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先代「695」と乗り比べ アバルト500e 長期テスト(5) 魅力はそのまま 未来感が凄い!

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先代「695」と乗り比べ アバルト500e 長期テスト(5) 魅力はそのまま 未来感が凄い!

積算1万230km 先代の小さなアバルトと乗り比べ

アバルトは、2024年になってガソリンエンジンの695の生産を終了させた。英国では在庫がなくなり、販売も終わってしまった。

【画像】存在感はカニエ・ウェスト級! アバルト500e 競合の小さな電動ハッチ フィアットの500eも 全168枚

そのベースモデル、フィアット500が登場したのは2007年。英国の首相はゴードン・ブラウン氏で、リアーナが英国のヒットチャートを賑わせていた頃だ。AUTOCARが試乗記を掲載した時、筆者は小学校の6年生だった。

2024年までの間に、フィアット500は電気自動車へ切り替わっている。その時、ガソリンエンジンの500は、英国市場では最も発売の古い量産車になっていた。実際に運転してみれば、過ぎた時間を実感することも少なくなかった。

アバルト仕様が登場したのは2008年。これまでアップデートは繰り返されてきたが、前時代のモデルという雰囲気は拭えなかった。

新しいバッテリーEVのアバルト500eも、先代と同じく、ベースとするのはフィアット500eだ。電動アーキテクチャやデジタル技術、安全性が向上したボディなどは、基本的に共有している。小さくない価格差があることも、これまでと同じだ。

前回にも触れたが、改めて運転してみて、やはり印象はアバルト695とアバルト500eで似ている。今回お借りした前者にはセミATが載り、変速マナーは荒削り。後者はシングルスピードだが、スポーツ・モード時は不自然なギクシャク感がある。そんな弱点も。

乗り心地の悪い695 未来感が凄い500e

アバルト500eは、普段使いするならノーマル・モードがベスト。アクセルペダルを倒す右足は、優しく動かすのが良い。今回の695も、気張って運転すると変速が思い通りに進まず、ヤキモキしてしまった。

サスペンションには、2台とも引き締められたコイルスプリングが組まれている。特に695は、アスファルトの剥がれた穴を通過する度に、背骨へ振動を伝える。激しいノイズも車内へ響かせる。ストロークは短く、横断歩道のペイントの段差すら感じ取れる。

ステアリングは、旋回中に路面の凹凸で影響を受けがち。気張って走らせていると、不安定になることもしばしば。それが面白いのだが、ここまで乗り心地の悪いクルマは久しぶり。ダンパーが木の棒へ交換されていると聞いても、疑わないほどハードだ。

アバルト500eのサスペンションは、フィアット版と比べれば硬い。しかし695と比べれば、シトロエン並みにしなやかに思えてしまった。

インテリアやメカニズムの違いは大きい。4万ポンド(約776万円)前後のバッテリーEVとしては、アバルト500eの車内は比較的質素。インフォテインメント・システムはベーシックな内容で、急速充電も高速なわけではない。航続距離も長くはない。

ところが695と並べると、未来感が凄い。タッチモニターはアップル・カープレイに対応し、バックカメラも付いている。キーレスエントリーも。

長距離ドライブの親和性は同等 魅力はそのまま

695と比較したことで、鮮やかなイエローで塗られたアバルト500eに対する筆者の感じ方は、思いがけず大きく変化した。確かに乗り心地は硬めといえるが、加速は線形的でエキサイティング。インテリアも、従来より上級指向にあることは明らかだ。

長くはない航続距離も、大きな問題には思えなくなった。695は、1度の満タンで走れる距離はほぼ2倍ながら、快適とはいえず、半分くらい減ったところで一休みしたくなる。

結果として、ノンストップで走れる距離はほぼ変わらない。2台の長距離ドライブに対する親和性は、同等といえるだろう。

バッテリーEVだとしても、サイズの割に、アバルト500eのお値段はお高めではある。それでも、695から大きな進化を果たしていることは間違いない。しかも、従来から評価されてきた魅力は受け継いでいる。

とりわけ、個性的なスタイリングは好ましい。ステアリングフィールは心地よく、一緒に過ごす時間はかなり楽しい。盛大なエンジンサウンドも、スイッチを切り忘れなければ楽しめる。いかにも人工の音だけれど。

テストデータ

気に入っているトコロ

左側から降りられる:トランスミッション・トンネルがなく、狭い駐車場で右へ寄せて停めても、助手席側から簡単に降りられる。

気に入らないトコロ

不安定な充電パッド:無線充電パッドは、筆者のスマートフォンだと動かない。ところが、仕事用のスマートフォンだと使える。

テスト車について

モデル名:アバルト500e ツーリスモ(英国仕様)
新車価格:3万8195ポンド(約740万円)
テスト車の価格:3万8795ポンド(約753万円)

テストの記録

電費:6.4km/kWh
航続距離:249km
故障:なし
出費:なし

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