■美しすぎる最新の2ドアクーペを紹介
かつて、日本の自動車市場ではパーソナルカーや若者が乗るスポーティなクルマとして、クーペが人気でした。しかし、近年はより使い勝手の良いSUVやミニバンに人気を奪われ、ラインナップは激減してしまいました。
一方で、欧州やアメリカではクーペの人気が根強く、現在も数多くのクーペが各メーカーから販売されています。
そこで、エレガントで美しい最新のクーペを、5車種ピックアップして紹介します。
●BMW「4シリーズ」
BMWは2020年6月2日に欧州で、10月から発売を予定している新型「4シリーズクーペ」の情報を公開しました。
2013年にデビューした初代4シリーズクーペは、ラインナップの拡充と整理のために「3シリーズクーペ」を4シリーズと名称変更したもので、流線型のルーフラインと起伏に富んだサイドシェイプによる特徴的なプロポーションが特徴でしたが、それまでの「3シリーズの2ドア版」のイメージが色濃く残っていました。
しかし、新型では3シリーズのデザインとは決別し、フロントバンパーの下端近くまで縦長に大型化されたキドニーグリルが採用され、伸びやかなサイドラインとルーフラインがエレガントさを表現。
ボディサイズは全長4768mm×全幅1852mm×全高1383mmと先代よりも拡大し、より高速走行時の安定性とスポーツ性が高められました。
トップグレードの「M440i xDriveクーペ」に搭載されるパワーユニットは、最高出力374馬力を発揮する3リッター直列6気筒ガソリンターボと11馬力の48Vマイルドハイブリッドテクノロジーが組み合わされ、8速ステップトロニックATを介して4輪を駆動するAWDとなっています。
なお、今回発表された新型4シリーズクーペには、ディーゼルエンジン車などもラインナップされていますが、現在はどのモデルから日本に導入されるかは、まだ明らかになっていません。
●メルセデス・AMG「GTクーペ」
2014年に発売されたメルセデス・AMG「GTクーペ」は、メルセデス・AMG専用に開発されたモデルで、古典的ながらエレガントなデザインのロングノーズ・ショートデッキスタイルが特徴です。
「LEDハイパフォーマンスヘッドライト」に挟まれる垂直ルーバーを持つフロントグリルは、伝説の「300 SL」レースカーをモチーフにデザインされ、迫力あるフロントフェイスを演出。
ボディサイズは全長4546mm×全幅1939mm×全高1289mmで、高度な空力性能と冷却性能を実現しながら、大きく張り出したフェンダーなどによって、力強さを主張しています。
サイドビューではロングノーズ・ショートデッキが強調され、レースでの輝かしい栄光を受け継いだ独自の個性をさらに深化させた、美しく躍動する刺激に満ちたフォルムとなっています。
搭載されるエンジンは、ふたつのターボチャージャーをVバンク内側に配置した4リッターV型8気筒直噴ツインターボで、現在の日本仕様では「GT」が最高出力476馬力、「GT S」は522馬力、高ブースト圧と軽量フライホイールが与えられた「GT C」では557馬力を誇ります。
そして、オンロードレーシングカーを謳う「GT R」には、ドライサンプ方式の採用とともに、専用ターボチャージャーや制御プログラムが与えられ最高出力585馬力を発揮。0-100km/h発進加速は3.6秒、最高速度は318km/hと強烈な動力性能を持っています。
●ポルシェ「911」
1964年のデビューから常にポルシェのフラグシップモデルとして、世界トップレベルの走行性能を持つスポーツカー「911」シリーズは、2018年に最新モデルの992型が登場。
ボディスタイルは初代から継承するフラットなフロントフードから鋭く立ち上がるフロントウィンドウ、そしてリアに向かって流れるようなルーフライン、最新のLEDテクノロジーを採用した丸型ヘッドライトなど、ひと目で911とわかるシルエットです。
ボディサイズは全長4519mm×全幅1852mm×全高1298mmと、代を重ねるごとに大型化していますが、色褪せない伝統に現代的なアプローチが注ぎ込まれたデザインとなっています。
スタンダードモデルの「911カレラ」のリアに搭載される3リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンは、最高出力は385馬力を発揮し、8速PDK(DCT)との組み合わせにより公称0-100km/h発進加速は4.2秒、最高速度は293km/hを誇ります。
さらに3.8リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンを搭載した、トップグレードの「911ターボS」では最高出力650馬力を絞り出し、もはやスーパーカーの領域に到達しています。
■国産メーカーにも美しいクーペがある!?
●インフィニティ「Q60」
2016年に米国デトロイトで開催された「2016年北米国際自動車ショー」で、インフィニティブランドから2ドアのミドルサイズスポーツクーペ「Q60」が世界初公開されました。
以前は日本でも日産「スカイラインクーペ」として販売されていたインフィニティ「Gクーペ」の後継にあたるモデルです。
外観は特徴的なボディサイドのラインと抑揚のある前後フェンダーの膨らみによって、豊かなプロポーションと張り詰めた筋肉を思わせるボディで、優雅でありながらもスポーツクーペらしく力強さを表現した、大胆なスタイリングとなっています。
ボディサイズは全長4685mm×全幅1850mm×全高1385mmと、現行のスカイライン(4ドアセダン)より短くワイドで、よりロー&ワイドさを強調。
パワートレインは基本的にスカイラインと共通で、トップグレードの「Q60レッドスポーツ」は「スカイライン 400R」と同じく最高出力405馬力を誇る3リッターV型6気筒ツインターボを搭載。
「Q60ラグジュアリー」には304馬力のV型6気筒エンジン、ほかにも211馬力を発揮する2リッター直列4気筒エンジンもラインナップしています。
●レクサス「LC」
2017年に登場したレクサス「LC」は、「SC」から継承されたフラッグシップクーペです。
ドライバーのライフスタイルを感じさせる佇まいのクーペを目指したというボディは、全長4770mm×全幅1920mm×全高1345mmの大柄なサイズを巧み使ってデザインされており、美しくエレガントなフォルムをまとっています。
低いボンネットフードからルーフラインへとつながるラインや、ドア部分が前後フェンダーより深く絞り込まれたダイナミックなプロポーションは「美しさと、走りの魅力の一致」を表現。
搭載されるエンジンは、最高出力477馬力の5リッターV型8気筒に加え、システム出力359馬力を誇る3.5リッターV型6気筒+モーターのハイブリッドをラインナップします。
5リッター車に搭載されるトランスミッションは、発進時を除くほぼ全域でロックアップを作動させる「Direct Shift-10AT(電子制御10速AT)」で、アクセル操作に即応するダイレクト感とスムーズな発進を両立しました。
また、ドライバーの意志に鋭い切れ味で応えながらも優雅に振る舞うハンドリングや、エレガントな外観にふさわしく、熟練した職人だけが成し得る繊細かつ緻密な技で仕上げたインテリアなど、LCの魅力は尽きません。
※ ※ ※
冒頭にあるように、国内では2ドアクーペが激減してしまいましたが、比較的小型なクーペは世界的にもレアなモデルです。
現在は、トヨタ「86」とスバル「BRZ」、北米ではホンダ「シビッククーペ」、欧州ではBMW「2シリーズ」などがありますが、多くのメーカーが小型クーペの生産から撤退してしまいました。
かつてクーペは若者が乗るクルマの代表的存在でしたが、時代の流れということで、減少も仕方のないことかもしれません。
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