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なぜ1.5? いや1.5だから意義がある!? ロードスターに2Lはなぜ導入されないのか

掲載 更新 103
なぜ1.5? いや1.5だから意義がある!? ロードスターに2Lはなぜ導入されないのか

 日本が誇るライトウェイトスポーツカーのマツダ ロードスター。発売から約7年経っても相変わらずの人気だが、現行モデルであるND型が発売されてから、ずっと続いている論争がある。

 「欧米にはソフトトップにも2.0Lエンジンモデルがあるにも関わらず、日本にはなぜ導入されないのか?」ということ。

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 マツダは、「海外の道路事情などと比べると、日本では1.5Lがベストモデル」と考えているようで、今後も国内で販売するソフトトップモデルには、2.0Lエンジンを導入しない方針らしい。はたして、NDロードスターは、本当に1.5Lがベストモデルなのか?改めて考えてみることにした。

文/伊藤梓、写真/MAZDA

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■2リッターエンジンでトルク&パワーを

登場以来変わらぬ人気のマツダ ロードスター。ND登場とほぼ同時期から「2.0Lエンジン待望論」が囁かれ続けている

 日本のソフトトップモデルにも、2.0Lエンジンが望まれている理由はひとつ。「もっとパワーが欲しい」というシンプルなものだ。最高出力と最大トルクを見てみると、1.5Lエンジンは、132ps/152Nmで、2.0Lエンジンは、184ps/205Nm。

 確かに数値を見るだけでも、パワーの差を如実に感じる。

 海外用のソフトトップモデルに試乗したことはないが、2.0Lエンジンを搭載したハードトップのRFには試乗したことがあるので、それをソフトトップに置き換えてイメージすると、「低速から高速までしっかりトルクがあって、とても運転しやすいのだろうな」と想像がつく。

 1.5Lエンジンは、発進などの低速時にモタつくことがあるので、そういった部分も解消されそうだ。確かにパワーだけで言えば、2.0Lが圧倒的に有利だが、個人的にはやはり1.5Lを推したい。購入する人の用途や求めるものによってベストモデルは変わると思うが、それらも含めて説明していこうと思う。

■それでも1.5リッターを推す理由

1.5Lモデルと2.0Lモデルを単純に重量で比較するとおよそ70kgの違いがある。元々の車重が軽いだけにこの差は大きい

 私が1.5Lエンジンを推したい理由は、とにかく「軽い」こと。2.0Lモデルは、エンジンそのものもそうだが、それに付随するコンポーネントなども大きくなり、どうしても重量がかさむ。

 装備品などがは多少違うかもしれないが、海外と日本のもっともシンプルなソフトトップモデルで比較すると、アメリカモデルの重量は約1060kgで、日本モデルは990kgと、約70kgの差がある。

 ロードスターは、軽量化するために1g単位で考えて作られたはずなのに、これだけ車重が増えてしまうということにまず抵抗を覚えてしまう。そして、もちろん実際に運転した時の違いも大きいはずだ。

 たとえば、他のマツダの車種でガソリンエンジンモデルとディーゼルモデルを乗り比べると、パワーはディーゼルに及ばなくても、車重の軽いガソリンエンジンモデルは、軽快感があってキビキビと走らせることができるので、運転が楽しく感じる。おそらく、ロードスターならもっとそれを顕著に感じるだろう。

 ライトウェイトスポーツカーの楽しさは、やはり「軽さ」にあると思う。アクセルを踏み込んだ瞬間、クルマがスッと軽やかに進んでいく感覚。

 コーナーで鼻先がスパッと入っていく気持ち良さ。そして、いつもの道をただ運転するだけでも楽しかったり、億劫にならずにクルマで出かけられたり、クルマに触れる度に心が弾むような気持ちになるのも、根本的には、ライトウェイトスポーツカーの「軽さ」が生んでいるもののような気がする。

■クルマの性能を使い切って走る楽しみ

「人馬一体」をテーマに開発されているだけに、クルマの性能を余すところなく使って乗りこなすことを重視している

 さらに、1.5Lエンジンは、しっかりエンジン回して使い切る楽しみもプラスされる。手に馴染んだ道具のように、自分の手の中で自在に操れている感覚は、丁度いいパワーを持つ1.5Lエンジンだからこそ。

 大排気量でパワーがあるスポーツカーも楽しいが、それが使い切れていなければ、クルマとの一体感というより「クルマに乗せられている」感覚の方が大きくなる傾向にあると思う。

 ということで、1.5Lエンジンモデルは、「軽快にキビキビ走るロードスターらしいロードスター」として、これ以上ないモデルだと思う。

 ただ、2.0Lエンジンモデルも「よりパワーのあるロードスター」としてではなく、「グランドツーリングを楽しむロードスター」としてなら、より輝くモデルになるのではないだろうか。

 実際に、ハードトップモデルのRFがそういった味付けになっているのだが、キビキビ感というよりしっとりした乗り味で、排気量のあるエンジンを、ことさらにパワーに振るのではなく、クルマに余裕を持たせる方向に使っている。

 長距離ドライブをする時にも、頑張ってエンジンを回す必要はなく、心地よく運転し続けられるモデルとして、とても魅力的だと思う。

■競うのではなく選択肢を増やす

パワーではなく余裕を手にするという意味では、2.0L導入も悪くないのかもしれない

 1.5Lと2.0Lを同じ土俵で競わせるのではなく、きちんと棲み分けすることで、ユーザーが自分らしいロードスターを選ぶことができるような気がする。そういった意味で、排気量に関わらずロードスターを楽しむことができれば、2.0Lエンジンのソフトトップモデルが日本に入ってきてもいいのかもしれない。

 それこそ、「誰もが幸せになる」というロードスターのコンセプトが、さらに広がっていくのではないだろうかと思う。

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