定員8名、長さ600mm増しのディフェンダー
早いもので、最新のL663型ランドローバー・ディフェンダーが登場して2年が経とうとしている。そろそろ、モデルラインナップを広げる時期がやってきたようだ。
【画像】ランドローバー・ディフェンダー 90と110、130を比較 競合の7シーターSUVも 全101枚
今回試乗したディフェンダー 130は、納車待ちが続く人気モデルのエクストラ・ロング仕様。ちなみに、今よりシンプルだった時代に生まれた初代には、127と呼ばれるロング仕様も存在していた。
現行の110より600mm長く、6名以上の定員を得られる唯一のディフェンダーになる。シートレイアウトは最前列が2名がけで、2列目と3列目は3シーター。8名が乗れる。
90や110では選べる、3名掛けのジャンプシートを最前列に指定できない理由は、英国の税制にある。定員が9名になると、小型バス扱いになってしまうのだ。
ランドローバーは、大人8名それぞれに充分な空間が確保され、満員状態でも400L近い荷室容量がある実用性をアピールする。確かに利便性はストロングポイントになるが、ディフェンダー 130は現代の大型SUVの基準でいっても大きい。
その実、全長は5358mmもある。この長さを実現しつつ、フロント側のオーバーハングと路面が作るデパーチャー・アングルへの悪影響は抑えられている。110の全長4758mmから追加された600mmは、リア・オーバーハングに与えられている。
ボディのプロポーションにも若干手が加えられているが、ホイールベースは110と同じ3022mm。119インチで変わらない。最小回転半径は若干大きい。
大人8名が不満なく過ごせる車内空間
最上級グレードとして装備は110以上に充実しており、車高調整式のエアサスペンションは標準。このサスペンションは軽くなく、110より200kgほど増えた2589kgという車重の一部を占めている。
エンジンの選択肢は、今のところ2つ。3.0L直列6気筒ターボでマイルド・ハイブリッドの、ガソリンとディーゼルが選べる。
110ではP400eと呼ばれるプラグイン・ハイブリッド(PHEV)も選択できるが、130への採用は難しいだろう。リアアクスルへ、小さくない改良が必要なためだ。
先述したが、ランドローバーがディフェンダー 130で自信を見せる強みは、大人8名が不満なく過ごせる車内空間。確かに何列目かを問わず、頭上にも足元にも余裕がある。
一般的な3列シートのSUVでは、最後列は小柄な大人までしか長時間は耐えられないだろう。しかし130なら、3列目でも英国人の大人2名が快適に過ごせる。3名では少々窮屈だと思うが、大きな子供がいる大家族や両親との旅行などで活躍するに違いない。
3列目への乗り降りは、2列目シートを前方にスライドして作られる隙間から、リアドアを介して。2列目のドア側に座っている人が降りるまで、待つ必要がある。ご想像の通り、乗降性が良いとはいえない。
助手席だけでなく2列目と3列目の両サイドにも、ISOFIX規格のチャイルドシート固定ポイントが用意されている。また40:20:40に分割して折りたため、長尺の荷物なども積みやすい。リア側2列すべてを折りたためば、2500L以上の広大な空間が出現する。
操縦性や走破性に目立ったトレードオフなし
今回筆者がディフェンダー 130を試乗したルートは、グレートブリテン島の南西部に位置するヘレフォードシャー州のランドローバー・エクスペリエンス・センター周辺。郊外の一般道だけでなく、オフロードコースも試すことができた。
エンジンは、マイルド・ハイブリッド・ディーゼルのインジニウム・ユニットとなるD300。トリムグレードは、ハイエンドのXダイナミックHSEだった。
まずはオフロードでの走行となったが、130は1サイズ短い110と同等に走破していく。車重は増えているもののホイールベースが同じなため、操縦性や走破性に目立ったトレードオフは存在しない印象を受けた。
幅の狭い林道などで、ボディの幅を実感することは従来どおり。それでも運転席からの視界は優れており、四角いフォルムのおかげで車幅感覚は掴みやすい。
最低地上高を増すエアサスのほか、ローレンジ・トランスファーギアとピレリのオフロード用タイヤが標準で備わる。トラクションとスタビリティ、ヒルディセントという電子制御の各コントロール系が巧みに機能し、未踏の大地へ果敢に立ち向かえる。
深いわだちや急斜面だけでなく、大きな水たまりも物ともしない。ドライバーはステアリングホイールを握り、アクセルペダルを丁寧に傾ければ大丈夫。悩まされることなく、ディフェンダーが処理してくれる。
操縦性や運転のしやすさに明確な妥協もなし
とはいえ、深い穴や急斜面の通過時には、110以上に気を使う必要はある。リアのオーバーハングが伸びているためだ。
ランドローバーの技術者は、1番短いディフェンダー 90なら克服できても、130では難しいであろう条件があると考えている。同時に、110が走る後ろを130は概ね着いていけるだろう、とも考えている。違いが出るのは、余程過酷なルートに限られるようだ。
アスファルトへ場所を移すと、ランドローバーが入念にチューニングしたエアサスが、130の増えた車重を見事に受け止めることへ感心する。さらに3.0Lディーゼルターボは、上質な回転フィールと豊かなトルクで不足なく快適な走りを叶えてくれる。
今回は大人8名の満員状態を試すことができなかったが、流石にその条件では、運ぶべき重量の大きさを実感するだろう。だが、少なくとも大人数名で乗っている限り、110と比較して操縦性や運転のしやすさに明確な妥協は感じられなかった。
最新のディフェンダーは、ラグジュアリーでありながらオフローダーでもあるという、幅の広い能力を備えた大型モデルだ。スポーティな上級SUVとは一線を隠している。
それでも、ドライブフィールは締りがあり直感的。ステアリングホイールの反応も正確といえるが、その特徴は130でも薄れていない。
日常的な使い勝手に影響を与える全長5.4m
一方でこのサイズは、日常的な使い勝手に影響を与えることは明らか。5358mmある全長のおかげで、一般的な1台分の駐車エリアから大きくはみ出てしまう。ダブルキャブのピックアップ・トラックと同程度でもあるが。
ルーフラックを装備しない状態でも、全高は1970mmもある。高さ制限が厳しい、都市部の立体駐車場は利用できないことも多いだろう。
自らの生活圏内に充分な空間があり、広大な車内が生み出す能力を必要とするなら、この130はベストなディフェンダーになり得るはず。しかし、これらが同時に揃っていないなら、余分な長さを敢えて選ぶ合理性は大きくない。
少し型破りといえるサイズを持つ130ではあるが、ランドローバー・ディフェンダーのラインナップを拡張することは事実。最も能力の幅が広いモデルの1台として、独自性をさらに高める存在といえる。
○:8シーターの車内は、ライバルモデルより現実的に多くの大人を運べる。突出したオフロードの走破性と、正確で直感的なオンロードでの操縦性は110と不変。素晴らしい洗練性や最新の技術が、ラグジュアリーな魅力を一層高めている。
△:全長は約5.4mあり、多くの駐車スペースに収まりきらない。このクラスで3列シートを選べるSUVと比べると、英国価格は高め。約2.6tある車重が、燃費にマイナスの影響を与えている。
ランドローバー・ディフェンダー 130 D300 XダイナミックHSE(英国仕様)のスペック
英国価格:8万6785ポンド(約1440万円)
全長:5358mm
全幅:1996mm
全高:1970mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:7.5秒
燃費:10.7-11.2km/L
CO2排出量:235-246g/km
車両重量:2589kg
パワートレイン:直列6気筒2996ccターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:300ps/4000rpm
最大トルク:66.1kg-m/1500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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