一部改良を受けたボルボ「XC60」のプラグイン・ハイブリッドモデルに小川フミオが乗った。登場から約7年を迎えたミドルサイズSUVに迫る。
全体的にクオリティが高い
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ボルボが手がける、サイズに余裕のあるSUVのXC60は、使い勝手がよく、洗練された1台で、全方位的な出来のよさがある。2024年8月にドライブしたのは、一部改良を受けたXC60 Recharge Ultimate T6 AWD plug-In hybrid。スムーズな走りと上質な乗り味が特徴的だった。
新しいXC60 Recharge Ultimate T6 AWD plug-In hybridは1968cc直列4気筒ガソリンエンジンにモーターおよびバッテリーを組み合わせた、プラグインハイブリッドシステムを搭載する。
今のXC60は17年登場の2代目。全長4710mmのボディを、2865mmのホイールベースを持つシャシーに載せている。リヤクオーターウインドウを持つキャビンから想像されるとおり、室内は余裕があり、後席空間も広々としている。
当初のパワートレインは、2.0リッターガソリンエンジンと、やはり2.0リッターのディーゼルエンジンのバリエーションで構成されていて、のちにプラグインハイブリッドも導入された。
今回のXC60 Recharge Ultimate T6 AWD plug-In hybrid は、T8プラグインハイブリッドに代わるモデルとして、22年に日本市場で発売された。従来のT8に対して、駆動用バッテリーの容量が大きくなって、EV走行の距離が伸びている。
おなじようなセグメントに位置づけられるプラグインハイブリッドのSUVのなかには、全長4725mmのメルセデス・ベンツ「GLC350e 4MATIC」がある。こちらは105km(WLTCモード)とされている。GLC350eの発売は23年11月なので、開発年次のあたらしさが燃費の違いに表れているといえるだろうか。
それでもXC60 Recharge Ultimate T6 AWD plug-In hybridも頑張っている。まず駆動用バッテリーを規定ギリギリまで使いきって、そののちエンジンが始動。まめに充電する人だと、このクルマを日常使いしていても、エンジン走行はほとんどしないまま、なんてケースもあるかもしれない。
新しいXC60 Recharge Ultimate T6 AWD plug-In hybridは、加速性がよく、ハンドル操作に対する車体の動きも素直で、洗練された操縦性が持ち味だ。静粛性にも優れ、「XC40」(いいクルマだけれど)よりも全体的にクオリティが高い。7年たっていても、古くさい印象はない。
見た目の良さと機能性を両立ボルボはインフォテインメントシステムに「グーグルアシスタント」をいち早く導入しており、音声入力が出来る。XC60 Recharge Ultimate T6 AWD plug-In hybridも同様で、「物語を聞かせてほしい」などというChatGPTに向けたようなコマンドは受け付けないが、かける音楽のセレクションなど、けっこう広い範囲で対応する。これでうまくアップデートされているのだ。
インテリアは、グッドデザイン。縦型モニターを中央にすえたダッシュボードの造型は、この2代目XC60の大きな魅力であり続けてきた。運転席まわりの使い勝手はいいし、色使いもうまい。ただし、XC40も同様のデザインであり、長いあいだ経っていることもあり、やや見飽きた感があるものの、初めてXC60に乗る人なら、嬉しいはずだ。
前席シートは、ナッパレザー張りでかつクッションも硬め。といっても、座り心地が悪いわけではない。立体的な造型で、うまく身体を支えてくれる。見た目の良さと機能性を両立させたデザインだ。
後席は足もと広く、頭上の空間にもたっぷり余裕がある。リヤクオーターウインドウをもつのは、個人的な好みがわかれるところだけれど室内の採光というメリットになっている。
一部のドイツ車のように、デザイン変更のインターバルが極端に短く、結果、どれが最新型だかわからなくなってしまう……なんてこともボルボではない。「変えなさすぎ」という声もあるけれど、“自分たちが納得いくプロダクトならば作り続ければよい”とする姿勢は、これからXC60を買おうという人にとっても、評価したい点だろう。
私は評価する。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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