が一致協力して苦境を乗り切る工夫が必要となるだろう。
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みんなのコメント
よく読んで下さいね。いい事だけ切り取られて独り歩きしていきます。納車が早まると勘違いする頭の悪い人が増えます。勘弁して下さい。