現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 自賠責の値上げ前に国交省「交通事故被害者ノート」作成 国民負担“賦課金”の使い道に?

ここから本文です

自賠責の値上げ前に国交省「交通事故被害者ノート」作成 国民負担“賦課金”の使い道に?

掲載 63
自賠責の値上げ前に国交省「交通事故被害者ノート」作成 国民負担“賦課金”の使い道に?

国民負担になる自賠責の“賦課金”値上げ前に

 保険料賦課金の値上げを前に、自賠責保険制度を担当する国土交通省保障制度参事官室は、いっそうの被害者支援の強化に乗り出しました。交通事故被害者団体の要望を受けて「交通事故被害者ノート」を作成。事故直後や後遺症で苦しむ被害者家族や遺族の問題解決の一助として無料配布します。

ドライブレコーダーの死角「SDカード」に要注意! 録れてないトラブル増加のワケ

「被害者支援の強化」を目的とする自賠責の賦課金の詳細は決定していませんが、2023年度にも1台150円程度で上乗せされる予定です。救済に充てられる自賠責の運用益を財務省が一般財源に繰り入れ(借り入れ)、約6000億円分が未返済であることから、救済事業のための資金が不足しているのが現状です。

 自賠責保険の賦課金は現行では、加害者が定まらないひき逃げ被害者支援で約32円ですが、これとは別に、被害者救済事業をさらに充実して、安定的継続的に維持するために新たな賦課金が設定されます。

 斉藤鉄夫国土交通相は12月6日の会見で、「交通事故被害者ノート」の作成の狙いを次のように話しました。

「交通事故被害者や家族、遺族が、事故直後で混乱している中でも、事故状況の記録を残せるよう、さまざまな支援制度を知ってもらえるよう作成した」

 ノートは約70ページ。最初に、事故にあったときの心構えが短くまとめられています。その内容は、被害者であり支援団体としても活動するノート作成協力者の声をまとめたもの。《交通事故は人生の緊急事態です。不安や困りごとを相談し、一人でがんばらないでください》と、始まっています。

 被害者にとって最も重要な「事故の状況」は、チェックリストを確認するだけで必要なことがわかるようになっているほか、ノートに記載された質問に答えるようにして記入すると、事故の記録が出来上がるようになっています。

 国交省保障制度参事官室は、被害者救済対策のあり方を再定義する検討会を2020年夏 21年夏にかけて開催。療護施設や脊髄損傷や高次脳機能障害を抱える事故被害者のリハビリの機会確保を盛り込んだ報告書をまとめました。交通事故被害者ノートの作成は、この検討会の中で提案されたものです。

被害者支援制度を、事故に直面する人に届ける

 打ち出された被害者救済対策の充実提言は新たな賦課金の議論につながり、約8000万台の自賠責保険料の実質値上げにつながりました。事故被害者の救済と自動車事故被害者対策費の確保議論が結びつけられたことについての困惑は、被害者の中にもあります。

 交通事故被害者救済ノートには行政のさまざまな被害者支援制度が紹介され、家族の困りごとを記入する中で、どの制度が利用できるかが見えてくるようになっています。被害者が直面する課題について時系列と重要度に応じて章立てが整理され、

・被害者と家族について
・自賠責保険制度について
・警察、検察、裁判について
・支援者や窓口の連絡先
・利用できる制度の窓口について

と、続きます。

 多くの被害者は混乱の中で支援制度を把握できないままでいます。ノートを開くことで、事故直後から始まる“闘い”の全体像を知ることができます。

 作成に携わった保障制度参事官室の担当者は、「事故の当事者と支援団体がいっしょに書き込んでいくこともできるように作成している」と話します。

 交通事故被害者ノートの作成を働き掛けた支援団体「途切れない支援を被害者と考える会」は、犯罪被害者の体験をもとに被害者ノートを作成。被害者の回復を手助けしていました。今回の「交通事故被害者ノート」は、その被害を交通事故に限定して、より詳しく対策を説明した内容です。被害の程度によって必要性は変わってきますが、困った時のために存在を知っておくことで役に立つかもしれません。

 12月6日からは国土交通省の自賠責ポータルサイトや自動車事故対策機構(NASVA)のサイトからダウンロードが可能です。12月19日頃からは、都道府県の犯罪被害者向けの総合窓口でも配布を予定しています。

