日産のコンパクトSUV「キックス」のプロトタイプに小川フミオが試乗した。印象はいかに?
よりパワフルになったe-POWER
4年遅れで日本にやってくる日産キックスについて根掘り葉掘り訊いた!
昨今のトレンドは「Sクラス」のSUV。Sクラスとは“スモールクラス”のことだ。一時期は”SUVならゴツくなくちゃ”と、言っていたひとたちも、扱いやすいサイズを重視するようになっている。そこで注目したいのが、日産自動車が2020年6月24日に発表した「キックス」である。
特徴は、トールボーイタイプのハッチバック、いまの言葉でいうクロスオーバーという車型であることと、日産のハイブリッドシステム「e-POWER」がパワーアップして搭載されていることだ。それにスポーティなハンドリング性能の持ち主でもある。
1.2リッターのガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせた「e-POWER(イーパワー)」は、すでに「ノート」と「セレナ」にも搭載されているので、その扱いやすさは体験ずみ、というひともいるのではないだろうか。
キックスには英語で「刺激」という意味もあるだけあって、ノートe-POWERより、運転しておもしろいクルマに仕上がっている。基本的に同じユニットを使うノートに対して、バッテリー出力は14%向上し、エンジン出力も4%アップしているのだ。
はたしてパワーをトータルでみると、ノートに比べ最高出力は174psから177psへ上がり、モーターの最大トルクも254Nmから260Nmへと増大している。車速でいうと時速50km/hから100km/hの実用域の部分でパワーが持ち上がっている。つまり高速での中間加速がよくなっているのだ。
スポーティな乗り味
一般道を模した部分もあるテストコースで試乗してみると、なるほど、たしかにパワフルであると感じる。発進から120km/hまでのなめらかな加速感は期待いじょう。
「アクセルペダルのオン・オフで車体が前後に動かないように(ピッチングを抑えるのが肝要と)フラットライドを意識しました」と、日産自動車の技術者が言うとおり、SUVでありながら、車体が地面に張り付いたような、どちらかというとスポーツカー的な印象すらある。
そのぶんやや乗り心地は硬め。タイトコーナーでは車体があまりロールしない(これもスポーツカーみたいだ)設定でもあるので、ファブリックに較べて滑りがいいレザーシートに腰かけた乗員は、しっかりからだを支えていたほうがいい。まぁようするに、“ドライバーズカー”として楽しめるのだ。
「アクセルペダルを踏んだときのレスポンスのよさと、コントローラビリティを重視し、扱いやすく、そしておもしろいクルマに仕上げたかったのです」
開発を担当した車両開発主幹の山本陽一氏が、会場で語ったとおりの出来であると実感。モーターによる出足のよさ、そこからエンジンへのスムーズなつながりもさることながら、加速性と、ステアリング・ホイールを切ったときの車体の動きは、いちど乗ると、ずっと記憶に残る。
小型ハイブリッドだから燃費を重視するひと(だけ)が乗ればいい、なんて思って遠ざかっていると、損するぐらい、楽しめるクルマなのだ。日産では「ワクワク感を大事にした」としている。ハイブリッドはドライバーズカーとして本当に進化しているんだなぁ……と、ここでも実感した。
「本来やりたかった販売方法は、ディーラーでの試乗を通し、よさをわかっていただくこと」。チーフマーケティングマネージャーの小木曽宏行氏はそう言う。新型コロナウィルスの行方が気になるが、たしかに、乗ったら好きになるひとが多いだろうと思った。
静かで快適
アクセルペダルに載せた足の力を緩めるとブレーキが働くシステムにより、“ワンペダル”でかなりの走行部分をカバーできる。日産によるとブレーキペダルへの踏み替えが7割がた少なくて済むそうだ。それに「プロパイロット」という運転支援システムなど、現代的な快適性も追求されている。
くわえて、静粛性が高いのも魅力。低速域では、充電のためにすぐエンジンを始動したりするのではなく、できるだけEV走行を続ける設定にしたためである、と説明された。
乗っていると、どんどん好きになれるクルマである。ただしオトナの男にとっては、ややスタイリングが若々しすぎるかな? と、思わないでもない。とりわけ、大きなグリルとクロームの「Vグリル」で構成されたフロントマスクが、だ。
側面やリアビューは、キャビンとボディを分離したようなテーマが採用されている。「リーフ」とかなり近いが、近いこと自体を問題視しないなら、躍動感があって好ましい。
後席もスペースはたっぷり。パッケージングもよい。ひとつだけ注文をつけるとしたら、インテリアのクオリティだ。ダッシュボードの中央からドアへと続いていく一体感がないのと、ドアのオープナーをはじめ、各部品のクオリティ感が不十分だと感じた。
価格は275万9900円。ツートーンの塗り分けのカラリングを持つ仕様が286万9900円だ。価格相応といってしまえばそれまでかもしれない。でも、シトロエンの「C3エアクロスSUV」や「DS 3クロスバック」など、欧州製の競合はなかなかよくやっている。とりわけ、フォルクスワーゲン「T-CROSS」のインテリアは躍動感と質感をうまく表現している。
キックスをメカニズム面からみると、それほど新しいわけではないプラットフォームをみごとに使いこなして、高いクオリティを実現したところが印象的だ。ゆえに、オトナの男を狙って、さらにデザインオリエンテッドな方向へもう一歩進化することを望みたくなる。これだけが試乗したあとの希望である。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
エンジンは発電専用だよね。
なので、欲しい方は試乗してから他のメーカーやこれから発売される車種も吟味した方が後悔しないと思います。