ジープがニックネームだったウイリスMB
80年という月日は、人間にとっても長いものだ。クルマの場合、通常は数回の世代交代が行われる。ジープと呼ばれることになった最初期のウイリスMBと、最新のラングラーとの2台に共通点がほぼないとしても、驚く事実ではないだろう。
【画像】ウイリスMBとジープCJ-7、現行型ラングラー 最新のPHEV版コンパスも 全76枚
誕生した時代が違うだけではない。製造した会社も異なるし、クルマとしての目的も異なる。しかし同時に、基本的な根っこの部分にはつながりがある。クルマによって得られる、大きな自由だ。
アメリカといえば自由の国。独立記念日の花火に、チーズソースがたっぷりのフライドポテト。U.S.A!という叫び声が、ジープからも聞こえてきそうな気がする。
COVID-19の流行によって、好きな時間に好きな場所へ行けるという、自由のありがたさを実感したという人も多いだろう。今回は誕生から80年が過ぎた、自由を与えてくれるクルマ、ジープを振り返ってみたいと思う。
一番始めに乗るのは、源流となるウイリスMB。ジープという車名やブランド名ではなく、まだニックネームとしてジープと呼ばれていた時代のオフローダーだ。
地形を問わず、どこへでも目指せるクルマとして設計されている。現代のクルマと比べると、驚くほど簡素で質実。ダッシュボードは必要最低限で、ルーフやシートベルトもない。ステアリングホイールは驚くほど細い。
ドアの代わりにあるのは、細い布製のストラップ。側面衝突から保護してくれる能力には、疑問が残る。
簡素なボディとエンジンの自由な乗り物
ペダルの配置は、少し身体で覚える必要がある。ブレーキペダルはかかと、アクセルペダルはつま先で踏む。シフトレバーは長く、ストロークも長い。ダッシュボードの下にあるイグニッション・スイッチのボタンを押す。
運転すれば、ウイリスMBが軍用車両として開発されつつ、広く市民にも普及した理由をすぐに理解できる。シンプルなボディにエンジンが載った、クルマという自由な乗り物を体現している。
速度が高まっても、運転に緊張はいらない。楽しい。極めてオープンでありながら、80年前と変わらず堅牢で、どこでも走破できそうな雰囲気がある。特に苦労することなく、過酷なオフロードコースにも挑めそうだ。
この感覚は、現在まで連綿と受け継がれてきた、ウイリスMBの後継モデルにも共通するもの。数百万人のオーナーが、毎日のように自由の素晴らしさを謳歌している。
ジープならアメリカの中央、モアブ砂漠を突っ走れる。カリフォルニアのルビコン・トレイルも克服できる。
そんなイメージを膨らませつつ、筆者が実際に走っているのは肌寒い英国東部、ケンブリッジシャー州。冷たい風が、湿った落ち葉を吹き流す。本来ならアメリカでジープを楽しみたかったが、まだ渡航の自由は得られていない。
とはいえ、英国のダックスフォード帝国戦争博物館は、80年を過ぎたジープを試乗するのにふさわしい場所といえる。生まれたてのウイリスMBは、まさに自由を求めた戦いに直面していたのだ。
優れた能力を発揮した小型偵察車両
1940年、第二次大戦が激しさを増していくなかで、アメリカ陸軍は古いフォード・モデルTにかわる、新しい小型偵察車両の必要性を実感していた。そこで必要な仕様をまとめ、135社の製造関連企業に提案を打診する。
それに対し、アメリカン・バンタム社とウィリス・オーバーランド社の2社から返答があった。なかでもバンダム社は動きが迅速で、設計開始から49日目にはプロトタイプが完成。試験走行をスタートさせていた。
ところがバンタム社は経営が不安定で、設計や生産能力にも不安があった。そこで陸軍は、ウイリス社だけでなくフォード社にも提案するよう働きかける。さらに2社へはバンダム社の設計内容を開示することで、それぞれの改良を加速させた。
3社からプロトタイプが提供されると、陸軍は実戦での試験を実施。最もパワフルだったのは、60psの4気筒エンジンを搭載するウィリス・オーバーランド・クワッド。バンタムは最も燃費が良く、フォード・ピグミーは設計に優れ、製造品質も高かった。
試験を経て陸軍は仕様の改定を加え、最終的にウィリス・オーバーランド社のMBが1940年に受注契約を掴み取る。フォード社は必要な需要に応えるため、MBのライセンス生産契約を結び、バンダム社は牽引するトレーラーの生産を任された。
完成した小型偵察車両は、優れた能力を発揮した。速く機敏に走り、悪路に対応できるだけのタフさがあった。武器を積んだトレーラーを引っ張り、機関銃をリアシートに載せて戦ったほか、幌をかけて救急車としても利用された。
この続きは後編にて。
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