大学の自動車部を取材するこの企画、今回は明治大学の自動車部を取材するべく、東京都杉並区和泉にある和泉キャンパス近くの自動車部ガレージにお邪魔した。1932年創部という歴史ある部活動での苦労や魅力についてじっくり伺った。
※本稿は2024年3月のものです
文/奥野大志、写真/大石博久
初出:『ベストカー』2024年4月26日号
※本記事内の学年は2024年3月時点のものです
明大自動車部の強さの秘訣は「少数精鋭」にアリ? 「全員が速い」を目標に今日も走る!
■そもそも「自動車部」ってナニ?
明治大学自動車部のみなさん。充実したガレージ設備と全員レースで好成績を狙う
自動車部は野球部やラグビー部などと同じ体育会に所属する運動部。多くの大学が全日本学生自動車連盟(学連)主催のジムカーナやダートトライアル、フィギュアなどに出場し、運転技術と整備力を競っています。
モータースポーツという言葉が一般的になるはるか以前から、自動車部は活動しており、自動車業界にもたくさんの人材を輩出しています。
●明治大学自動車部活動内容
・正式名称:明治大学体育会自動車部
・創部:1932年
・部員数:13名(2023年実績)
・保有車両台数:5台(試合車)
・活動場所:和泉合宿所(ガレージ)
■ガレージには宿泊できる合宿所も併設
和泉キャンパスのすぐ近くにある自動車部のガレージ。中には整備用の工具が並ぶ
明治大学は1881年(明治14年)に設立された明治法律学校をルーツとする総合大学。140年以上の歴史のなかで、大学としての評価はもちろん、大学スポーツの分野でも多くの功績を残しており、全国的に高い知名度を有しています。
明治大学自動車部の創部は1932年。活動拠点は東京都杉並区にある、和泉キャンパスにあります。
キャンパスの周辺をクルマで探しまわること約5分。閑静な住宅街の中にいかにも自動車部的なガレージを見つけることができました。ガレージ内にはリフトや油圧プレス、タイヤチェンジャーなどの大きな機材があるうえに、宿泊できる合宿所も併設。とっても充実しています。
取材に応対いただいたのは4年生の前主将、坂井遼さんと3年生の現主将、菅谷洋雄さん。明大自動車部では昨年(2023年)の12月に納会を済ませており、菅谷さんが主将に就いています。
「明大自動車部は現在、13人で活動しています。活動日は火曜日と木曜日で、授業がない期間は土曜日も活動しています。主に学連の競技に参加しており、ジムカーナ、ダートトライアル、フィギュア、軽耐久に出場しています」(坂井さん)
明大自動車部の特徴はずばり、少数精鋭の部員による“全員レース”。「上級生だから」「下級生だから」という区分けは存在せず、全員が工具を持って日々の整備にあたり、誰でも選手になれるチャンスがあります。
「分け隔てなく、活動しているのがうちのセールスポイント。学年を問わず、意見が言えて、みんなでやっていくスタンスが強いです」(坂井さん)
学連競技用の試合車は2台のインテグラタイプR。ジムカーナとダートラで使い分けており、リフトに載っているのがジムカーナ用です。エンジンのヘッドカバーが明大のイメージカラーである紫に塗られていてカッコいい!
