車の最新技術 [2022.12.05 UP]
次世代型Honda SENSINGを体験する【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】
文●石井昌道 写真●ホンダ
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Hondaは2050年に全世界で、Hondaの二輪・四輪が関与する交通事故死亡者ゼロを目指す(保有)という高い目標を掲げている。それに向けての中間目標は2030年に、対2020年比での交通事故死亡者半減。そのためにADAS(安全運転支援システム)の進化・強化を図っている最中だ。
2014年には外界認識技術をベースに開発したADASをHonda SENSINGとして発表。当初はフロントセンサーカメラとミリ波レーダーの組み合わせだったが、2020年発売の4代目FITからはフロントワイドビューカメラによるシステムへと変更。2022年に販売されたHonda車のうちHonda SENSINGを搭載しているのは日本とアメリカで99%、グローバルで86%にのぼり累計販売台数は1400万台。追突事故を82%、歩行者事故を56%減少させる効果が得られているという。
Honda SENSING自体はスタンダードなADASとして定着してきているが、2030年までに全世界の四輪全機種へ二輪検知機能を搭載するなどの強化、新興国への適用拡大などを図る。
2022年12月に中国で発売されるCR-Vを皮切りに、Honda SENSING 360の展開が始まる。これはその名が示すように360度全方位に検知性能強化を図ったシステムで、フロントセンサーカメラ、フロントレーダー、コーナーレーダーなどを採用。Honda SENSINGの上位システムにあたる。
また、2021年にレジェンドに搭載し、世界初の自動運転レベル3を実現したHonda SENSING Eliteはフロントセンサーカメラ、レーダーセンサー、ライダーセンサー、高精度3次元地図データのダイナミックマップなどを搭載。360度全方位をより高度に検知するとともに、自車位置、先の道路の形状・状況などを高い精度で把握する。Honda SENSINGのフラッグシップとなる。
今回はHonda SENSING 360 Next Conceptとして、2024年から順次展開していく近い将来の次世代技術を取材・体験。進化の方向性としてはこれまでの事故回避支援に加えて、事故を未然に防ぐための進化を目指している。
まずはハンズオフ機能付・高度車線内運転支援機能およびハンズオフ機能付・高度車線変更支援機能だ。すでに一般的な運転支援システムとなってきているLKAS(車線維持支援システム)は、システムが車線を検知して車線中央付近を走行するようにステアリング操作をアシスト、また車線をはみ出しそうになると、警告を発するとともに車線中央付近へ戻すようにステアリング操作をアシストするもの。
あくまでアシストであり、ドライバーはステアリングを握っていなければならないが、ハンズオフ機能は文字通りステアリングから手を離すことが実現されている。低速域ならばカメラセンサなどでの車線検知でハンズオフが可能だが、高速域では難易度があがるため高精度3次元地図データやGNSS(衛星測位システム)を搭載する必要がある。
それに加えて高性能なライダーも搭載するHonda SENSING Eliteが、現在のところもっとも高度だと言えるが、Honda SENSING 360 Next Conceptはライダーよりもリーズナブルなミリ波レーダーで普及を図る。
今回は高速道路に見立てたテストコースで体験したが、さすがは自車位置を正確に把握し、3次元高精度地図データによって先読み運転が出来ているだけあってハンズオフでもスムーズに車線中央付近を走行していた。コーナーが迫ってくると適度に速度を落として安心感をともなって走っていく。マージンを大きくとって速度を落としすぎると周囲の交通と調和できなくなるおそれもあるので、リアルワールドで役立つシステムとするにはさじ加減を絶妙にする必要はあるが、曲率などを把握しているのでそれも実現は難しくないはずだ。
高度車線変更支援機能は、設定速度で走行中、前走車に追いついていくとハンズオフのまま車線変更を行う。隣の車線の状況を確認しつつ、車線変更が可能かどうかをシステムが判断。ドライバーに「右車線を確認してください 車線変更します」などと音声とメーターの文字情報で伝える。追い越しが完了すればまた元の車線に戻ったり、目的地設定していれば次のジャンクション等にアクセスしやすいよう車線変更を支援。ハンズオフでステアリング操作はシステムが行っているとはいえ、あくまで運転の主体はドライバーにあり、アイズオフは許されない。周囲の状況を把握している必要がある。
これらはドライバーの負荷軽減を図って事故を未然に防ぐのが目的であり、Hondaの調査によるとハンズオフの有無によって、運転に使った上肢の筋力は5.7Ptから4.0Ptに軽減。心拍数は1.5Ptから1.0Ptに軽減されたという。テストコースで体験する限りではHonda SENSING Eliteとの差は感じられず、十分に実用性がありそうだ。
ドライバー異常時対応システム ドライバー異常時
近年はドライバーの健康起因事故が増えているが、それを抑制しようというのがドライバー異常時対応システムだ。
ドライバーモニタリングカメラによってドライバーの異常を検知したときには、警報音やディスプレイ表示で注意を促し、それでも反応がなければ速度をじょじょに落としながら停止。周囲へはハザードランプとホーンによって警告し、停止後は緊急通報センターに自動的に接続することも想定されている。
体験取材では、ドライバーが気を失った想定で首をガクッと傾けるとシステムが作動。走行している車線内でスムーズに停止した。健康起因事故は、自車のドライバーや同乗者だけではなく、周囲の交通参加者へ甚大な被害を及ぼす可能性が高いので、Hondaのみならず全メーカーで早い時期に同様のシステムを普及させることが望まれる。
個社でそれぞれ開発するだけではなく、システムの操作方法や周囲への警告などを標準化するなど、協調していくことも求められるだろう。
降車時車両接近警報は、内側からドアを開けたとき、後方からバイクや自転車が接近してきて衝突のおそれがあると音やインジケーター点灯などで注意を促す。前ドア、後ドアともに作動するシステムだ。
ドライバーの状態と前方リスクを検知しながら、回避支援を行う技術も開発されている。具体的な例としては、遅い前走車や停止車両に近づいているのに、ドライバーがよそ見をしていたりすると軽めの減速やステアリングアシストなどで注意を促す。衝突まで3~4秒といったところで作動は開始。ドライバーがそれに気付いてステアリング操作で衝突を避けようとすれば、それをトリガーにしてステアリング操作を支援。衝突を避けやすくしながら、たとえば車線変更したら、その車線からはみ出さないようにも支援する。ドライバー操作がない場合は車線内で減速して衝突回避を支援する。ドライバーモニタリングカメラとADAS用センサがあれば可能なシステムだ。
ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能 ハンズオフ時
Honda SENSING Eliteもさらに進化させるべく開発が行われている。現在は高速道路の渋滞時にハンズオフもアイズオフも可能になるかなり限定的なレベル3とハンズオフ機能付高度車線内運転支援機能、高度車線変更支援機能といった高度なレベル2だが、独自開発のAIによって高速道路での全域運転支援、一般道運転支援、自動駐車支援などを実現し、自宅から目的地までシームレスに安心・安全を支援する。
高速道路に比べると一般道は複雑なシーンが多く、パターンも無限にあるから課題は大きい。AI活用は必須だろう。Honda SENSING EliteのNext Conceptではレベル3の領域拡大に期待がかかる。
ごく近い将来の事故低減に大きな期待がかかるHonda SENSING 360 Next Conceptは、完成度が高く思えたが、それもレジェンドのHonda SENSING Eliteによる世界初のレベル3に意欲的に取り組んできた経験や知見が生きているからこそだろう。トップレベルの技術へのチャレンジ、それを普及に生かしていくことは、安全技術開発の要でもあるのだ。
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