 自動車ユーザーの負担は、被害者救済対策のさらなる充実につながるのか。交通事故被害者ノートの活用は、その試金石になります。

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
motorsport.com 日本版
トヨタ大逆転か、ヒョンデ初の3冠か。勝田貴元が握る、タイトル防衛のカギ【ラリージャパンの見どころ】
トヨタ大逆転か、ヒョンデ初の3冠か。勝田貴元が握る、タイトル防衛のカギ【ラリージャパンの見どころ】
AUTOSPORT web
フェラーリ、予想通りタイヤのウォームアップに苦労。ルクレール「レースペースは良い。逆よりマシだ」
フェラーリ、予想通りタイヤのウォームアップに苦労。ルクレール「レースペースは良い。逆よりマシだ」
motorsport.com 日本版
スズキ「ジムニー」の“スライドドア仕様”を初公開!? アウトドア最強の「本格オフロード」モデル実車登場! めちゃゴツ顔の「エブニイ SPIEGEL」に反響続々!
スズキ「ジムニー」の“スライドドア仕様”を初公開!? アウトドア最強の「本格オフロード」モデル実車登場! めちゃゴツ顔の「エブニイ SPIEGEL」に反響続々!
くるまのニュース
「昔あったなぁ」装備 「燃料コック」操作したことありますか?
「昔あったなぁ」装備 「燃料コック」操作したことありますか?
バイクのニュース
フェラーリ代表、選手権争いに向け「自分たちの潜在能力に自信を持っている」ラスベガスでは好結果を残せると確信
フェラーリ代表、選手権争いに向け「自分たちの潜在能力に自信を持っている」ラスベガスでは好結果を残せると確信
AUTOSPORT web
アルファロメオ、日本初導入となる『ジュリア』左ハンドル車のカスタマイズプログラムを実施
アルファロメオ、日本初導入となる『ジュリア』左ハンドル車のカスタマイズプログラムを実施
AUTOSPORT web
【1970年代国産GTカーに思いを馳せて】光岡自動車からM55の市販バージョンが登場!
【1970年代国産GTカーに思いを馳せて】光岡自動車からM55の市販バージョンが登場!
AUTOCAR JAPAN
BMWの次世代EV「ノイエ・クラッセ」、SUV版のテスト車両を生産開始
BMWの次世代EV「ノイエ・クラッセ」、SUV版のテスト車両を生産開始
レスポンス
排気量アップで140馬力!? 軽枠超えのコペンが本気すぎ
排気量アップで140馬力!? 軽枠超えのコペンが本気すぎ
ベストカーWeb
[2000年]代[軽スポーツ]に注目!? 流通量豊富なスズキ[アルトターボRS]に中古で乗る!!
[2000年]代[軽スポーツ]に注目!? 流通量豊富なスズキ[アルトターボRS]に中古で乗る!!
ベストカーWeb
旧車ベンツW111型「220SE」をデイリーに楽しむ!「羽根ベン」と呼ばれる理由は当時の米国の流行に乗ったデザインにありました
旧車ベンツW111型「220SE」をデイリーに楽しむ!「羽根ベン」と呼ばれる理由は当時の米国の流行に乗ったデザインにありました
Auto Messe Web
交換のたびに「ちょっと余る」エンジンオイル! コツコツためて使っても問題ない?
交換のたびに「ちょっと余る」エンジンオイル! コツコツためて使っても問題ない?
WEB CARTOP
【F1メカ解説】レッドブルがラスベガスで見せた”荒療治”。大きすぎた空気抵抗に対処すべく、サーキットでリヤウイングを削る苦肉の策
【F1メカ解説】レッドブルがラスベガスで見せた”荒療治”。大きすぎた空気抵抗に対処すべく、サーキットでリヤウイングを削る苦肉の策
motorsport.com 日本版
ライダーを重視した先進装備を多数搭載。新型『トライアンフ・タイガースポーツ660』発表
ライダーを重視した先進装備を多数搭載。新型『トライアンフ・タイガースポーツ660』発表
AUTOSPORT web
F1メディア委員会、故意のフェイクニュースの監視と取り締まりを検討
F1メディア委員会、故意のフェイクニュースの監視と取り締まりを検討
AUTOSPORT web
アルパイン2025年モデル発表 車種専用モデルさらに拡充 ナビもディスプレイオーディオも充実
アルパイン2025年モデル発表 車種専用モデルさらに拡充 ナビもディスプレイオーディオも充実
AUTOCAR JAPAN
「6リッターV12エンジンで6段MT」乗れるのは2人!?  衝撃の激レア英国車デビュー!
「6リッターV12エンジンで6段MT」乗れるのは2人!? 衝撃の激レア英国車デビュー!
乗りものニュース

みんなのコメント

63件
  • 一般財源に貸し出した保険金は
    いつになったら戻ってくる?
    自賠責保険を上げる前に、貸出金の
    返金を求めるべき!

    視点ご間違っている!
  • 自賠責保険あげて財務省に他に使われそのお金返すのに何十年って平気で言える政府?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

144.8268.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0335.0万円

中古車を検索
ノートの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

144.8268.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0335.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村