また、4A-Gを搭載したレアなカローラセダンや、先輩が寄付してくれたナンバー付きのスイフトスポーツなど、練習車も充実しています。
ここ数年の明大自動車部の成績はというと、昨年の全関東総合杯団体4位(軽耐久を除く学連3競技の団体合計ポイント)や2021年の全日本ジムカーナ団体6位など、団体戦で活躍。坂井さんも2023年の全関東総合杯の個人4位に入っており、全員レースの面目躍如といったところです。
「うちにはこの人が出場すれば表彰台確定というスーパースターはいませんが、全員が切磋琢磨して、同じ実力を発揮できるように心がけています。団体の結果がいいのはそれが理由だと思います」(菅谷さん)
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■新入部員を増やすための取り組み
苦しい時期を引っ張ってきた前主将の坂井さん(右)と、坂井さんからバトンを受けた新主将の菅谷さん(左)
とはいえ、近年の明大自動車部の活動は決して順風満帆ではありませんでした。特に2022年の冬から春にかけては部員が少ないうえに、4年生は就職活動で不在に。3~4人で重整備を行い、新人戦から全関東フィギュア、全関東ジムカーナまで乗り切りました。
「予備のパーツがない。でも、先輩たちがいないので、とりあえずやってみるしかないという感じでドライブシャフトを組んでいました。それが一番つらかったですね。実はダートに復活したのは去年からですが、その人数で試合車のインテグラも作りました。私はそのころ、ほとんど合宿所に住んでいましたね(笑)」(坂井さん)
当時3年生だった坂井さんがその時感じたのは「部員集めの重要さ」。このままいくと部の運営自体が成り立たなくなるという危機感を抱いたのです。
そこで坂井さんをはじめとする部員たちは、明大カラーのチームウエアを作り、さらに大学に働きかけ、和泉キャンパス内での車両展示を実現。モータースポーツのカッコよさをアピールすることに力を入れました。
すると、効果はてきめんで2023年春に予想を上回る数の新入生が入部。現在も5人が活動中で、そのうちの2人は理系の生田キャンパスからの通い組です。
「あの時を経験したからこそ、新歓のやり方が変わりました。同期が部を紹介する動画を作ってくれ、ユーチューブで配信したところ、興味を持ってくれた人もいます。欲をいえば、2024年の新入生は10人ぐらい集めたい。明大自動車部の規模を大きくし、固めていく方針です」(菅谷さん)
■全員で実力をつけて「全員が速い」が目標
2024年も部内で一丸となり、好成績を狙います!
2024年の目標は全日本ジムカーナとダートトライアルでの団体表彰台獲得。1年生がメキメキと腕を上げており、上級生もうかうかしていられない状況です。また、ダートラでは今シーズンに向けて、スイフトスポーツの製作がスタート。これまでと同様、全員でクルマ作りを行っています。
「部員全員が走って速い、そんな目標も掲げています。全員が主体的に取り組み、実力をつけるからこそ、選ばれる選手も結果を残せると考えています」(同)
がんばれ明大自動車部! 入学する新入生のみなさんも自動車部のガレージに足を運んでみてくださいね。
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■明大自動車部員の愛車たち……このクルマのココがイイ!!
●坂井 遼さん(法学部4年) 愛車:ルノー ルーテシアRS
坂井 遼さん(法学部4年)
インテグラかシビックが欲しかったのですが、高くて買えないので、NAのマニュアルのFF車を探していたところ、ルーテシアの性能がいいと思い、過走行の中古車を30万円くらいで買いました。人も荷物も載せられるうえに、エンジンもパワフルでスポーツ走行も楽しめます。オールマイティですね。
●菅谷洋雄さん(商学部3年) 愛車:日産 ローレル
菅谷洋雄さん(商学部3年)
趣味としても運転技術向上のためにもドリフトに取り組んでいて、5速マニュアルに換装済みのC35ローレル改を買いました。ドリフト車の相場も高騰しているのですが、ローレルは比較的相場が落ち着いています。ER34後期のRB25を搭載しているので、車格もパワーも違い、楽しんでます。
●戸田耕太朗さん(文学部3年) 愛車:ダイハツ エッセ
戸田耕太朗さん(文学部3年)
先輩がエッセを手放すことになり、それを買いました。検なし6万円で購入、車検をとって乗っています。サスペンションやシートなど、いろいろなパーツを付けていただき、その値段なので、かなりお得な買い物でした。荷物が多い時に部活まで乗ってきたり、長距離ドライブにも行っています。
●伊藤 潤さん(文学部2年) 愛車:マツダ ロードスター
伊藤 潤さん(文学部2年)
ぼくの同期がロードスターで刺さってしまい、それを手放すという話がまわってきたので購入しました。ダメージは結構あったのですが、自分でパーツを見つけてきては付け直して、なんとか車検をとって乗っています。主に移動用ですが、これからジムカーナなどをやってみたいと思っています。
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